大腿骨骨幹部骨折や顆上骨折では膝の屈曲制限が生じることが多い

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理学療法
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どうも。

KABOSUです。

 

今回は、理学療法について記事にしていきます。

 

臨床では大腿骨の骨折の術後にリハビリを行うことがあります。

大腿骨の骨折と一括りにしても、骨折する場所によって問題点は大きく異なります。

 

高齢者に多い骨折の一つに、大腿骨頸部骨折がありますがこれは股関節に近い部位での骨折になります。

対して、大腿骨顆上骨折などは膝関節に近い部位の骨折になります。

 

今回はこの大腿骨の骨折の術後に起こり得る問題の一つである、膝関節の屈曲制限について考えていきたいと思います。

 

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1.大腿骨の骨折一覧

大腿骨の骨折はいくつかの種類があります。

大腿骨の骨折で圧倒的に多いのは、大腿骨頸部骨折や大腿骨転子部骨折になります。

この2つの骨折は股関節に近い所の骨折であり、転倒が多くなる高齢者に多い骨折となります。(大腿骨頸部骨折は高齢者に多い骨折の一つに挙げられます)

 

また、大腿骨骨幹部骨折や大腿骨顆上骨折などは、大腿骨の中間から遠位部の骨折になります。

これらは、交通事故などの高エネルギー外傷で生じることが多いとされています。

 

①大腿骨頸部骨折

大腿骨頸部骨折は、大腿骨頭と転子部の間にある頸部の骨折になります。

頸部骨折は股関節により近い部分の骨折になります。

つまり関節包内の骨折になるわけです。

骨の表面には外骨膜があり、折れた骨が癒合する時に重要な役割をします。

 

ところが、関節包の内側にある大腿骨頚部にはこの外骨膜が存在しないため、 この部分の骨折は非常に癒合しにくいという特徴があります。

 

このように、大腿骨頚部骨折は骨癒合しにくいので偽関節となったり、骨頭部が壊死になりつぶれて遅発性骨頭陥没になったりするので、治療がとても難しい骨折といえます。

 

 

②大腿骨転子部骨折

大腿骨転子部骨折は、大腿骨の大転子周辺の骨折になります。

頸部骨折と違い、転子部骨折は股関節の関節包外の骨折になります。

 

そのため、周囲を血行のよい筋肉組織などに囲まれている(頸部は血流が阻になる)ので、転子部骨折は骨癒合しやすく偽関節になってしまう危険性は少なく、また骨頭壊死にもなりにくい骨折とされています。

 

 

③大腿骨骨幹部骨折

大腿骨骨幹部とは大腿骨の真ん中を指します。

この部分が骨折した場合に大腿骨骨幹部骨折と呼びます。

 

受傷の仕方は成人と高齢者で大きく異なります。

成人は、交通事故や転落などの極めて強い外力の作用により生じる場合(高エネルギー外傷)が多くなります。

 

対して、高齢者の骨折は転んだりつまずいたりするだけで骨折してしまうこと(軽微な外傷)が多いです。

ただし、大腿骨頸部骨折と比べると症例数は少ないです。

 

④大腿骨顆上骨折

大腿骨顆上骨折は、大腿骨遠位骨折の一つであり、原因は大きく分けて二つあります。

一つは転倒など比較的小さな力で骨折するタイプで、多くは骨粗鬆症を伴った高齢の方に見られます。

もう一つは交通事故や転落といった大きな力が太ももに加わり骨折するタイプで、これは比較的若い方に多く見られます。

 

また、折れ方も大きく分けて二つあり、骨折が膝関節まで及んでいるかどうかが重要となります。

膝関節面に骨折が及ばないものは高齢者の転倒により生じることが多く、比較的単純な骨折であるといえます。

対して膝関節面まで骨折が及ぶタイプはより複雑といえ、高齢の方でも見られますが、青壮年の比較的若い人が交通事故や転落などにより発生しやすい骨折です。

 

大腿骨顆上骨折は膝関節周囲の骨折であるため、膝関節の拘縮及び変形癒合をきたし、機能障害を残しやすいことが言われています。

 

 

 

 

2.大腿骨骨幹部骨折や顆上骨折で問題となる膝の屈曲制限について

ここからは今回の本題になる、大腿骨骨幹部骨折や顆上骨折で問題となる膝の屈曲制限についてです。

 

なぜ大腿骨の骨折で膝の屈曲制限をきたすのか?について考えていきます。

 

骨折時に中間広筋の挫傷を起こしていることが多い

中間広筋の瘢痕化は著名な膝関節拘縮の原因となりえます

 

大腿骨骨幹部骨折や大腿骨顆上骨折例では、受傷時点ですでに中間広筋の挫傷が存在するものとして運動療法を実施することが望ましいとされています。

それだけ、中間広筋の挫傷が起こりやすいわけですね。

 

で、この中間広筋の挫傷がなぜ膝の屈曲制限をきたすのか?なんですが、原因は膝蓋上嚢にあります。

膝蓋上嚢は中間広筋の中に存在し、それが癒着すると膝の屈曲可動域を著名に制限します。

 

このように膝蓋上嚢の癒着は膝蓋骨の運動性を重度に制限し、膝関節拘縮の大きな原因となるわけです。

 

膝蓋上嚢に関する記事はこちらに詳しくまとめられていますのでご覧ください。

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大腿四頭筋と骨折の癒着が原因で膝の屈曲制限をきたす

中間広筋の瘢痕化と同じような内容にはなりますが、やはり、骨折部とその周囲に存在する筋の関係性が破綻することで膝の屈曲制限をきたすということですね。

 

文献では、大腿骨骨幹部骨折後の合併症として膝関節拘縮が存在すると比較的昔から言われています。

一つの文献の一部を紹介します。

●大腿骨骨折441例についての調査を行っている

●膝関節の屈曲障害が認められたものが全症例の31.2%に達しており、その中でも直角まで屈曲できないものが21%を占めていた

●大腿骨下1/3部の骨折では固定期間とは無関係に膝関節の屈曲障害が高頻度にみられ、その約半数が直角まで屈曲できない結果となっている

 

このように大腿骨骨折後に膝関節拘縮は高頻度に併発しますが、その原因は大腿四頭筋と骨折の癒着であるという説が有力です。

 

 

3.まとめ

今回は、大腿骨の骨折後に生じる膝関節の屈曲拘縮について考えていきました。

臨床でも上記のような病態を呈している症例は比較的多く見かけます。

これまでの経験上、時間の経過と共に改善されてくる場合が多かったように思いますが、

今回紹介したように、膝蓋上嚢の問題や骨折後の大腿四頭筋の影響などを考えると、膝の可動域制限に対しても着目してリハビリを進めていく必要性を感じました。

 

骨折後のリハビリではADLupやリスク管理など色々考えなければならないですが、膝の屈曲制限・拘縮についても起こり得る問題として頭の中にいれておきたいと思います。

 

それでは本日はこの辺で。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!

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