椅子から楽に立つために必要な”4つの意識”と”4つのテクニック”

どうも。

kabosuです。

前回の記事の続きです。

前回は、

椅子から立ち上がれない理由と考えられる原因

という記事を書きました。

今回はその立ち上がり動作を少しでも楽に行える方法を挙げていきます。

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1.介入方法の決定

私は立ち上がり動作に関して、「理学療法士」として介入するとき、

①運動指導

②直接身体に対しアプローチ(機能的アプローチ)

を行います。

まずは

運動指導

を行います。

立ち上がりに関する運動の課題(動作指導)を行うのですが、

ここで

・動作を遂行できない人

・指導すればスムーズにできる人

に大きく分けられます。

当然、指導すれば動作が可能になるのであれば

立ち上がり動作に必要な機能的な能力は十分にあると判断されますので、

身体に対するアプローチの必要性は低くなります。

※協調的な動きが拙劣な場合は動作が出来ても身体へのアプローチが必要になります。

動作指導を行っても動作ができない人は、根本的な問題(機能的な問題)もしくは理解が出来ていないのどちらかになります。

どちらにしても身体に対するアプローチにて能力の改善を図る必要があります。

※理解が出来ていない人でも機能的に改善すれば自然に動作が可能になってきます。

このように、

私は

①目的とする動作を行ってもらう

②動作に対し運動指導を行う(動きの誘導を行う)

③それでも無理なら、機能的なアプローチを検討する

といった流れで動作の改善を図っていきます。

2.運動指導≪何を意識させる?≫

実際の動作の指導ですが、

まず、立ち上がりの流れを確認します。

細かく言えばキリがないと思いますので、

大雑把に4つの層に分けます。

①椅子に座った姿勢

②上半身を曲げていく

③離殿が起こる

④直立姿勢になる

です。

この4つの層の中で困難になるのが、

「離殿」

ですね。

上手く立てない人の大半は、

「お尻が重い」

「お尻が上がらない」

という状態になり、

頑張って勢いをつけても、少しお尻が浮いてはまた椅子に戻り・・・を繰り返しています。

主にそんな状態の人に対して

声かけや徒手誘導を行っていきます。

具体的には、

「離殿」がスムーズに起こるようにしていくことが目的になるので、

①上半身重心を出来るだけ前方に移動させる(お辞儀のような動きをさせる)

②立ち座りの軸となる「股関節」を意識させる

③膝の位置を意識させる

④手の使い方を意識させる

この4点を中心に指導していきます。

①上半身重心を出来るだけ前方に移動させる

これに関しては、

座っているときの荷重ポイントを考えていきます。

立ち上がりが困難になっている人は、大体「仙骨座り」になっています。

要するにお尻にほとんどの荷重がかかっていて、肝心の足に荷重が全く乗っていない状態のことを言います。

このお尻にかかっている荷重を足に移動するために、上半身重心を前方に移動させる必要があります。

※仙骨座りとは、骨盤が後傾して仙骨で座っているような状態。背中が丸まり、背中のハリで姿勢を支えている状態。次の動作に移るのに非常に効率が悪い。

声かけとしては、

●「お辞儀をするように前に上半身を移動させてください。」

これはよく聞くフレーズですね。

●「重たいお尻を浮かせるために重たい頭を前に移動させましょう」

などなど・・・とにかく上半身を前方に移動させるよう声掛けを行っていきます。

声掛けだけでは難しい場合は、

前方に支持物を置く(前方リーチをさせる)

などして前方へ誘導していきます。

②立ち座りの軸となる「股関節」を意識させる

これに関しては、

先程の上半身重心と関連してきますが、

「上半身重心」と「下半身重心」の関係性を考えていきます。

先程の「上半身重心を前方に移動させる」に付け加える形になるんですが、

「どこを上半身と下半身の境にするか」が

動作を楽にするか苦にするかを分けます。

下の絵は身体を側面から見たものになります。右が「理想の状態」、左が「好ましくない状態」です。

「好ましくない状態」の絵を見ると腰椎部分が界になっているため、上半身重心(青枠)の長さが短くなっています。

こうなると前方への移動量が減少し、前方への重心移動がしにくくなってしまいます。

なので股関節に軸を持って行った方が効率的な立ち上がりができるわけです。

補足として、

股関節そのものの特性もポイントになります。

まず股関節は「可動性に優れた関節」です。腰椎の可動性と比べると大きな差があります。

また関節の自由度も高いため、動作の幅も出てきます。

立ち上がり動作のようなダイナミックな動きを行うときは、

動きの少ない胸椎や腰椎部を軸にするより、可動域や自由度に優れた股関節を使った方が大きなパワーを使わずに動作が可能になります。

③膝の位置を意識させる

立ち上がり動作を行う際、

膝の位置は

①足よりも膝が後方に位置しておいた方がいい

②足と膝が平行になるように位置したほうがいい(足の直上に膝がくる)

