腎経・膀胱経への経絡アプローチについて~身体の水分調節と腰痛との関連性~

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東洋医学
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腎経・膀胱経は、身体の水分調節に関わる経絡です。

 

 

また、腎経は「老化」と深い関わりがあります。

 

人間は腎という臓器に先天的なエネルギーを持って生まれ、そのエネルギーを日々使いながら生き、成長、成熟、老化のプロセスを経て、腎のエネルギーがゼロになったときに死が訪れると言われています。

 

 

このことを「先天の気」と呼ばれ、「腎」がそれを主っているとされています。

 

ちなみに「後天の気」は「脾」が関連しています。

 

※腎は生まれながらのエネルギー量(先天の気)を蓄えている

※脾は生まれてから食物を摂取することによりエネルギーを補充する(後天の気)

 

 

と、まぁ「腎」は身体にとって非常に深い所、つまり重要な部分になることがわかります。

 

これは経絡理論の世界でも同じで、腎経の走行は身体の深部に関連するものになっています。

 

 

 

今回は、この身体の深部を調整する腎経とその対になる膀胱経に対する経絡アプローチについてまとめていきます。

 

 

 

 

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1.腎経・膀胱経の走行は?・役割は?

腎経と膀胱経は、それぞれ身体の前面・後面を通ります。

 

図:腎経と膀胱経

 

腎経・膀胱経は、東洋医学の世界では、「母子関係」とか「親子関係」にあたります。

 

「腎」が母とか親で、「膀胱」が子ですね。

 

ベースは母親である「腎」となり、腎に異常をきたすと、膀胱にも異常が波及していきます。

 

 

この腎経・膀胱経ですが異常をきたすと、

老化が進んだり、人前でオドオドしたりなど人が人として生きるための機能が著しく低下してしまいます。

 

 

腎や膀胱に関する東洋医学的な視点からの不調や問題に関してはこちらに詳しくまとめています。

腎経・膀胱経の虚証と実証の判断と腎・膀胱の症状~経絡アプローチに必要な知識~
腎や膀胱は、排泄の役割が主であり身体にとって重要な役割を果たします。(どの臓器も重要ですが・・・)東洋医学の中でも腎は重要であり、特に高齢者にとってはどれだけ”腎の機能を維持できるか”が元気に長生きするポイントになります。経絡でもアナトミートレインの深前線と関わりが深く、身体の深部を流れる経絡に当たるため腎に異常が起こると腰痛などの症状が出現してきます。

 

 

 

腎経・膀胱経と腰痛の関連性は?

では、この腎経・膀胱経の異常は、身体機能にどのように影響してくるのか?

 

最も有名なところでは、「腰痛」でしょう。

 

 

東洋医学の世界では、

 

腰痛=腎経の異常

 

として捉えることが多いです。

※解釈の仕方で他の経絡も考慮しますが・・・

 

 

 

理由としてはいくつかあります。

以下に説明します。

 

①腎経は「生」と関わりが深い=老化との関わり(老化による腰痛)

一つ目は、腎経は「生」との関わりが強いことにあります。

 

腎の機能は老化と関わっており、腎経に異常をきたせば老化に伴い生じる腰痛も引き起こしやすくなるということですね。

 

 

②腎経の経絡上を走行する筋が腰痛に深くかかわる筋

二つ目は、腎経の経絡上を走行する筋肉の多くが腰痛と関わりの強い筋であるということです。

 

”内転筋”や”腸腰筋”、”横隔膜”などが挙げられます。

 

また特定の筋という括りだけでなく、腎経自体が機能上、インナーマッスルと同じ機能を有しているという点も、腎経の異常=腰痛の発生・増悪という方程式に繋がりやすいものになっています。

 

 

③腎と関わりの強い感情は「恐れ」=腎の異常で腰が引ける=腰痛

三つ目は、性格的な側面です。

 

それぞれの臓腑には「感情」があると言われています。

 

腎であれば「恐れ」になります。

 

 

昔から「恐怖=腰が引ける」と言われています。

「恐怖で腰が引けた」とは「腰が引けて動けなかった」とか・・・

 

このように、腎そのものが「腰」との関連が非常に高いことを示しています。

 

 

 

2.腎経・膀胱経に対する経絡アプローチ

ここまでで、腎経・膀胱系の概要は理解できたと思います。

 

それでは、これから実際の経絡アプローチについて方法を紹介していきます。

 

 

ここでは、実践的な内容をメインで書いていきますので、

経絡アプローチの詳しい法則や方法に関してはこちらをご覧ください。

 

