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【新人PTにお勧めの記事】TKAの術後のリハビリの進め方について~エビデンスだけじゃない考え方~

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リハビリ業界ではエビデンスのある訓練が非常に大事になってきます。

ただし、エビデンスだけを頼りにしていたら根底にある問題に気付かないこともしばしばあるかと思います。

膝OAの患者、TKA術後の患者どちらにも大腿四頭筋の筋力訓練は勧められています。

しかし、なぜ勧められているのか?トレーニングを行なったら膝周囲に何が起こっているのか?などを理解していなければ、いずれ応用が利かなくなってしまいます。

今回は、そういった点を踏まえて「TKA術後のリハビリの進め方」についてエビデンスを基礎にして、術後の時期に合わせたリハビリの考え方をご紹介していきたいと思います。

1.TKA術後のリハビリに関するエビデンス

先日の記事ではTKA術後のリスク管理について具体的に書いていきました。

術後のリハビリの必要性なんかはこの記事を読めばよくわかってきます。

【必見】TKA術後のリハビリに関わる人の為の記事~術後リハビリのポイントとリスク管理~

ここでは、TKA術後のリハビリを具体的に掘り下げてまとめていきます。

術後のリハビリをを理解していくうえで必ずといっていいほど知っておかなければいけないことがあります。

それは「ガイドライン」ですね。そして「エビデンス」になります。

術後のリハビリを行っていくうえで100%ではありませんが、必ず参考になるものです。

以下は、TKA術後のリハビリに関するエビデンスを抜粋したものになります。

術前可動域制限が術後可動域獲得に影響する

術前にすでに膝関節の可動域制限を伴っている場合は、術後も可動域制限が残存しやすい。

背景には、「可動域制限=膝の変形が高度」という方程式が成り立っているからで、術前に変形が高度であれば術前の可動域制限を反映してしまうわけである。

術前リハビリは術後の機能改善に有効である

先述した内容と関係してくるが、術前に機能アプローチを行っていくことで術後の回復は早くなることが結果として出ている。

また、術前に筋機能の改善も働きかけておくことで術後の可動域改善にも一役を買う可能性が出てくるため積極的に介入を進めていく必要がある。

自動ROMexはTKA後の機能改善に有効である

術後はセラピストが頑張って膝を動かすイメージがあるが、実際のところ”他動ROMexの有意性は今のところ確認されていない”のが現状である。

セラピストが積極的に膝を動かすよりも、”自動運動を取り入れた運動や、日常生活活動に着目した機能運動に積極的に関わる方が好ましい”とされている。

大腿四頭筋の筋力増強運動は、TKA術後の短期的にも長期的にも好影響を与える

膝OA患者にも大腿四頭筋の筋力訓練は勧められており、このTKA術後でも大腿四頭筋の筋力強化は勧められている。

ただし、大腿四頭筋の中でも大腿直筋といった二関節筋が良いのか、内側広筋などの単関節筋が良いのかははっきりされていない。

個人的には大腿直筋の強化よりは内側広筋などの単関節筋の訓練をお勧めしている。

2.TKA術後のリハビリの考え方

TKA術後のリハビリに関するエビデンスを理解したうえで、次は術後の経過に合わせた介入目的を明確化にしていくことが大切になってきます。

以下に挙げた内容はあくまで一般的なTKA術後のリハビリの流れになってきます。

大方、時期に合わせたリハビリの目的はこのような形になります。

0~2週:炎症コントロール、拘縮予防、合併症予防、歩行の安定化

2~3週:ROM拡大(自動運動強化)

3~4週:退院に向けたADL指導

0~2週:炎症コントロール、拘縮予防、合併症予防、歩行の安定化

術後1~2週間は炎症が強く見られる時期になります。

近年、手術時間の短縮や低侵襲での手術内容に変更されてきており、炎症コントロールが以前より容易となりこの期間は多少差が出てくるところですが、、、

ただ、いくら以前より手術自体の内容が良くなっていても「術後に痛いのは変わらない」ということです。

そのため、この時期は炎症の状態をチェックしながら膝の可動域を改善していく必要があります。

また、早期離床を行い合併症の予防、そしてなるべく早期から自力で歩ける環境を作っていくことが重要になってきます。

2~3週:ROM拡大(自動運動強化)

この時期からはある程度、膝の腫れも引いてきてくるため、可動域の改善を目的に介入していくようになってきます。

ただし、先ほども述べたようにセラピストが積極的に膝を動かしていくのではなく、患者主体の自動運動や動作の中での膝の曲げ伸ばし運動を行っていくように訓練を行っていきます。

可動域改善についての詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

TKAの術後、スムーズに膝が曲がるようになるために留意すること

当然、疲労も考慮しなければなりませんのでベッド上での訓練も取り入れていきます。

あと、この時期に膝周囲の筋機能の異常もはっきりしてくるようになります。

※術後早期は炎症により明確にはわからない

この筋機能の改善も同時に図っていくことで不用意な痛みを出さずに可動域を改善させていくことが出来ます。

3~4週:退院に向けたADL指導・耐久性の向上

早い医療機関ではこの時期にはもう退院しているといったこともあります。

そういった医療機関では外来フォローなどにて対応しているようですが・・・

この時期では、炎症もある程度落ち着き、日常生活を送るうえで必要な動作はあらかた可能になってきます。

※重い既往歴がない場合に限る

しかし、術前の動作パターンというものは中々変わらないものであり、この時期に修正を行っていきます。

□膝に負担のかからない動作方法

□床上動作など応用動作の指導(膝を床につかずに座る方法など・・・)

