久しぶりです。
KABOSUです。
このところ忙しく、記事更新が遅れています・・・。
今回は腰痛についてです。
腰痛は、安静時でも起こり得る問題ですが、多くは腰を捻ったり反ったりなどの動作時に起こる痛みが多いのではないでしょうか?
以前は東洋医学的に腰痛の動作時痛について考えた記事を挙げていますが、今回はトリガーポイント的視点から考えた腰痛の動作時痛の原因筋を挙げていきたいと思います。
※東洋医学的な腰痛の捉え方についての記事はこちら。
それではよろしくお願いします。
1.腰痛の原因となる疾患
まずは腰痛の原因となる疾患について述べていきましょう。
セラピストであれば、腰痛に関連する疾患についての理解は深いと思うため復習がてらということで・・・。
①ぎっくり腰(急性腰痛)
ぎっくり腰は老若男女問わずほとんどの方が人生で一度は経験するであろうものになります。
西洋では「魔女の一撃」と言われるようで、ある日突然、強烈な痛みが腰に出現します。
はっきりとして誘因がある場合と、ほんの些細な動きで発症する場合があり、なかなか予測や予防することが困難なものでもあります。
ケアとしては、日ごろから筋の柔軟性および体幹筋の安定化を図っておく必要があります。
ちなみに、「一旦ぎっくり腰になるとクセになる」と多くの方が言いますが、あながち嘘ではないようです。
以前の記事でも紹介しましたが、一旦腰痛が発症すると、疼痛による体幹筋の抑制がかかり、”腰痛が治まっても筋の弱化は進行してしまう”という研究結果が出ています。
このことから、体幹筋のトレーニングは、ぎっくり腰の予防になるだけでなく「再発の予防」にも重要になるということですね!!
②腰痛椎間板ヘルニア
次は腰椎椎間板ヘルニアです。
こちらは腰椎にある椎間板が変性などにより、椎間板の一部が出てきてしまい、後方にある神経を圧迫し腰痛および神経症状を起こします。
脊柱は大きく分けて前方と後方の支持組織が存在します。
前方は椎体と椎間板、後方は椎間関節となります。
つまり、椎間板ヘルニアでは前方の支持組織に負荷がかかり発症していることが考えられるため、”前屈系の運動”はリスクになります。
床の物を拾う動作・しゃがみ込み動作・中腰での作業
など腰椎椎間板ヘルニアを引き起こしている場合は、基本的にとらないほうがいい姿勢および動作になります。
③腰部脊柱管狭窄症
最後は腰部脊柱管狭窄症になります。
こちらは名前のまんまですが、脊柱管内の狭窄(狭くなる)により腰痛および神経症状が生じるものです。
狭窄症の場合は、高齢者に多く加齢による問題が強いようです。
脊柱管は背骨、椎間板、関節、黄色靱帯などで囲まれた脊髄の神経が通るトンネルです。
加齢に伴い背骨が変形(骨棘も出来ます)したり、椎間板が膨らんだり、黄色靱帯の肥厚が生じることで神経の通るための隙間が狭くなります。
その結果、脊柱管を通る神経が圧迫され、神経の血流が低下して脊柱管狭窄症が発症します。
脊柱管の径は体幹前屈で広くなり、体幹後屈により狭くなります。
そのため、基本的には体幹伸展の動きは控える必要があります。
上にあるものを取る動作・洗濯物を干す動作・長時間の立位および歩行
などは注意が必要となります。
2.腰が痛い場合の動作時痛から考える原因筋
上記までで腰痛に関する疾患のイメージが再確認できたと思います。
では、次は疾患による影響を念頭に起きつつ、筋肉の影響も考えていきましょう。
トリガーポイント療法は、原因のはっきりしない症状や難治性の症状に効果を発揮するといわれています。
というのも、人体にトリガーポイントが形成された場合、原因とは遠く離れた場所に痛みなどの問題を引き起こすとされているため、
トリガーポイントが原因である場合、患部ばかりケアしていても改善することは考えられないということです。
トリガーポイントの形成される原因はいくつかありますが、身体の使い方も影響してきます。
どういうことかというと、不良姿勢やいつも同じパターンの姿勢および動作を取っていると、トリガーポイントが形成されやすくなるということです。
こう考えると、パターン化された姿勢や動作を繰り返し取ることでトリガーポイントが生じ、特定の動きを行った際に腰痛が生じるというロジックはなんとなくイメージできると思います。
と、なると腰痛の動作時痛からトリガーポイントの原因筋を特定することが可能であることがわかりますね!
