腰を反る時に起こる痛みの改善方法 ~東洋医学的視点から考える~

どうも。
KABOSUです!!

今回は、前回の記事の続きです。

前回の記事はこちらです。

腰を反る時に起こる痛みの改善方法 概論編

前回は、腰を反る時に痛みが出るメカニズムについて書いていきました。

今回は、その腰を反った時に出る痛みに対するアプローチ編となります。

アプローチ内容については、

経絡を用いてアプローチする方法を書いていきたいと思います。

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1.腰を反る時に生じる腰痛と関連のある”経絡”

腰を反る際に起こる運動として、

□上半身重心と下半身重心がバランス良く動く(上半身が後方偏位、下半身が前方偏位する)

□脊柱がしなやかに動く(特に胸椎)

□骨盤の後傾運動が生じる

が挙げられます。

これを後屈運動を見るときのポイントに変換すると、

①上半身重心と下半身重心のバランス

②脊柱の動き(特に胸椎)

③骨盤の後傾

このようになります。

この後屈運動を経絡の観点から考えていくと、

□肺経-大腸経

□脾経-胃経

この2点が後屈時の腰痛と関連のある経絡であると言えます。

経絡の特性は、以前も何度かこのブログで書いていますが、

経絡の特性

伸展制限のある経絡が治療対象

となります。

経絡は異常が起こると流れが悪くなり縮まります(滞る)。

なので、今回の後屈時の腰痛も、腰を反る際に伸ばされる経絡に対しアプローチをしていけば

経絡が原因で起こっている腰痛も改善されるというわけです。

ちなみに、

肺経-大腸経については、

主に手から身体の前面を流れる経絡になります。

身体を反る時には胸郭が開かなければなりません。

しかし、肺経-大腸経の滞りがあって伸展制限があれば

猫背の方向に姿勢が傾きます。

脾経-胃経に関しては

足背から大腿前面を通り身体の前面を流れる経絡になります。

身体の前面を通っているため、この経絡も身体を反る時に伸びなければならないです。

胃が痛いときなどは身体は丸まってお腹を抱えるようになりますよね。

なのでこの経絡も異常が起きれば身体を反る時の制限因子になると言えます。

このように身体を反る時に生じる腰痛に関連する経絡は、

身体の前面を通る経絡であり、

肺経-大腸経(上肢-体幹)

脾経-胃経(下肢-体幹)

の2つが挙げられます。

あと、例外として、

腎経も後屈時の腰痛と関連があります。

腎経は、アナトミートレインでいうと深前線のラインと類似しています。

その深前線は、

中心軸構造に対して安定性と微妙な位置変化を与え、浅層の構造物と筋筋膜線が容易に、また効率よく骨格と共同作用が出来るようにしている

アナトミートレイン 深前線の項より引用

このように深前線は体幹のインナーマッスルのような役割を果たすラインとなります。

すなわち深前線と類似している腎経も同じように体幹のインナーマッスルの働きと関連しているとなります。

インナーマッスルが働かないまま運動を行えば、腰部の安定化が損なわれ当然痛みの発生につながります。

また深前線に含まれる筋に内転筋や大腰筋、横隔膜などがあり、体幹の伸展を阻害する因子であることがわかります。

以上の事から、腎経も身体を反る時に生じる腰痛と関わりがあることが説明できます。

2.後屈時の腰痛に対する経絡アプローチの方法

ここからはそれぞれの経絡に対する実際のアプローチ方法をご紹介します。

①肺経-大腸経

評価

●診るポイント

□猫背傾向である

□呼吸が浅く、胸式呼吸優位である(胸で呼吸をしている)

□顔色が悪い(青白い感じ、血色が悪いなど)

などの状態や様子が見受けられる場合、この経絡に異常がある可能性があります。

●実際に反応を見てみる

□井穴やツボを押して動きの変化を見てみる

肺や大腸の経絡の井穴は、手の指になります。肺経が母指で大腸経が示指の爪の際になります。

そこを指で刺激(30秒程度)し、その後に後屈運動を評価します。

それで後屈時の腰痛が軽減するもしくは後屈の可動域が広がれば(より反れるようになる)、刺激した経絡が問題点であることがわかり、実際のアプローチに移行していきます。

ツボの刺激であれば、”合谷のツボ”が有効かと思います。合谷のツボを一定時間刺激したのち、後屈運動を評価してみてください。可動域や痛みの変化があれば治療対象になります。

