どうも。
KABOSUです。
少しさぼっており、かなり久しぶりの投稿となります・・・
気を取り直して、また更新していきますのでよろしくお願いいたします。
それでは、さっそくですが今回は症例検討について記事を書いていきます。
症例についてですが、
腹筋のトレー二ングをしすぎて腰痛を引き起こしてしまった例になります。
腹筋は腹部前面を守る筋であり、人間の重要部位(臓器など)を保護するのにも一役買っている筋になります。
また、見た目にも大きく影響する筋であり、夏にかけて腹筋をトレーニングする方は多いかと思います。
そんな腹筋ですが、適切に鍛えていかなければ腰痛を引き起こすきっかけになってしまいます。
今回はそんな負の連鎖について、症例を通して体験したことをまとめていきたいと思います。
1.症例紹介
●20歳代男性
●体型は筋肉質
●筋トレ好き
●スポーツ歴あり(サッカー)
●現病歴
学生時代は筋トレを毎日行っておりがっちりした身体であった。社会人になり毎日身体を動かすことがなくなり少し太る。体重と体型が変わったことに気づき筋トレを再開したが、急に負荷を掛け過ぎたために腰痛が発生しどうにもこうにこならなくなった。
2.理学療法評価
□姿勢について
脊柱は胸椎の後弯が減少・腰痛の前弯が減少して一貫してフラット気味になっておりフラットバック様の姿勢となっている。
□可動域について
・体幹伸展動作に著しい制限あり(立位で身体を反る動作)
※伸展動作にて腰部に疼痛の訴えもあり
・股関節の伸展・膝の屈曲制限あり(大腿四頭筋の短縮が考えられる)
3.実際の腹筋の状態について
今回の症例は、腹部の緊張が異常に高くなっている状態でした。
当然トレーニングを継続して行っているからなんでしょうが、”お腹の力が抜けない状態”になっていました。
そのため、うつ伏せで上体を起こす動作を行っても腹部の伸びがあまり見られず、反りきれない状態となっており、腹部と背部のアンバランスさが目立ちました。
4.腹筋のトレーニングが腰痛に繋がったと考えられる理由3つ
ここからは、なぜ腹筋のトレーニングが腰痛に繋がっていったのかを考えていきます。
上記で挙がった問題点をまとめて考えていきます。
①腹筋だけ鍛えていた
一つ目の問題は、”背筋との関係”です。
腹筋は体幹の屈筋であり、それに対応するのは体幹の伸筋である背筋になります。
□腹筋が収縮すれば背筋は伸長される
□背筋が収縮すれば腹筋は伸長される
このように腹筋と背筋は連動しており、どちらかが収縮すれば反対は伸長されるようになっています。
そうやって身体の動きをスムーズに起こすようになっています。
今回はこのバランスが崩れたために腰痛を引き起こしたものと考えられます。
背筋のトレーニングを考える必要がありましたね。
②腹筋のストレッチを怠っていた
二つ目の問題は、「腹筋の収縮だけを行っており長さ(ストレッチ)を出してなかった」が挙げられます。
腹筋のトレーニングの多くは収縮させる運動であり、遠心性でのトレーニングは比較的少ないです。
故に腹筋のトレーニング後は腹筋は短縮位になってきます。
これを放置すると短縮位で固まってしまいます。
どの筋でも同じですが、機能的に筋が作用するためには筋の長さが大事になります。
いくら筋を鍛えても収縮力が弱ければパワーは生まれません。
収縮力は、筋の長さが長いほど強くなります。
例えば、何もしていない状態(脱力時)が数値で言うと”0”だとすると、収縮時(力をMax込めた時)が”100”となります。
この場合、0⇒100までの収縮力があるため大きなパワーが生まれます。
しかし、筋トレをし過ぎて筋が短縮位になっている場合、すでに脱力位から収縮しているわけなので完全に”0”ではないわけですね。
トレーニング次第にもなりますが、すでに30や50まで力が入っているわけです。
つまり、収縮力は30⇒100と、脱力時に比べて30%収縮力が低下するということになります。
このように、収縮力が落ちることで筋機能そのものが低下し本当に見た目だけの筋肉になってしまうわけです。
こうならないように収縮力を高めるためのストレッチも大事になってきます。
③そもそも鍛え方が悪かった
3つ目の問題は、そもそもというか根底の問題というか・・・
でも意外と多い問題だったりもしますね。
私自身もそうでしたが部活をしているときなんかは専門的な知識を知らないわけなので、
●とにかく回数をこなす
●無理をすればするほど鍛えられる
●限界を超えるまで頑張る・・・