□歩き方指導

などなど、意外と多いのが、例えば起立動作を行う際に膝を主導で動作を遂行してしまい股関節を上手く使えていないなど・・・

股関節を意識させた起立訓練を指導するだけで立ち上がりが楽になったりします。

※逆にそれが出来ていないからいつまでも膝の痛みが残存していることも・・・

起立時の股関節を使う方法についての参考記事

椅子から楽に立つために必要な”4つの意識”と”4つのテクニック”

このような形で術後の時期に合わせて介入する目的をはっきりさせてリハビリに臨んでもらいます。

時期に合わせて訓練内容を理解してもらうと患者自身も安心しますしちゃんと状況を共有することが出来ます。

エビデンスも非常に大事ですが、それだけ患者に伝えると断片的になりすぎてあまりいい結果を生まないと思われます。

3.【補足】整形外科疾患の術後の基本的なリハビリの流れ

上記の内容までがTKA術後のリハビリの流れになりますが、最期に術後の基本的なリハビリの流れについて補足として書いていこうと思います。

この仕事を始めて最初の頃は、何を優先して訓練していけばいいのかよくわかりませんでした。

エビデンスでは筋力増強が大事、可動域の改善も大事、歩行能力は早く改善させるべしなど・・・

必要なことだけが羅列されてて参考書なんかでも優先順位を提示しているものはありませんでした(自分が読んでないだけかも・・・)。

私の場合は、ある研修会に参加したときに知りました。

とはいっても正解はないと思います。

状況によっても多少優先順位は前後するでしょうし、疾患によっても変わってくると思います。

それを踏まえて参考程度に理解してもらえたらと思います。

①術後の炎症のコントロール

ここは先程も説明しましたが、術後は必ず炎症を起こします。

炎症をコントロールするための一つの方法としてアイシングが勧められています。

方法に関してはこちらから。

術後の炎症状態の管理について~アイシングの方法~

ただ、もともとアイシングの効果は確実なものではなく、エビデンスもはっきりしたものがないのが現状です。

最近では、アイシングと入浴(シャワー)を繰り返す交代浴と同じような方法をお勧めする意見もあります。

②関節可動域の確保

炎症が落ち着いてきたら可動域の改善を図っていきます。

炎症が強い時期はいくら動かしても一時的に良くなっても可動域自体は改善しません。

時期を見計らってから積極的に改善を図っていきます。

③筋機能不全の改善(神経筋再教育)

可動域の改善を図る最中に頻繁に起こるのが、他動ではそれなりに動くようになるけど自力では最終域が曲がらないとか伸びないといった問題です。

これは筋機能の問題が大きく影響してます。

多くは主動作筋と拮抗筋のバランスが破綻していることが原因で生じているため、そこを改善させる運動を提供していくことで変化が見込まれます。

④筋力増強

筋機能を改善させていくことで正常な筋活動が動作の中で得られるようになります。

その時期に負荷をかけたトレーニングを実施していき、強化を図っていきます。

⑤協調性改善

筋力増強と優先順位は前後しますが、筋機能が改善すれば、それを動作の中でバランスよく使う協調性の訓練が必要になってきます。

※筋力増強は時間を要すため必然的に他の訓練と被ってくる・・・

主動作筋の陰に隠れた拮抗筋の微調整を動作の中で使うような訓練内容を考えていく必要があります。

⑥歩行機能の再獲得

協調性まで訓練が進めば、たいていの場合は安定して移動が可能になっているはずです。

それ以前から退院後を考えた移動方法を提供していると思われますが、いまいち安定感に欠けていることもしばしばあると思います。

そんな場合は協調的な訓練が足りていない可能性があります。

※重い既往歴や術後イレギュラー(術後に転倒など)がある場合は当てはまらないです・・・

⑦応用動作・持久力向上・動作スピードの向上

ここまでくれば、あとは応用的な訓練を進めていくだけです。

□歩行であれば、環境が刻一刻変化する屋外歩行に切り替える、歩く時間を伸ばしていく、速歩で移動するなど・・・

□階段昇降は一足一段で行うようにする

□しゃがみ込み・床上動作を行う

など・・・ここは挙げだしたらキリがありませんので、その患者に必要な動作を指導していくようにします。

4.まとめ

今回は、TKA術後のリハビリの進め方について書いていきました。

1~3年目の頃は、訓練の目的や内容なんかはごちゃごちゃになっていて自分が何をやっているかあまりわからずに日々を過ごしてしまいがちかと思います。

それでも術後の患者は自然と回復していきます。

ただし、少しの違和感であったり痛みであったりが残りやすいものです。

それが機能障害ともいうべきなんでしょうか。

TKA術後であれば膝の可動域は改善していても曲げづらさが残っていたり最終域で痛みがあったりなどなど・・・

こういった問題を解消するためには、エビデンスだけでなく、訓練の目的を明確にして訓練を一つ一つ積み重ねていくしかないわけです。

自分が何をしたかがわかっていれば、訓練内容を修正することが容易になってきます。

今回の内容はそういった部分を見直すための記事になればと思います。

それでは今回はこの辺で。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました!!