「痛み」や「だるさ」から経絡の問題を特定する方法
東洋医学には”経絡”という概念があります。この経絡は全身に張り巡らされており全身に作用します。本日は、東洋医学の中でもこの「経絡」にフォーカスしてまとめていきます。

 

経絡アプローチを行う上で必要なイメージと理解しておきたいポイント
経絡アプローチを行う際、①経絡の流れの向きを覚える、②井穴(せいけつ)を覚える、③経絡上にある筋肉や関節をイメージできるようになる、この3点を確実に理解することが重要になってきます。今回はその3点を詳細に説明していきます。

 

 

 

①腎経のケアのための内転筋のトレーニング・ストレッチ

腎経に対してアプローチを行うとき、

内転筋を対象にすることは非常に多いです。

 

 

東洋医学に関わらず「内転筋」は多くの不調に関わっています。

 

そして不調だけに限らず、歩行障害や立ち座り、長時間の立位姿勢などにも関与してきます。

 

 

そんな「内転筋」ですが、

東洋医学では、「虚実の状態」によってトレーニングするのか、マッサージするのかが変わってきます。

 

□内転筋のトレーニング⇒⇒虚の状態(腎が弱っているとき)

□内転筋をほぐす⇒実の状態(腎が頑張りすぎているとき)

 

上記のような形で判断していきます。

 

では、実際の方法です。

(1)内転筋のトレーニング方法

まずは、内転筋のトレーニング方法についてです。

 

 

内転筋は、下図のような形でトレーニングが可能です。

 

図:内転筋のトレーニング方法

 

 

ポイントは、

 

①トレーニングする足は「内くるぶし」を天井に向かって持ち上げるようにする

※足を持ち上げるときに捻じりが入ると、内転筋がトレーニングされない場合がある

 

②トレーニングするスピードが大事(しっかり内転筋を意識して実施する)

※内転筋に負荷がかかっていることを感じながらトレーニングしていくことが大事

 

③呼吸を止めない

※かなり負荷のかかるトレーニングではないので、自然な呼吸を意識する

 

 

 

東洋医学的な観点からのトレーニングに関しては、「過度な負荷」は不要です。

 

 

特に経絡に対するアプローチでのトレーニングにおいては、「過度な負荷」よりも「どれだけ経絡の流れを意識しながらトレーニング出来るか」の方がポイントになります。

 

 

今回の場合は、「内転筋に対して刺激を入れたい」わけですから、トレーニング中に、常に内転筋の収縮感やハリを感じながら実施していく方が何倍も効果が高まります。

 

 

 

(2)内転筋のマッサージ方法

次は、内転筋のマッサージ方法ですね。

この場合は、腎が頑張りすぎているときに適応します。

 

頑張りすぎているって言われても・・・どういう時がそうなの・・・?と思いますよね。

いや、私も思います。

 

ただ、これを西洋医学的な捉え方に落とし込むと意外とすっきりします。

 

どういうことかというと、

対象の筋が張っている硬結がある場合⇒東洋医学では「実」の状態と判断

対象の筋が低緊張緩んでいる場合⇒東洋医学では「虚」の状態と判断

 

こう考えると、トレーニングするべきかマッサージするべきかの判断はつきやすくなるかと思います。

 

 

 

では、実際のマッサージ方法についてです。

図:内転筋のマッサージ方法

 

マッサージでは、基本的に経絡の流れる向きに沿って行っていきます。

 

腎経の場合は、下半身では足から体幹に向かって流れていきます。

 

 

なので、内転筋も膝の方から、股関節の付け根に向かってほぐしていきます。

 

具体的な方法は上のスライドをご参照ください。

 

 

内転筋のマッサージ方法に関しては、こちらの記事であらかじめ紹介しています。

足のむくみからくる「足のだるさ」の解消法!~毎日30秒セルフケアシリーズ~
足のだるさの原因としては以下の項目が挙げられます。長時間立ちっぱなし・デスクワーク・運動不足・筋力不足など。このような、原因の背景には「血流の問題」が関わっています。血液を含めた水分が足に溜まることで足が重だるくなります。今回はそういった症状の解消法を紹介していきます。

 

 

 

②ランジスクワットによる腎経のトレーニング

次は、ランジスクワットによる腎経のトレーニングについて説明します。

 

やり方は以下のスライドで紹介しています。

 

図:ランジスクワットによる腎経のトレーニング

ランジスクワットにより、内転筋や腸腰筋が鍛えられます。

腰痛になっている場合、まず大股に足を開けないことが大半です。

 

なので、まずは自分で出来る範囲の足幅で行っていただければOKです。

 

慣れてきたら足幅を広げていきましょう。

 

 

 

