アナトミートレインのスパイラルラインについて~ラインの見方と治療ポイントについて~

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どうも。

KABOSUです!

今回は

”アナトミートレインのスパイラルライン(ラセン線)”

についてです。

スパイラルライン(ラセン線)は、身体をらせん状に走行するラインであり、歩行や身体の回旋運動時に作用します。

このスパイラルラインですが、腰痛や膝痛と関連していることが多いラインになります。

腰痛といえば、アナトミートレインのラインの中では深前線(ディープフロントライン)が最も重要になりますが、深前線への介入の前に浅層であるスパイラルラインなどが問題となっていたりします。

今回は、そんなスパイラルラインの紹介と、治療ポイントをまとめていきたいと思います。

その前にアナトミートレインとはなんぞや?どうやって使うの?という方はこちらからご覧ください。

臨床でのアナトミートレインの使い方がよくわからない場合に参考にしてほしい記事

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1.スパイラルライン(ラセン線)とは?

スパイラルラインは人体をらせん状に取り巻くラインになります。

流れとしては、「一側の頭部から始まり、対側の肩に行き、その後前部に回り再び対側に走行し、股関節、膝、足部に行き、足部で内から外に回ってそのまま足の後部、背部を上行して頭部の筋膜に戻る」といった形になります。

スパイラルラインと姿勢・運動の関わり

スパイラルラインの姿勢機能は、人体を二重ラセンで取り巻いて、あらゆる平面で身体のバランスを保つのに役立っています。

スパイラルラインは足底弓と骨盤角とを結び、歩行時の膝の軌道運動を決定します。

バランスが崩れると、スパイラルラインは身体の捻じり、回旋そして側方移動を起こしたり、打ち消したり、また維持したりします。

スパイラルラインの筋筋膜の大部分は他の経線にも加わって多くの機能に関与します。

スパイラルラインの全体的な運動機能は、人体にラセンと回旋を作り出して、それを伝達することにあります。

スパイラルラインの走行

アナトミー・トレインより一部改変し引用

スパイラルラインの走行は以下の通りです。

□頭板状筋・頸板状筋

□大菱形筋・小菱形筋

□前鋸筋

□外腹斜筋

□腹腱膜・白線

□内腹斜筋

□大腿筋膜張筋・腸脛靭帯

□前脛骨筋

□長腓骨筋

□大腿二頭筋

□仙結節靱帯

□仙腰筋膜・脊柱起立筋

※頭板状筋・頸板状筋と大菱形筋・小菱形筋の所で反対側に走行が移ります。

※外腹斜筋・内腹斜筋の所で再度走行が移ります(同側に戻る)。

※足部で走行が前方から後方に移ります。

2.スパイラルラインの詳細~ラインの見方や身体との関連性~

ここではスパイラルライン上の問題が生じた時に起こる現象などを紹介します。

Knee-inもスパイラルラインと関連あり

スパイラルラインは膝の軌道運動に影響を及ぼします。

膝の軌道運動とは、歩行やしゃがみ込みなどの際に、膝を真っすぐ前後に動かすことを言います。

スパイラルラインは、ラインをコントロールして膝を正確に曲げ伸ばし行えるようにしているわけですね。

評価の方法は、スクワットテストを行えばすぐにわかります。

立った状態で軽いスクワットを行います。

その際に、膝が内方に動く(Knee-in)か、外方に動く(Knee-out)かを評価します。

図:スクワットテスト

この時に、内方に動く(Knee-in)場合は、スパイラルラインに異常をきたしている可能性があります。

図:下肢前面のスパイラルライン

こういった場合は、膝の運動方向の修正の改善やKnee-inに対して局所的に介入する前に、下肢のスパイラルラインを上方もしくは下方から緩めておくと、治療効果が良くなってきます。

骨盤の前後傾とスパイラルライン

下肢のスパイラルラインは、足部の所で前面から後面に入れ替わります。

下肢の前面は、上前腸骨棘の部分から土踏まずまで。

下肢の後面は、土踏まずから足裏を通って腓骨を通って坐骨結節に向かう。

このように下肢のスパイラルラインは、前後の関係性が確認されます。

そして、その前後のバランスを取っているのは、”前脛骨筋”と”長腓骨筋”になります。

この両筋は足裏で鐙を形成しています。(足裏部分で連結し足部のアライメントに関係している)

つまり、前脛骨筋が緊張している場合は、上前腸骨棘を下方に引くので骨盤前傾位になりやすく、長腓骨筋が緊張している場合は、坐骨結節を下方に引くので骨盤後傾位になりやすいということがわかります。

一つの考え方ですが、以下のように考えられることができます。

●反り腰で腰痛あり⇒前脛骨筋の過緊張ありか?

