どうも。
KABOSUです。
今回は症例検討を行っていきます。
つい最近、ぎっくり腰を起こした後から右の股関節周囲に違和感が残っているという問題を抱えている方に出会いました。
腰痛そのものは寛解しているようでしたが、違和感だけが中々治らないと。
今回はそんな症例の違和感に対して評価を行い、問題点の特定に至ったため記事にしようと思いました。
”違和感”というと少し不明瞭で判断しにくくなりますが、その不明瞭な感じをどう変換し効果判定にしていったかをまとめていきます。
また、腰痛は寛解しても違和感レベルで残存していることから再発の可能性もあると判断し、腰痛に対する評価も併せて行い、腰痛と右股関節周囲の違和感の関連性も検討していきます。
1.症例紹介
●60歳代女性
●痩せ型
●活動的な性格
●身体への意識は高い
2.症例の経過
庭でしゃがみ込んで草むしりを行っていて、立ち上がろうとしたときに腰痛発生。
数日動けないことがあったが、腰痛は徐々に寛解。
それから数週経過したが、右股関節周囲の違和感がなかなか取れない。
ちなみに右股関節周囲の違和感がずっと前から多少あったが今回それが強くなっている。
3.主訴
・もう腰は痛くなくなった
・腰を痛めた時はここ(右仙腸関節付近)が痛かった
・でも右股関節を曲げるときとかに時々つまり感がある
・歩くときも右足だけなんか違和感がある
4.腰痛・右股関節周囲の評価
主訴から考えられる問題
右仙腸関節付近の痛み⇒ワンフィンガー徴候あり⇒仙腸関節性の腰痛の疑いあり
※限局された痛みを訴えであったため仙腸関節性の腰痛を疑います
骨盤アライメント
【スタティックな評価(立位)】
●PSISは右側が下制
●腸骨稜は右側の方が低い
このことから右骨盤の後傾位(後方回旋)と判断。
骨盤の見るポイントは以下の図をご参照ください。
図:スタティック テスト(positioning test)
【ダイナミックな評価】
●ストークテストでは両側とも陰性(仙骨のうなずきは見られていた)
※ただし、片脚立位はやや不安定さ見られた(両側とも骨盤の不安定性は多少あるか)
ストークテストについて詳しく知りたい方はこちらから。
アクティブSLRテスト
●右側の重み+
※右下肢の荷重伝達不足が考えられる
アクティブSLRについて詳しく知りたい方はこちらから。
【弱化筋の判断】
・多裂筋-
・腹直筋-
・腹横筋△
・腹斜筋-
・大腰筋◎
※軽い刺激では大きな変化なく右下肢の重さは変化なかったが、大腰筋に直接コンタクトしてその後再度評価すると劇的に足が軽くなったと。
※実際に大腰筋の緊張は左側に比べて↑↑。
5.問題点の解釈
上記の評価で得られた情報を整理していきます。
まず、本人の訴えから仙腸関節性の腰痛を疑いました。
仙腸関節性の腰痛であれば痛みは広範囲にでるため様々な不定愁訴の説明ができると考えました。
そこで骨盤帯のアライメントをチェックしていきました。
まず静的なスタティックな評価ですが、
PSIS・腸骨稜のチェックで右側の後傾位が確認されました。
立位で後方からPSIを触知しましたが、極端にPSISの後方移動はありませんでした。
スタティックな評価にて右側の仙腸関節のアンロックを疑いました。
この時点で”右股関節の異常”と”右仙腸関節の異常”の関連性がだいぶ結びついてきました。
次に、動的なダイナミックな評価ですね。
先程の右仙腸関節のアンロックを疑いましたが、実際に動きの中でアンロックが起こっているのか?を判断していきました。
ストークテストを行っていきましたが、両側とも陰性でした。
このことから、仙腸関節のアンロックは起こっていないという結果になりました。
ただし、ストークテストで行う片脚立位自体は不安定性がみられたため、他の部位の影響もあるでしょうが、骨盤帯の不安定性もあるものと考えました。
上記のことから仙腸関節のロッキングに影響する組織(筋)の評価をするためにアクティブSLRテストを行っていきました。
この評価は以前から症例に実施して毎回多裂筋の弱化が確認されていました。
※反応自体は極端ではなかったため大きく弱化しているわけではなかったと思われます
しかし、今回は多裂筋は反応せずでした。
代わりに腹横筋の刺激で若干右足の重みの消失は見られましたが、これも若干で重みは残存している状態でした。
この時、右足の重みが大腿前面の遠位部に限局されて出現していました。
このことから大腿直筋の過剰収縮により生じている重みと判断し、同じ股関節屈筋である腸腰筋の機能不全がアクティブSLR時の右下肢の重みに繋がっているのではないかと考えました。
そこで、大腰筋に直接コンタクトしていくと左に比べ右側の方が硬結が確認されました。
その硬結をしっかりリリースしていくことでその後アクティブSLRは劇的に改善し、足の重みは消失しました。
上記の評価結果をまとめると、
右側の股関節の違和感は、右下肢の荷重伝達不足が影響しており、それは大腰筋の機能不全からくるものであると判断しました。
大腰筋は骨盤前傾に働く筋であることからも、症例の右側の骨盤後傾位となっている現象が説明できます。
6.大腰筋のリリースを行った結果
大腰筋のリリースにより右下肢の重量感が消失し、合わせて股関節の違和感も改善されました。
そのため、効果を持続させるため大腰筋のセルフリリース方法を指導していきました。 図:大腰筋の位置とトリガーポイント
図:大腰筋のリリース方法
上の図のようなセルフリリース方法を指導しました。
今後、経過を確認していきたいと思います。
7.まとめ
今回は、腰痛に関して記事にしていきました。
ぎっくり腰に限らず腰痛は再燃しやすいものです。
腰痛の再燃についての記事はこちらからご覧ください。
一度治ったからといってほったらかしにしていたら再び腰痛に悩まされることになります。
その観点からも今回の治療は効果的であったと思います。
ただ、あとは自主的にコンディショニングが出来るかがポイントになると思います。
腰痛は生活習慣の問題も少なからずあるわけで、そこに気付かない限り完全に治ることはないと思います。
そういった課題を自主トレーニングなんかで気付いてもらえたらいいですよね。
それでは本日はこの辺で。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました!!
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