□徒手誘導で変化を見る

肺経や大腸経の異常で後屈運動に制限が生じている場合、基本的には上肢及び胸郭の制限により起こっています(経絡の走行上、上肢か胸郭に影響するため)。

で、肺経-大腸経の異常により起こりやすいのが猫背の姿勢です。

なので、徒手的に胸郭や上肢を操作して動きの変化を確認します。

やり方は簡単です。

猫背になれば、

肩甲骨は外に広がります(肩甲骨の外転)。

上肢に内側に捻じれていきます(内旋)。

なので、ここを反対方向に誘導していきます。

肩甲骨なら内側に肩甲骨を背骨に近づけるように誘導します(肩甲骨の内転)。

上肢であれば外側に捻じっていきます。掌を外に向けるようにします。

この状態で後屈運動を行ってもらいます。

その際の動きの評価を行っていきます。

アプローチ

経絡の向きに沿ってマッサージを行う

経絡には流れの向きがあります。

川の流れと同じであるため、流れに沿ってマッサージするのと流れに逆らってマッサージするのでは大きな差が出てきます。

上肢の場合、

陰の経絡が下行性

陽の経絡が上行性

となります。(上肢と下肢で逆転します)

そのため、

肺経の場合、中枢部から末梢部に向かってマッサージします。

大腸経の場合、末梢部から中枢部に向けってマッサージします。

このとき、経絡の流れをイメージしながら行うとより効果が高まります。

よくわからない場合は、筋肉をイメージしながらマッサージするとしっかりゆるみます。

※陰と陽についてはこちらをご参照ください。

●肺経や大腸経のストレッチを行う

次はストレッチです。

ストレッチは、対象とする筋肉を伸ばすとこが重要になってきます。

ただ、今回は経絡のストレッチになりますので、

「ライン(経絡の流れ)のストレッチ」を行うイメージで行います。

肺経であれば、

手の母指から胸の前面を結ぶラインをストレッチしていきます。

大腸経であれば、

手の示指から鼻を結ぶラインをストレッチしていきます。

●ツボの刺激と大胸筋のリリースを行う

次は、ツボの刺激を加えて経絡に刺激を送っていきます。

方法は図の通りです。

刺激は、対象者の頭側から入れていくようにします。

その方が大胸筋に対して適度な刺激が入りやすいためです。

※呼吸に合わせて(吐くときに刺激する)行うとより効果的です。

②脾経-胃経

評価

●診るポイント

□前傾姿勢である

□お腹が張っている(リラックスしていても固い)

□悩みごとが多い

□季節の変わり目に体調を崩しやすい

などの状態を確認していきます。

●実際に反応を見てみる

□井穴やツボを押して動きの変化を見てみる

脾経や胃経の井穴は足の指になります。

脾経は母趾の爪の際、胃経は第2と第3趾の間となります。

脾経と胃経では、胃経の方がより後屈時の腰痛に関連してきますので、胃経のチェックをしっかりしていきます。

実際に胃経の井穴を刺激して動作の確認を行うか、井穴を刺激したまま後屈運動を行ってもらいます。

その際に、後屈時の腰痛が軽減するもしくは後屈の可動域が広がれば(より反れるようになる)、刺激した経絡が問題点であることがわかり、実際のアプローチに移行していきます。

それ以外にも、ツボの刺激でも構いません。胃経の有効なツボと言えば、”足三里のツボ”など良いかと思います。足三里のツボを一定時間刺激したのち、後屈運動を評価してみてください。可動域や痛みの変化があれば治療対象になります。