ランジスクワット以外にも、四つ這いでの移動(ハイハイ)なんかも非常に腎経には効果的であると言われています。

図:ハイハイによる腸腰筋のトレーニング方法

 

四つ這いで移動することにより、腸腰筋が活性化されるため腎経の異常による生じる腰痛などにも効果的となります。

 

 

 

③膀胱経のストレッチ&トレーニング

最後は膀胱経に対するストレッチやトレーニングになります。

膀胱経は身体の後方を流れる経絡であり、異常により前屈の制限をきたします。

 

前屈時に腰が痛くなる場合なんかは膀胱経を意識してトレーニングないしマッサージすると改善が見込めます。

 

 

(1)ハムストリングスのストレッチ

まずは、膀胱経のストレッチです。

 

膀胱経は身体の後面を通っており、背筋群からハムストリングス、下腿三頭筋と流れていきます。

 

その中で、ハムストリングスは非常に短縮しやすい筋になり、腰痛にも非常に関わってきます。

 

図:ハムストリングスのストレッチ方法

ハムストリングスのストレッチ方法は上記のスライドの通りです。

 

これはあくまでも一つの方法であって、これが全てというわけではございませんのであしからず・・・。

 

方法ですが、

必要物品としてタオルを用います。

そして、タオルを足にひっかけて引っ張ることでハムストリングスをストレッチしていきます。

 

 

ゆっくり息を吐きながらハムストリングスをストレッチしていきます。

 

 

(②)ハムストリングスを意識したスクワット

次は、ハムストリングスをトレーニングする方法です。

 

方法としてはスクワットをお勧めします。

 

スクワットは一般的に”大腿四頭筋のトレーニング”として有名です。

しかしやり方を設定すれば、ハムストリングスを効果的に鍛えることが可能になります。

 

というか、世間で当たり前に行われているスクワットの多くは膝や腰を痛める方法で行っているように思います。

 

私も学生時代は、トレーニングについて詳しく指導してくれる人なんていないわけですから、今思えばひどいやり方でトレーニングしていたなと思う次第です。

 

しかし、それはいま専門職になったからわかるだけで、理学療法士という仕事に就いていなければ今でもあまりわかっていないと思います。

 

 

と、まぁ話は逸れましたが、

スクワットにより、ハムストリングスを効果的に鍛えることが可能であることをご理解ください。

 

図:ハムストリングスを意識したスクワット

では、ハムストリングスを効果的に鍛えるスクワットの方法ですが、

上の図のようなポジションを取っていきます。

 

ポイントは、

①お尻を突き出すようにスクワットしていく(骨盤前傾させてスクワットをする)

※骨盤を前傾することでハムストリングスが引き伸ばされながら鍛えられる

 

②膝がつま先よりも前に出ない(これは良く言われる)

※膝がつま先より前に出ることで膝への負担増大

 

③膝が内側(Knee-in)に入らない(これも良く言われる)

※膝が内側に入ることで股関節の機能も低下する

 

④回数をこなすよりも一定時間キープする方法を推奨

※スクワット100回よりも良いポジションで一定時間キープするのを10回するほうが効果的

 

以上になります。

注意点を守ることでより効果的にトレーニング出来ます。

それが、腎経・膀胱経のトレーニングにも繋がってきます。

 

補足ですが、特にポイントの①が一番のキーになりますので、実践される場合は注意してください。

 

 

3.まとめ

今回は、腎経・膀胱経に対する経絡アプローチの具体的な方法についてまとめていきました。

 

これまで、腎経・膀胱経に対するトレーニング方法や治療方法について述べてきましたが、単発であり、まとめたものがありませんでした。

 

今回、これまでの内容と少し重複するところもありましたが、

腎経・膀胱経の経絡アプローチについてまとめていきました。

 

まとめ記事を作っておくと、いざ立ち返ったときにすぐに内容を把握することが出来るようになります。

 

そういった意味で、今後腎経・膀胱経に対する経絡アプローチについて知りたい方がすぐにわかるようになればと思います。

 

それでは、本日はこの辺で!

今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました!!

コメント

  1. より:

    はじめまして。
    東洋医学のことは興味あります。
    老化に関わるのですね。
    ケアをしていきたいと思います。
    勉強になりました。ありがとうございます。

    • kabosu1108 より:

      幸さん
      コメントありがとうございます。
      東洋医学に関して私も知らないことが多くて奥深さを感じます・・・。
      それでも、上手く言えませんが西洋医学ではうやむやになる部分でも東洋医学ベースで考えていけばすっきりすることも多々あり、そこが東洋医学の魅力でもありますよね!
      話が逸れましたが、これからも東洋医学の情報を発信していきたいと思いますので宜しくお願い致します。

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