などなど・・・筋トレとしては間違ってはいないけど機能的に使うためにはNGなことばっかりしていたなぁ・・・・と思い返すたびに反省します。
筋トレをする上で何を意識するかが非常に大事になってくるのですが、
今回は、不用意な筋トレで腰痛にならないための方法を意識していくわけなので、大事なのは”呼吸”になります。
「息を止めてひたすらアウターばっかりを使ってトレーニングをする」
これは最悪です。
息を止めてトレーニングを行うことは百害あって一利なしです。
上記でも述べたように、呼吸を止めるとアウターマッスルだけのトレーニングになってしまいます。
呼吸を使って深いインナーマッスルも使うトレーニングを意識する必要があります。
他にも、
・息を止めると血圧が急上昇する(内科疾患のリスク)
・変に力んで余計なところに力が入り鍛えたいところが鍛えられない(代償動作)
などの問題が挙げられます。
5.腹筋を鍛えすぎた場合の腰痛に対する対処法
上記内容を踏まえて、腹筋を鍛えすぎている場合の腰痛に対する対処法をお伝えします。
腹筋の働きを考慮したうえでの方法を提案していきます。
①股関節の伸展可動域を出す
【腹筋の特徴】
●腹筋は恥骨に付着する筋で短縮すると猫背傾向になる
●股関節も同時に屈曲位になる
●股関節屈筋である大腰筋も短縮する
●大腰筋は腰椎を安定させる機能があるため、機能不全を起こすと腰痛をより強めてしまう
【股関節の伸展可動域を出すことで得られる効果】
□腰椎の安定化に関わってくる大腰筋のストレッチが行え、腰部の安定化機構の改善に繋がってくる
□大腰筋が機能すれば腰痛の鎮静化に一役を買う
□腹筋のトレーニングで同時に短縮された大腰筋をストレッチし、腰部への負担を軽減させる
【股関節の伸展角度を出すトレーニング】
・ランジ動作
・うつ伏せでの股関節伸展運動
・歩幅を大きくして歩く
などが挙げられます。
おススメは”ランジ動作”になります。
大腰筋に対しストレッチ(伸長刺激)をかけながらも、それ以上足が後ろに行かないように制御する必要があるためです。
ただ単に伸ばすだけだとその後の筋出力は低下してしまいます(伸びきったゴムをイメージしてください)。
そうならないようにしっかり収縮も入れつつしっかりストレッチできるランジ動作はおススメになります。
②呼吸を使った腹筋トレーニングを実践
次は、呼吸を使った腹筋トレーニングになります。
呼吸と合わせることで横隔膜や腹横筋などの働きも多少なりとも得ることができ、インナーマッスル・アウターマッスルをバランスよく鍛えることができるようになります。
【呼吸を使ってトレーニングすることで得られる効果】
□インナーマッスルの働きも得られるようになり腰部の安定化を損ねにくくなる
□過剰に鍛えられなくなりバランスの方よりが少なくなる
□インナーマッスルとアウターマッスルのバランスが崩れにくくなる
などの効果が考えられます。
【実際のトレーニング】
・腹式呼吸
・腹式呼吸+腹筋運動(息を吐くときに腹筋を収縮させる)
要は呼吸と連動させて腹筋トレーニングを行っていけばいいわけです。
これに加え、骨盤の前後傾を意識するとより効果が高まります。
理想は骨盤の前後傾中間位を取ることになります。
腹筋トレーニングを骨盤の位置関係を意識せずに行うと、後傾位に傾きやすいです。
実際の研究でも、骨盤中間位でトレーニングを行う方が腹横筋の筋活動が高かったという報告もあります。
純粋な腹筋トレーニング(仰向けで上体を起こす運動)の場合は、床と背中が指一から二本分開いた状態で行うと骨盤中間位でのトレーニングとなるため効果的になります。
トレーニングを行う前に、仰向けで背中と床の間に自分の手が通りかを確認してからトレーニングに移ると意識しやすくなるかと思います。
6.まとめ
今回は、腹筋を鍛えすぎたために生じた腰痛について症例を通してまとめていきました。
腹筋自体は腰痛患者に対しても鍛えるべき筋肉として選択は間違っていませんが、方法や他の組織への関連性をしっかり認識しておかなければかえって腰痛を増悪させてしまうことになります。
トレーニングを行う際はある程度の知識をもって行うことをおススメします。
それでは本日はこの辺で。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました!!
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