●骨盤後傾し腰椎フラット⇒長腓骨筋の過緊張ありか?

当然、評価する中で違った姿勢パターンを取っていることも考えられますが、スパイラルラインが影響している場合は、このようなパターンを取る可能性があるということですね。

スパイラルラインと仙腸関節の関係性

下肢の後面のスパイラルラインを見ていくと、以下のようなラインになります。

腓骨筋⇒大腿二頭筋⇒仙結節靱帯

この下肢後面のスパイラルラインは、外側縦アーチと仙腸関節の連結があることを示しています。

長腓骨筋は外側縦アーチの要石である立方骨を通って腓骨頭に付着します。

故に外側縦アーチの維持に関与していることを示します。

そしてそのラインが仙結節靱帯まで上行し脊柱起立筋に連結していきます。

この仙結節靱帯は仙腸関節を通ります。

このことから下肢のスパイラルラインの影響が仙腸関節に影響を及ぼす可能性があることがわかります。

分かりやすい例でいくと、

捻挫後の腰痛の症例をイメージしてみましょう。

捻挫後は腰痛になる例は非常に多いです。

このことは多くの研修会でも言われています。

その一つの理由がこのスパイラルラインの問題になると思われます。

捻挫の多くは内反捻挫であり、足部外側の靱帯が引き伸ばされて足部が内反位になりやすくなるという問題が挙げられます。

この場合、スパイラルラインの問題を考えていくと、

□足部内反をとる⇒長腓骨筋が伸長される

□長腓骨筋に連結している大腿二頭筋が下方に引っ張られる

□大腿二頭筋と連結している仙結節靱帯が下方に引っ張られる

□結果的に骨盤後傾位となり、仙腸関節のアンロックが生じてしまう

このような結果になってしまいます。

そうすることで捻挫後は腰痛を引き起こしやすくなることが考えられます。

図:下肢後面のスパイラルライン

※外側縦アーチ‐腓骨筋-大腿二頭筋のラインが重要

菱形筋と前鋸筋の関係性

図:菱形筋と前鋸筋の関係性

ラテラルラインは前鋸筋の下部を通過します。

この前鋸筋ですが、肩甲骨内側縁の内側から起こり、第1~9肋骨に付着しますが、そのうち第5~9肋骨につく部分はラテラルラインに続きます。

解剖をすると菱形筋との筋膜性の連続が非常に明瞭になっています。

この菱形筋‐前鋸筋の連続性ですが、連続性があるものの肩甲骨を介しているため、作用が反対になります。

つまり拮抗する関係にあるということです。

□菱形筋‐肩甲骨の下方回旋と内転(肩甲骨を後方に引き込む働き)

□前鋸筋‐肩甲骨の上方回旋と外転(肩甲骨を前方に引き込む働き)