ということで前置きが長くなりましたが、
動きに伴って生じる腰痛の原因筋一覧は以下の通りです。
①前屈が痛い - 浅層・深層脊柱起立筋・ハムストリングス
②後屈が痛い - 腹直筋・大腰筋・小腰筋・腸骨筋・大腿四頭筋
③側屈が痛い - 中殿筋・腰方形筋・浅層・深層脊柱起立筋
④回旋が痛い - 内・外腹斜筋
①前屈で腰痛がある場合の原因筋
体幹の前屈で腰痛が出現する場合、トリガーポイント理論で考えると、
「浅層・深層脊柱起立筋」や「ハムストリングス」
が原因筋になると考えられます。
トリガーポイントが形成されると、基本的には伸長刺激によりトリガーポイントが反応し症状を増悪させます。
そのため、体幹の前屈では背面にある筋群がトリガーポイントの影響を受けやすくなります。
②後屈で腰痛がある場合の原因筋
体幹の後屈で腰痛が生じる場合は、
「腹直筋」・「大腰筋」・「腸骨筋」・「大腿四頭筋」
などの筋が影響します。
腹直筋は思っているより、腰痛の原因になっていることが多く、
過度な腹筋の筋トレを行っている場合や消化器系に問題がある場合、この腹直筋にトリガーポイントが形成されていることがあり、腰痛に繋がっています。
大腰筋や腸骨筋は両者を合わせて”腸腰筋”と呼ばれますが、こちらは隠れた腰痛筋として有名です。
この筋は股関節に付着を持ちますが、走行は腰椎に沿って下行し、骨盤に入るところで急激に前方に移動します。
そのため、体幹の後屈運動で伸長されるわけですね。
③側屈で腰痛がある場合の原因筋
体幹の側屈により生じる腰痛については、
「中殿筋」・「腰方形筋」・「浅層・深層脊柱起立筋」
などが影響します。
中殿筋や腰方形筋は体幹の側屈により伸長されるため、トリガーポイントが反応し腰痛を輸発します。
脊柱起立筋も同様ですね。
側屈により反対側にある起立筋が伸長されるため腰痛が出現するということですね。
④回旋で腰痛がある場合の原因筋
最後は、体幹の回旋運動で生じる腰痛についてですが、
「内・外腹斜筋」
この2つの筋が主に影響します。
2つの腹斜筋は斜めに走行しているため、回旋系で機能を果たします。
3.トリガーポイントが影響しているかどうかを判別する方法
上記で、体幹の動きに伴って生じる腰痛の原因筋は理解できたと思います。
理解出来たら、次は本当にトリガーポイントが影響しているのか?関節の問題なのか?その他の問題なのか?などを判別する方法を説明します。
と、いったものの、今回紹介する判別方法は一つだけです・・・(;一_一)
簡単にいうと、とにかく触って確認するしかありません。それだけです。
少し詳しく書くと、以下の通りになります。
「トリガーポイントが影響している筋を刺激し、腰痛の再現があるかどうかを確認する」
トリガーポイントが影響している場合、原因筋を押すと「動作時に生じた腰痛」が発生することがあります。
このように、普段感じる腰痛が、筋を押すことで再現される場合は、トリガーポイントが影響している可能性が高いということになります。
ただし、対象となる筋のどこでも押せばいいわけではなく、「固い感じがある所」とか「筋の走行に沿って触っても上手く滑らない」などの感じがある部位を押すことでトリガーポイントの影響の有無を確認できるわけなので、ある程度の触る技術は必要になってきます。
ベタベタ触るのは良くないですが、あたりをつけてポイントで触っていくことをお勧めします。
4.まとめ
今回は、動きに伴って生じる腰痛の原因筋についてトリガーポイントの視点から考えていきました。
●腰椎椎間板ヘルニアの場合は体幹の前屈系の運動は注意する!
●腰部脊柱管狭窄症の場合は体幹の後屈系の運動に注意する!
●体幹の前屈運動時の腰痛では脊柱起立筋やハムストリングスなどの人体の後方にある筋が影響する
●体幹の後屈運動時の腰痛では腹直筋や腸腰筋などの人体の前面にある筋が影響する
●体幹の側屈運動時の腰痛では中殿筋や腰方形筋、脊柱起立筋が影響する
●体幹の回旋運動時の腰痛では腹斜筋群が影響する
●トリガーポイントは形成されている筋が伸長されることで増悪し痛みを引き起こす
●トリガーポイントが影響しているかどうかの判別は、対象となる筋のトリガーポイントを刺激して痛みの再現性があるかどうか
以上の点が今回のポイントになります。
それでは本日はこの辺で。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!
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