歩行時の股関節伸展の欠如は足部の安定性も関与している~立脚後期には足部の安定性が必要~

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どうも。

KABOSUです。

今回も理学療法について書いていきます。

前回記事はこちらです。

歩行中、足部や足関節は”躓かないように”とか”蹴りだしが出来るように”とか比較的単純な機能に貢献していることを想像します。 が、しかし少し掘り下げるともっと多くの機能を有していることがわかります。二次元的ではなく三次元的な視点で診るということですね。今回は、足関節や足部の機能を単純な底背屈の動きだけでなく、少し複雑な動きを理解し足部機能の重要性を考えていきたいと思います。

日々リハビリを行っていると、歩行中に、股関節の伸展が出なくて困る場合があります。

股関節伸展がしっかり出れば立脚後期から蹴り出しがスムーズなり歩行の推進力が生まれます。

こういった機能の欠如は、円背が強まる高齢者に特に多く見られます。

この場合、よく「股関節伸展方向への可動域訓練を行い改善を図っています」とか「歩行時に股関節伸展を意識させています」など

”股関節だけ”にフォーカスした訓練が先行しているように思います。

歩行だけでなく、荷重位での活動では局所だけでなく全身が影響し合っているわけなので、例えば股関節疾患の患者さんであっても、他部位の問題が影響していることが考えられます。

そこで今回は、足部機能の低下が影響する歩行時の股関節伸展運動の欠如について考えていきたいと思います。

1.正常歩行の中で「股関節伸展」の機能は必要なのか?

まず、歩行時の股関節の伸展の必要性についてです。

歩くときって必ず足を前に出しますよね?

だから、とにかく足を前にだせば前に進めると思いがちではないでしょうか?

では思考を変えてみましょう。

「片方の足を前に出しているとき、反対の足はどうなっている?」

答えは簡単です。

反対の足は後方に位置していますね。

そして、足を大きく出して歩幅を広くすればするほど、反対の足は後方に残ることになります。

つまり、股関節の伸展活動が生じているということですね。

この股関節の伸展活動が立脚後期を作り出しているわけです。

以上のことを整理すると、

効率的な歩行を得るためには、股関節伸展域の活動が必須になるということです。

歩行=股関節伸展は必要であることがわかります。

2.歩行中の「立脚後期=股関節伸展」が欠如する原因

先程の項では正常歩行では、股関節の伸展活動が必須であることを説明していきました。

では、この股関節の伸展活動ですが、様々な問題からこの伸展活動が阻害されることがあり、歩行の機能を低下させていきます。

ここでは、歩行中の股関節伸展運動(立脚後期)の欠如の原因について考えていきます。

①股関節伸展可動域の問題

まずは純粋な股関節伸展の可動域そのものの制限が歩行時の股関節伸展活動を阻害している例です。

腰痛患者股関節Ope後患者など極端に股関節伸展制限をきたしているケースが多いです。

また、デスクワークメインの仕事をしている方や中腰での作業が多い方なんかも純粋な可動域制限をきたしているケースが多いです。

②股関節伸展筋力の問題(実はあまり影響していない)

筋力が原因であるという問題は意外と上がってきそうな問題ですが、

実は歩行中、股関節の伸展筋の代表である大殿筋は、立脚後期ではなく、立脚初期に主に働きます。

立脚中期から後期にかけては筋活動よりも、他の要素により運動が行われているということになります。

図:歩行周期 大殿筋の活動のタイミング

筋骨格系のキネシオロジーより引用

③痛みや恐怖から荷重をかけ切らない場合

痛みや恐怖により、歩行中にしっかり荷重をかけ切らないと、両脚支持期が長くなります。

それが、片側だけの問題(例えば右下肢)であれば、極端に右下肢の荷重量は減少します。

荷重量が減少すれば必然的に立脚後期は消失し股関節の伸展活動の必要性は無くなってきます。

④足部の不安定により股関節伸展(立脚後期)が起こせない場合

立脚後期から蹴りだし~遊脚期にかけて、

足部では荷重ポイントが徐々に前足部へと変化していきます。

蹴りだしの際はつま先での荷重となっているわけです。

前回の記事でも書きましたが、

蹴りだしの際は、足部の剛性が高まっているために確実に運動が遂行できているわけです。

歩行中、足部や足関節は”躓かないように”とか”蹴りだしが出来るように”とか比較的単純な機能に貢献していることを想像します。 が、しかし少し掘り下げるともっと多くの機能を有していることがわかります。二次元的ではなく三次元的な視点で診るということですね。今回は、足関節や足部の機能を単純な底背屈の動きだけでなく、少し複雑な動きを理解し足部機能の重要性を考えていきたいと思います。