③足よりも膝が前方に位置しておいた方がいい

よく臨床の場でいわれるのは、②のような気がします。

①だとそもそも立ち上がれないです。立ち上がれてもものすごく効率が悪いので進めている人はいないかと思います。

③は 膝に負担がかかるからお勧めできないという意見が多いと思われます。

これは足部と膝の関係だけを見ればのはなしであるため一概には言えませんが、、、

膝の位置関係は体幹の位置関係をみながら指導していきます。

ただ今回は、立ち上がりが困難な人に対する指導になります。

立ち上がりが困難な人の特徴として、

「立ち上がりの途中で膝が後方に逃げていく」

ような動きがみられます。

これは立ち上がる途中に殿部が上手く上がらず立ち上がれないときに見られます。

要するに重心が前方に移動しきれず、

お尻から足に荷重が移動できなかったために起こっている現象になります。

こういう場合、

「膝が足より前に行かないように」

と指導するよりも、あえて

「膝を前方に残すように」

とか

「膝を前に出すように」

などと指導したほうが重心移動がスムーズになることが多いです。

このように指示をした方が、膝の位置が丁度、足部の直上にきます。

そもそも重心が後方に偏位しているため、それくらい膝を前に移動させようとしなければ

いい位置に行かないのかもしれませんね。

④手の使い方を意識させる

立ち上がる際、手はどこに置きますか?

①膝の上に置く

②椅子の端を持つ

③前方の支持物を持つ

などなど状況に応じて様々かと思います。

立ち上がりが困難な人の多くは、

大体、支持物に頼る傾向にあります。

自分では重心を前方にもっていけないから

代わりに手を使って重心を移動させていきます。

手の役目としては、

重心を前方に移動出来てお尻が上がればいい

くらいにしかありません。

最終的な立ち上がった時の上体の安定には寄与しません。

なので手を使いすぎる人は

立ち上がった後のバランスが悪い傾向にあります。

物に頼りすぎず、出来るだけ自身の力で立てるよう指示していきます。

そのためには、

①の膝の上に置く

方法を指導します。

膝の上に手を置いて立ち上がる際に足を押していけば身体は起こしやすくなります。

しかしこれには、しっかり上半身が前方に移動していなければ、尻もちをつくような形で後方に倒れます。

なので上半身の前方移動はしっかり誘導するようにします。

以上のような形で立ち上がりの指導を行っていきます。

簡単にまとめると、

立ち上がり動作を行うときは、

①上半身をしっかり前方に移動させる

②出来るだけ「股関節」から上半身を曲げるようにしていく

③立ち上がりの最中、膝は足部よりも前方に位置するくらいの気持ちで誘導する

④手は膝の上に置き、上体を起こす手助けをする

と、このように指導していきます。

3.機能的アプローチ

ここからは、

動作の指導では立ち上がりが困難であった場合に行う内容を書いていきます。

※ここでいう「機能的アプローチ」とは、関節の動きを良くしたり筋力的な問題を改善させたり、協調的な動きを改善させたり・・・などと解釈してください。

具体的な方法として、様々あると思いますが、今回は4点挙げます。

①足関節の背屈可動域を改善させる

②脊柱、股関節の可動域

③協調性の改善(筋力の改善)

④下部体幹の安定(内転筋からの改善)

①足関節の背屈可動域を改善させる

足首が固いと上半身の前方への重心移動が、途中でストップします。

原因は「下腿が前傾しなくなる」からです。

足首の固さを改善させることで、立ち上がりが楽に行えるようになります。

②脊柱、股関節の可動域

猫背や高齢者に多いスウェーバックの姿勢では、脊柱の動きは当然の事、股関節もかたくなります。(股関節は硬くなるというよりは軸としての動きがなくなる)