このように同じラインでも拮抗する関係にあることがわかります。

この関係性を理解しておくと頸部の回旋時の疼痛や可動域改善に役立ってきます。

図:スパイラルライン【板状筋~菱形筋】

簡単な例を挙げます。

例:頸部の左回旋時に可動域制限と痛みがある症例

この場合、右の板状筋~左菱形筋~左前鋸筋・・・・のラインを評価していきます。

そして、多いのが前鋸筋の過緊張です。

前鋸筋が過剰に収縮して肩甲骨を上方回旋および外転させます。

その結果、左肩の前方突出が起こり頸部が左回旋する際のスペースをつぶしてしまいます。

つまりインピンジを引き起こし可動域制限および疼痛を引き起こすということですね。

この場合の評価としては、左肩の前方突出を徒手で後方に戻して、その状態で頸部の左回旋を行ってもらいます。

それで疼痛軽減および回旋角度が改善していれば前鋸筋の問題があると判断します。

※前鋸筋と連結している外腹斜筋の影響も考えられます。

評価の結果、前鋸筋の影響が考えられる場合は、前鋸筋のリリースを行っていきます。

このようにして評価から治療を行っていきます。

同じような例で治療した記事がこちらになります。

この記事では頸部回旋ではなく、側屈制限に対してでしたが、考え方は同じようなものです。

首が動かない?頸部の側屈制限に対するアプローチ~アナトミートレインの視点で評価~

ちなみに、逆に鳩胸のように胸椎レベルの過伸展が起こっている場合は、菱形筋‐前鋸筋の関係性が逆転している場合があります。

その際は菱形筋への介入および前鋸筋のトレーニングを検討していきます。

以上が、スパイラルラインの見方になります。

3.スパイラルラインの治療ポイント

次はスパイラルラインの実際の治療例になります。

今回上げる以外にも治療ポイントはいくつもあると思いますが、今回は私自身がよく使うポイントを紹介します。

①腰痛の場合

腰痛の場合は、スパイラルラインの問題から考える際、大腿筋膜張筋の問題を考えていきます。

大腿筋膜張筋は下肢のスパイラルラインの中で前面に位置する筋になります。

大腿筋膜張筋の場合は多くは身体を反る動作で腰痛が出現します。

回旋時に生じる腰痛なんかの場合は、腹斜筋などの問題も考えていきます。

今回は、身体を反る動作で生じる腰痛についてに絞って紹介します。

とはいってもこのパターンの腰痛は以前も記事にしていますので、そちらを見ていただければ一番わかりやすいかと思います。

大腿筋膜張筋が腰痛の原因であった症例について

この記事では、アナトミートレイン的な視点ではなく、理学療法的視点から解釈した腰痛になります。

それでも着眼点は同じになってきますので参考にして頂ければと思います。

②膝痛の場合

次は膝痛に関してですが、先ほども説明しましたが「Knee-in由来の膝痛」と関係しています。

下肢前面のスパイラルラインに異常をきたすと膝はKnee-inしてきます。

これが原因で膝痛を引き起こしやすくなります。

こちらに関しては、

「腸脛靭帯と大腿二頭筋の滑走不全改善」

を治療ポイントにして介入していきます。

腸脛靭帯と大腿二頭筋ですが、どちらもスパイラルラインのライン上にある筋になります。

●腸脛靭帯⇒下肢前面のスパイラルライン

●大腿二頭筋⇒下肢後面のスパイラルライン

同じスパイラルラインでも前面と後面で作用が違うのにも関わらず、お互いの筋の走行上で交わる部分があるんですね。

※詳しく言うと、大腿二頭筋の短頭線維と腸脛靭帯になります。

※また、腸脛靭帯以外にも外側広筋も関わっていることがあります。

膝痛がある場合、このお互いの筋が交わる部分でそれぞれの走行を阻害してしまう”滑走不全”が生じている可能性があります。

この滑走不全を改善させていくことで膝痛の改善に繋がっていくことがあります。

この滑走不全を評価していくためには大腿二頭筋の短頭線維をしっかり見つけれるかがポイントになります。

ちなみにこの大腿二頭筋の短頭線維はハムストリングスの中で唯一の単関節筋となっており、膝の伸展制限を作る因子でも有名です。

この辺りも膝痛に関係してそうですね・・・。

4.まとめ

今回はアナトミートレインのスパイラルラインについてまとめていきました。

アナトミートレインについては毎回言っているような気がしますが、ラインだけ見てもどう治療に活かしたらいいかわからない部分があります。

「こういう連結があるなぁー」くらいの理解しかない人もいるかもしれません。

でもよくよくラインを見ていくと、今回のように同じラインでも走行上で交わる(すぐ近くを走行する)部分もあります。

今回のスパイラルラインでは大腿二頭筋と腸脛靭帯ですね。

他にも前脛骨筋と腓骨筋も同様に作用は拮抗するのに隣り合わせに走行します。

作用が拮抗するということは摩擦が生じやすいわけですからその周囲に滑走不全を引き起こすことは珍しくないわけです。

と、このように考えていけば治療ポイントは見つかってきますよね。

そして、ラインがわかっているからそのラインが引き伸ばされる動きを効果判定にしたらいいわけです。

少し操作を加えて評価を行って変化が出れば、その操作を加えた部分には少なからず問題があるということですから。

こうやって治療をしていくことでアナトミートレインへの理解が深まっていくものと思います。

今回のことで少しでもアナトミートレインに興味をもたれたら実際にラインの治療を行ってみてください。

そうすることで一つの視点が増えてくると思います。

それでは本日はこの辺りで。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました!

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