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【必見】TKA術後のリハビリに関わる人の為の記事~術後リハビリのポイントとリスク管理~

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TKAの手術は、多くの整形手術の中でも比較的予後のいい部類に入ります。

また、費用対効果も高く、”手術する価値”が高いといえます。

そんな予後が良いと言われるTKAですが、やはり術後のリハビリは重要になってきます。

手術後に日常生活に膝を馴染ませていくためにはある程度の期間はリハビリが必要であり、またその期間を早めるためにも集中的なリハビリは必要になってきます。

今回は、そんなTKA術後のリハビリから管理方法までをまとめていきます。

1.TKA術後に起こりうること

まず初めにTKA術後にどういったことが起こるか?について紹介していきます。

TKAの手術は純粋に「関節を入れ替える」ことを目的に行います。

つまり、痛んでしまった膝関節をそっくりそのまま人工の関節に入れ替えるわけです。

イメージ的には単純明快で簡単な手術に思いますが、そんなわけはありません。

手術の方法も様々ですし、膝に置換する機種もいくつか種類があり、思っているよりもややこしいです。

また、骨を切り取るため、必然的に侵襲も深くなります。

そのため、術後は当然炎症が起こりますし、何より「痛い」です。

そんな状態でも、「体力が落ちないように」とか「膝が癒着したらいけないから」といって術後早期から歩かされたり、膝を動かされたりします。

そんなTKA術後に起こりうることを列挙します。

□膝が痛くて足の置き場がないと感じる

□足が熱を持って気になって夜眠れない

□痛くいからベッドで横になりがちになり体力が落ちる

□横になりすぎてDVT(深部静脈血栓症)になる

□寝すぎで褥瘡が出来る

□痛みがあるし活動性が落ちるので食欲も低下し栄養↓となる

□栄養が取れないと筋力がつかない・傷も治らないといった悪循環になる

□歩くときに膝が上手く動かないからロボットみたいな歩きになる

□階段を降りるときが恐ろしく痛いし上手くできない

□椅子から立ち上がるにも気合が必要になる

などなど・・・

挙げだしたらキリがありません。

結局のところ、まとめていくとTKA術後は、

●術後の痛みによる活動性低下が起こりやすい(廃用による耐久性低下)

●痛みにより夜間不眠となり生活リズムが崩れることにより自律神経系の異常が起こりやすい

 自律神経系の異常により痛みを感じやすくなるなどの悪循環を起こす

●満足に移動が出来ないのでやる気が落ちる

などの問題が術後の満足度を下げる要因になってきます。

そういった点に対しリハビリは介入し、少しでも楽になるように、また早く回復するように訓練を進めていくわけです。

2、TKA術後に気をつけるポイント

ここからはTKA術後に

①炎症状態の管理

TKA術後は、侵襲が大きいため炎症が強く出ます。

この炎症に対して対応しなければ、患者のQOLは下がる一方です。

また、「膝の可動域制限が改善しない」、「痛みが全くひかない」などの負の症状ばかりが残存し患者の予後にも影響してきます。

そのため、”術後は炎症状態の管理”を確実に行っていく必要があります。

キーワードは、「侵襲部の炎症を助長しない」となります。

炎症とはなんなのか?

炎症は、以下の5つの症状のことを言います。

●発赤

●熱感

●腫脹

●疼痛

●機能障害

この、炎症反応は手術による侵襲の回復には必要な反応です。

しかし、ほったらかしでは熱感や腫脹が増大し、それが膝の可動域制限につながってきます。

結果、予後の不良を招きかねない状況に陥ってしまいます。

したがって、TKA術後はアイシングにて一旦、炎症症状を落ち着かせる必要があります。

ただし、炎症症状自体は必要な反応であるため、不必要に冷やしすぎることが術創部の治癒を遷延させてしまう可能性がでてきます。

そのため、運動後やリハビリ後など炎症が増大するときに合わせてアイシングを行うことが重要なポイントになります。

【炎症についてまとめ】

●炎症は組織の修復過程で必須な反応

●炎症そのものは決して悪い反応ではない

●しかし炎症や腫れがひどいと「様々な二次的な障害」が生じる

※疼痛の持続・筋力低下・可動域制限

アイシングの必要性~なんで冷やすのか?~

先程も述べましたが、アイシングの目的は「炎症による起こる二次的障害」を抑制するために行うものです。

どういうことかというと、以下に説明します。

TKA術後は膝周囲に炎症が起こる

↓↓

炎症が起こると熱が出るため痛みを伴う

↓↓

熱が出ると血流が良くなり水分が溜まりやすくなる

↓↓

腫れが強くなる

このように、炎症が起こることで生じる悪循環がどれほど術後の回復に影響してくるかがわかります。

これに対し、

アイシングなどで「患部を冷やすこと」で血管を収縮させ血液の流れを一次的に悪くし腫れが強くなるのを予防するわけです。

アイシングを行うことで“表在感覚の低下”“疼痛閾値の上昇”が得られ痛みを感じにくくなるといった効果が期待できます。

アイシング=炎症症状の抑制・疼痛閾値の上昇(痛みを感じにくくする)