上記の姿勢は、立ち上がり動作が困難な人と同じで、

上半身重心が後方化しています。

従って、重心の後方化の改善という意味で脊柱・股関節の可動域を改善させる必要があります。

イメージとしては、

「異常姿勢によって起こっている動きのポイントを抑え、本来動くべきポイントの動きを学習させる」

こんな感じです。

具体的には、

股関節の動きを再学習させ、胸椎や腰椎など脊柱全体の柔軟性を出しダイナミックな動きを出しやすくする。

といった感じになります。

股関節の動きを再学習させるには、筋力・筋出力の面も必要になってきます。

※関節の動きだけを出しても、動きを制御する筋活動が変わらなければ全く意味がありません。

③下部体幹の安定(内転筋からの改善)

上記の②からの続きで、

股関節を運動の軸にするには股関節周囲を制御する必要があります。

要するに下腹部に意識が

ないと股関節を自由に動かすことはできないってことです。

最近では「インナーマッスル」ともいわれていますよね。

この下部体幹を安定させるための方法として、

今回は、「内転筋のエクササイズ」をお伝えします。

とはいっても「内転筋のエクササイズ」は

単純に

座った状態で膝の間にボールを挟んで締める運動

を行うだけです。

ただポイントとして、

①猫背のように背中を曲げずに、骨盤を立てて行う(腰を反るような状態)

②腹式呼吸をしながら(息を吐きながら挟んだボールを絞めていく)

この2点を意識しないと効果は薄いです。

この方法の背景として、

アナトミートレインのディープ・フロント・ライン(深前線)

の要素から説明出来ます。

アナトミートレインより引用

深前線は、

内転筋-骨盤底筋群・大腰筋-横隔膜

といった筋筋膜の繋がりのことをいいます。

大腰筋は腰椎の安定化に関わります。

骨盤底筋群は下部体幹の安定化に関わります。

※ちなみに横隔膜と骨盤底筋群はセットで動くとされています。

このように内転筋と連結している筋群は下部体幹の安定に関与しています。

そのため「内転筋を鍛えることは下部体幹を安定させる」ことに繋がるといえます。

④協調性の改善(筋力の改善)

立ち上がりの動作をトレーニングに言い換えれば、

「スクワット運動」となるでしょうか。

運動の様式が似ているので筋活動も似てきます。

で、スクワットをするときは主にどこが鍛えられると思いますか?

普通にスクワットをすると、「太ももの前の筋肉、大腿四頭筋」がつらくなってくると思います。

実際にスクワット時、大腿四頭筋の筋活動は大きいです。

しかし関節の動きを見れば、もう一つ重要な筋肉があります。

それは、「お尻の筋肉、大殿筋」です。

立ち上がりもスクワットも

要は「しゃがんだ状態から身体を伸ばす運動」になります。

この時、膝の伸展が必要になるから、大腿四頭筋の活動が大切と言われます。

しかし膝の伸展だけが出てしまうとどうなるでしょうか?

「上半身は曲がったまま、膝だけ伸びている」

こんな感じですね。

要するに

「膝の伸展」と同時に「股関節の伸展」も出ないとバランスが取れない

ということです。

当然、上体が起きないのは大殿筋だけの問題ではないですが、膝と股関節の関係性を考えれば、大殿筋の活動の重要性は高くなります。

ちなみに、立ち上がりが困難な人は、この「股関節の伸展」が上手く出ない人が多い印象です。

そのため、立ち上がり動作には、

大腿四頭筋と大殿筋の協調した収縮が重要になると言えます。

そのことにより、膝と股関節がバランスよく伸展し、立ち上がりが完了します。

個別での筋力も大事ですが、

鍛えるだけでな終わらず、それを上手に使いこなす練習も大事になります。

むしろそっちの方が大事になります。

いくら鍛えて構造的に強くなってもバランスよく使えなければ、ただ重くなっただけですからね・・・。

4.まとめ

今回は、「立ち上がりを楽に行う方法」を紹介していきました。

「動作ができないからダメ!介助しよう」

じゃなくて、

「どうしたら上手く立てるか」

を考えていくことが重要であると思います。

方法は何であれ、動作が上手くいくようになると動くことが楽しくなってきます。

その動作がいい動作なのか・悪い動作なのかなど判断するのが理学療法士の仕事の一つであると思っています。

文章が前後するところや前回の記事と関連付けれていない部分もありまとめきれていない部分もあるかと思います。

また修正等も加えていきたいと思います・・・

それでは本日はこの辺で!!

ありがとうございました!