しかし、その足部機能がなんらかの形で低下し、足部の剛性が維持できていないと、立脚後期で踵離地が生じる際に足部の安定性が得られず、起こるはずの運動が生じなくなります。

そうなると、必然的に歩行中の立脚後期が破綻してしまい、股関節の伸展活動も消失します。

3.足部の機能障害が原因で生じる歩行時の股関節伸展欠如の評価方法

先程の原因で紹介した中で、足部に関する問題が意外と見落としがちな内容であるため、少し詳しくまとめていきます。

以下に、足部機能が原因で生じる歩行時の股関節伸展欠如の理由と評価方法~対処法について紹介していきます。

歩行時の股関節伸展の欠如は「股関節の問題ではなく、足部アーチを保てないこと」が原因のこともある

先程も説明しましたが、

股関節の問題ではなく、足部アーチを保てないことにより立脚後期が欠如する場合もあります。

このことから、歩行時の立脚後期の改善にあたり足部の鑑別診断は必須な項目になります。

正常歩行において、立脚後期には前足部に荷重がかかり足部の剛性が要求されます。

しかし、股関節の問題により屈曲が先行し立脚後期が欠如すると、足部機能が不使用になります。

正常では立脚後期に前足部荷重が起こり足根骨に剪断力が加わります。

制動がない場合、剪断力により足根骨がばらばらとなり剛性を保てなくなり、

その足根骨に加わる剪断力の制動は、足外在筋によるアーチ機能の不使用が続いた場合には、それらの機能は低下します。

歩行時の股関節伸展活動(立脚後期)を阻害する足部機能を評価する方法

上記の内容から、歩行時の立脚後期では足部機能が影響していることがわかったと思います。

では、具体的な評価についてです。

評価方法は実に単純ですが、「両側のつま先立ち」を評価方法として実施していきます。

図:前足部荷重が安定しているかの評価

【判断基準】

①前足部への荷重が困難で健側への体重移動が過度にみられる代償が出現する場合

②つま先立ちを維持できず、踵が落下する場合

上記の2つどちらかを認めた場合、足部機能の問題を考えていきます。

この評価において股関節の問題がある場合、踵が落ちることなく股関節の屈曲が出現します。

※問題の有無を判断しにくい場合、つま先立ち姿勢からのステップ動作を用いるとより問題が明確になります(下スライド参照)

(股関節伸展と足部剛性の保持を同時に要求でき、より歩行周期に近い動作の中で鑑別が可能になるため)

図:前足部荷重が安定しているかの評価

足部機能の問題と判断された場合の対処法

足部の問題が明らかになった場合、アーチを挙上させるようテーピングを行います。

内側縦アーチの挙上を目的にテーピングを行うため、ターゲットは舟状骨と載距突起を引き上げるようにテープを巻いていきます

テーピングを用いて先述した評価において問題が解決する場合は、

足部機能へのアプローチを重点的に行うようにしていきます。

また、足底板を用いていくことも一つです。

4.まとめ

今回は、歩行時の股関節伸展が欠如する原因についてまとめていきました。

歩行時の股関節伸展(立脚後期)の欠如は、臨床では非常に多く遭遇する問題になると思われます。

・股関節伸展活動が出ないから、殿筋のトレーニングを行う

・股関節伸展可動域がないから、股関節伸展のROM訓練を行う

・それでだめなら、歩行訓練の中で患者自身に蹴りだしを意識させる・股関節伸展を意識させる

こういった元の原因を考慮せずに、目に見える物事に対する訓練だけでは治るものも治りません。

今回紹介したように、股関節伸展の欠如は足部機能の問題であれば、

いつまでも股関節に注意を向けていれば、たぶん一生改善せず、最終的に他の部位に痛みを引き起こす可能性が非常に高くなります。

人の身体に関わる仕事をしている以上、必要な訓練は行いつつ、あらゆる可能性を考えていく必要があると思います。

今回は、そういった患者が抱える問題の「あらゆる可能性の一つ」になるものであると思います。

もし歩行時の股関節伸展活動が欠如しているケースで難渋している場合は足部機能への介入を試みてはいかがでしょうか?

それでは本日はこの辺で!

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!