中殿筋の弱化と腰痛の関係性~異常歩行の問題から考えらえる腰痛~

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どうも。

KABOSUです。

今回は中殿筋と腰痛の関係性について考えていきます。

中殿筋は骨盤の側面に付着する筋であり、歩行時の側方動揺を制御する役割があります。

この中殿筋の機能が破綻すると、当然歩行時の側方安定性は低下します。

結果的に跛行が生じたり、跛行を代償するために違う跛行が生じたりなど・・・

股関節系のOpe後はこういった問題が多く見受けられ、術後リハビリの課題になることがあります。

今回は、この中殿筋の機能不全が生じることで起こる異常歩行と、それにより生じる二次的な問題(腰痛)について考えていきたいと思います。

1.中殿筋の解剖

中殿筋は腸骨外面にある前殿筋線と後殿筋線の間に起始し、大転子の外側面に停止します。

中殿筋の深層には小殿筋が存在します。

中殿筋は小殿筋と協同して股関節の外転に作用します。

また、荷重位では骨盤の安定化に寄与し、歩行時の過剰な側方動揺を制御する役割も担っています。

【起始】

腸骨外面の前殿筋線と後殿筋線の間

【停止】

大転子の外側面

【支配神経】

上殿神経(L4~S1)

図:中殿筋

2.中殿筋の機能異常により生じる異常歩行(跛行)

中殿筋の異常は即歩行に影響します。

股関節のOpe(頸部骨折・THA・BHAetc…)後の患者さんの多くはこの中殿筋の機能不全を引き起こしており、異常歩行を呈し術後リハビリの課題になることが多いです。

トレンデレンブルグ徴候(Trendelenburg sign)

トレンデレンブルグ徴候は、中殿筋の機能不全により生じる反応です。

中殿筋筋力と片脚立位時の骨盤の安定には密接な関係があります。

片脚立位の際、体重による骨盤の低下を支持脚の中殿筋が働くことで制動し、側方安定性を得ています。

中殿筋筋力が低下すると遊脚側の骨盤の沈下を止めることが出来なくなります。

この現象をトレンデレンブルグ徴候と言います。

つまり、歩行時の患側下肢での荷重時に、反対側(遊脚側)の骨盤が下垂してしまう現象が起こるということです。

図:正常(中殿筋が機能している場合)とトレンデレンブルグ徴候

デュシャンヌ歩行(Duchenne gait)

デュシャンヌ歩行とは、歩行時に荷重側に体幹を側屈させる異常歩行のことを言います。

患側下肢で荷重を行った際に、中殿筋の負担を軽減させるため体幹を荷重側に側屈させる代償機構を使うため、歩行時に横ブレを認めます。

中殿筋の筋力低下例や股関節への荷重時痛があるケースでは、このデュシャンヌ歩行を呈する例が多いです。

トレンデレンブルグ歩行との大きな違いは、荷重時に重心線を骨頭に近づけることで、少ない筋力でも骨盤が支持でき、また骨頭にかかる力も減少させることが出来ることにあります。

図:デュシャンヌ歩行

3.中殿筋の機能異常によって腰痛が生じる可能性

ここまでで、中殿筋の機能不全が歩行に及ぼす影響が理解できたと思います。

では、この中殿筋の機能不全がどのように腰痛に影響するのか?について考えていきましょう。

中殿筋の機能不全によって生じるデュシャンヌ歩行

デュシャンヌ歩行では、腰椎の側屈が代償として入ります。

そのため、腰部への影響も強くなり、場合によっては腰痛を生じることがあります。

【デュシャンヌ歩行の例】

右人工股関節全置換術術後であり、右股関節部の痛みがあり十分な荷重をかけることが出来ない、そして、中殿筋のMMTが2~3レベルの場合

この場合、歩行時の右立脚期に荷重を避けることが予想されます。

そうなると、右立脚期に体幹を右側屈させて重心の補正を行っていく代償が生じます。

体幹を右側屈させることにより、右の中殿筋にかかる負荷が極端に減るため中殿筋の筋力低下があっても荷重をかけることが出来ます。また重心線を右の大腿骨頭に近づけるため右股関節への痛みも比較的少なく荷重が出来るようになるため歩行が可能になります。

デュシャンヌ歩行の二次的問題

弱化した部分の代償として生じるデュシャンヌ歩行ですが、いつまでもこのような異常歩行を続けるわけにはいきません。

場合によっては、腰痛を併発する可能性も出てきます。

デュシャンヌ歩行によって常に体幹を側屈させていると、腰椎部のアライメントは正常から逸脱してしまいます。

そうなると関節系および筋系の両者に異常を引き起こしやすくなります。

腰方形筋の短縮による腰痛

体幹の側屈にて影響を受ける筋に「腰方形筋」があります。

体幹の側屈した側の腰方形筋は短縮位になります。

常に側屈が入る場合、この腰方形筋が原因で腰痛を引き起こす可能性があります。

腰方形筋について詳しく知りたい場合はこちらの記事をご覧ください。

腰痛の原因となる組織の一つである「筋肉」にスポットを当てると、”腰方形筋”の影響は比較的大きいものになります。今回はこの腰痛に関連する筋の中で候補に挙がる確率の高い”腰方形筋”について記事にしていきます。「腰方形筋が痛む原因」と腰方形筋がどのように腰痛に関わっているのか」について紹介していきたいと思います。それではよろしくお願いいたします。

椎間関節性の腰痛

体幹の側屈が生じる場合、関節系にも影響を及ぼします。

椎間関節は左右に存在し、体幹を側屈した場合側屈した側の椎間関節の関節面は狭小化し、反対側は離開します。

つまり、側屈により関節面は狭小化するわけであり、関節包などの挟み込みなどが生じるリスクが高くなります。

鋭い痛みを腰部に感じる場合は、椎間関節性の腰痛である可能性が高いです。

椎間関節のイメージがわかりにくいと思う方はこちらの記事をご覧ください。

腰痛を治療する場合、関節が問題なのか?筋が問題なのか?を判断していきます。この判断をまず行っていかなければ、椎間関節の硬さがあるのに筋のストレッチをしても十分な効果は見込めませんよね。なのでまずは「どの組織に制限をきたしているのか」を判断する必要があります。 そのためには椎間関節の制限パターンを理解しておくと簡単に筋性なのか、関節性なのかの判別がつくようになりますよ。

4.まとめ

今回は、中殿筋の筋力低下によって生じる腰痛のリスクについて考えていきました。

中殿筋は歩行と大きく関係しており、筋力低下にて異常歩行をきたします。

この異常歩行により二次的に腰痛を引き起こす可能性があることを今回は主に主張していきました。

あくまで可能性の話であり、100%腰痛に繋がるわけではありませんが、二次的な機能障害では十分にあり得る問題です。

こういった場合、腰痛に対していくらリハビリしても改善しないことが多いです。

根本の原因を特定して主問題に対して改善を促し、結果的に腰部の負担軽減⇒腰痛軽減を図って行くといったイメージを持つことも大事であると思います。

それでは本日はこの辺で。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!