□徒手誘導で変化を見る

脾経や胃経の異常で後屈運動に制限が生じている場合、基本的には骨盤の動きの制限により起こっています。

脾経や胃経が異常を起こすと前傾姿勢になるため骨盤も前傾方向で固まります。

本来、後屈時は後傾運動が生じなければなりませんが、上記の経絡の異常により骨盤が前傾方向で固まっていれば、後屈時の制限となり痛みを生じます。

なので、実際に後屈運動を行う際に、骨盤を後傾方向に誘導していきます。

その際に、動きに変化があれば脾経、胃経を治療対象にしていきます。

アプローチ

経絡の向きに沿ってマッサージを行う

脾経の場合、末梢部から中枢部に向かってマッサージします。

胃経の場合、中枢部から末梢部に向けってマッサージします。

※上肢と下肢で経絡の流れが逆転します。

●胃経のストレッチを行う

先程も述べましたが、経絡のストレッチは流れを意識して実施します。

ただ、上肢と違い下肢の場合は、関わる筋も多く、大きいためポイントに絞ってアプローチしていきます。

そのポイントとは、”大腿四頭筋”になります。

方法は、

側臥位になって実施していきます。

下側になった下肢は抱きかかえる様にし、骨盤が動かないようにします。

この状態で、上側になった対象者の足を後方から抱え、ゆっくり伸展方向に伸ばしていきます。

この時、無理に伸ばすことはしないようにします。(代償動作が出るため)

ある程度テンションを感じる所で止めて、大腿四頭筋を経絡の走行に沿って軽擦していきます。

対象者のみならずストレッチを実施する人もリラックスして行えるようにしていきます。(ここがポイントです)

そして、楽な可動域が自然に拡がっていくのをサポートしていきます。

●脾経のマッサージを行う(腹部が張っている場合に有効)

これはお腹が張っていて、腹筋由来の後屈制限がみられる場合に有効になります。

※お腹が張って骨盤帯の前方移動(腰椎の前方移動)を阻害する場合

マッサージのポイントは、”下腿の内側”になります。

丁度、ふくらはぎの筋肉と脛骨(すねの骨)の縁の間をほぐしていくような感じになります。

ここが固くなっている人は非常に多いです。

ここでも経絡の走行を意識して行います。

脾経は陰の経絡であるため、末梢部から中枢部に向かって流れます。

そのため、内くるぶしあたりから膝の下方に向かってほぐしていきます。

指で刺激するのがきつい場合は、肘を使うと楽に刺激できます。

この下腿の内側がしっかりほぐれると腹筋の出力も高まります。

もし興味があれば試しに行ってみてくださいね。

③おまけ(腎経のアプローチ)

腎経も後屈時の腰痛に関連がありますので、今回は軽く紹介します。

腎経を刺激していく場合、ただ伸ばすだけでは終わりません。

腎経は体幹のインナーマッスルとの関連性が強いと先程も述べました。

インナ―と関連があるわけなので、柔軟性以外にもしっかりとした出力(安定性)がないといけません。

なので、イメージとしては「対象となる組織がしっかり使えるようにしていく」という感じでアプローチを行っていきます。

対象となる組織は、

①内転筋

②大腰筋

③横隔膜

となります。

内転筋に関しては、

腰痛の方の多くは内転筋が凝り固まっていると言われていりますので、

まずはしっかりほぐしていきます。

そして、収縮を入れていきしっかり機能するようにしていきます。

エクササイズとしては、「ワイドスクワット」がおススメになります。

大腰筋に関しては、

内転筋同様、腰痛の方は凝り固まっていることが多いとされています。

大腰筋自体、腰椎の安定化が主な作用ですが、股関節の屈筋でもありますので後屈運動の制限因子にもなり得ます。

この大腰筋に対するおススメのエクササイズとしては、

「ランジ動作」が挙げられます。

足を前後に開いて上体を下に落とし込んでいく運動になります。

この時、上半身が前方に倒れないように注意します。(しっかり上体は起こす)

そうすることで、大腰筋のストレッチもされるようになります。

このランジ動作をゆっくりとして動きで回数を重ねることで大腰筋のトレーニングにもなってきますので、腰痛もちの方は実施することをお勧めします。

横隔膜に関しては、

以前の記事で書いた横隔膜のエクササイズがおススメになります。

腰痛と関連する筋【横隔膜・骨盤底筋群のエクササイズ方法】

以上が実際のアプローチ方法になります。

3.まとめ

今回は、前回からの続きで、アプローチ編になりました。

経絡のような、全身の繋がりを意識した診方を知ると腰痛や肩こりなどを診る際も限局した評価ではなく、広く診ることが出来るため、治療の選択肢がかなり広がります。

経絡という目に見えないものを理解することに抵抗がある方もいると思いますが、

関連性があると言われているアナトミートレインなどから勉強していくと身体への理解も深まりますし、経絡にも興味が出てくるのではないでしょうか。

それでは、本日はこの辺で。

最後までお読みいただきありがとうございました!