アイシングのタイミング

一般的なアイシングのタイミングを以下に紹介します。

●一般的に骨折や術後に腫れるピークは48時間~72時間

⇒確実にアイシングを行う必要があるのは2~3日程度が目安となる

⇒それ以降は、“運動後”や“熱っぽさを感じた時”に行なってもらう

●長時間冷やすのではなく、間欠的に行うようにする

術後の回復をスムーズに行うためには「間欠的に冷やす」ということが非常に重要なポイントになってきます。

アイシングの時間

アイシングのしすぎは様々なリスクを伴います。

一般的なアイシングの時間は以下の通りです。

●アイシングの時間は15~20分程度(表在感覚が低下するまで15~20分といわれているため)

●組織の回復を妨げる可能性のあるため、冷やしっぱなしは避けるようにする

※20分以上のアイシングは神経や組織の損傷を伴う可能性があるので避けるべき

※20分以上のアイシングにより、パフォーマンスの低下がみられる

アイシングに関するリスク

アイシングはやりすぎると患部に対するリスクが高まります。逆にアイシングをしないと起こりうるリスクもありますので、適切なアイシング方法を理解する必要があります。

□アイシングをしないと起こるリスク

●疼痛の持続

痛みが長引けば慢性疼痛(3か月以上)となる可能性あり(術後の成績に影響)

●筋力低下

熱感・腫脹の遷延により疼痛増強⇒筋出力・筋力の低下をきたす

●関節の固さの残存

熱感・腫脹の遷延ため、膝の動かしづらさがいつまでも続くようになる

□アイシングのしすぎによるリスク

●腓骨神経麻痺

長時間、膝の外側を冷やしすぎると起こる可能性がある

●術創部の治癒の遷延

アイシングにより治癒に必要な血流を一次的に減少させるため

●凍傷

長時間のアイシングは凍傷のリスクを高める

②組織の癒着を防ぐ

TKA術後は、ある程度積極的に運動療法を行っていきます。

それはなぜかというと、元々可動性の高い関節を手術しているため、動かさなければすぐに組織が癒着してしまうからです。

組織の癒着は、治癒の過程で起こります。

不動でいることが組織の癒着を強力に進めてしまいます。

逆に過剰な運動も、不用意な刺激として入力され逆に癒着を引き起こしやすかったりもします。

適切な運動を行い、術後スムーズに可動域を拡大していく必要があります。

具体的な癒着を起こしやすい組織としては以下の通りです。

●皮膚

●皮下組織

●膝蓋上嚢

●大腿骨

●滑液包

●筋間

膝蓋上嚢は膝前面に存在し癒着しやすい組織として有名です。

ある文献では、術後に癒着を引き起こした患者に対し、関節受動術を行った報告があります。この時は、膝外側部分の癒着を剥がしていくことで劇的に可動域の拡大が得られたとありました。

いずれにせよ、術後は癒着を起こさないための対処を確実に行う必要があります。

③早期離床・歩行

先述した通り、TKA術後は早期離床・早期歩行が勧められています。

TKAの術後は、深部静脈血栓症(DVT)に注意が必要になります。

手術中または、手術後の血流が悪くなることで血管内に血の塊ができることがあり、それを「血栓」と呼びます。

図:血栓

この血栓がはがれ、肺やほかの臓器に流れていって詰まってしまうことを「塞栓症」といいます。

※飛行機で起こる同様の症状が「エコノミークラス症候群」

血栓症や塞栓症が起こった場合の症状としては、太もも・ふくらはぎ・膝裏・足首等のむくみや痛み、変色などがあります。

予防のために、手術直後よりフットポンプなどを使用し、早期より足の運動やリハビリを開始していきます。

図:フットポンプ

血栓症や塞栓症は、まったく予防しなければ50%の確率で発生すると言われており、重度のものでは、命を落とす危険もあるため注意が必要となるためしっかりとした管理が必要になります。

このように、術後早期から離床し、足を使っていくことは機能的な問題以外にもメリットがあるということです。

④関節可動域の早期確保(特に伸展方向)

術後、可動域は大きく制限されます。

原因は、「術後の炎症症状(腫脹や浮腫)」「痛み」が主な理由になります。

図:膝のリハビリの一例

術後の炎症症状に関しては先述したアイシングを併用して対応していきます。

痛みに関しては、主に服薬にて疼痛コントロールを図ります。併せて、リハビリにて循環の改善や痛みのない可動域訓練を行うことで疼痛の閾値を下げていきます。

関節の可動域制限は、主に膝の屈曲に顕著に現れますが、伸展制限も非常に大事なチェック項目になります。

伸展制限が生じると、慢性的に膝への負担がかかるようになり、術後の経過に影響してくる可能性があります。

また、歩容の崩れにも大きく関わってきます。

一歩行周期の間に膝の屈伸が2回起こりますが、伸展制限があることで正常な現象が起こらなくなり、結果歩容が崩れてしまいます。

以下に、膝の可動域制限が生じることで起こる問題を列挙します。

【膝の屈曲制限をきたすことで生じる問題】

□階段昇降が満足に行えない

□床上動作ができなくなる(床から立ち上がれない)

□椅子からの起立・着座がスムーズに出来ない・スピードのコントロールが出来ない

などが挙げられます。

参考までに・・・

日常生活で必要な膝の角度の目安

●正座:150°以上

●しゃがみ込み:120~130°

●自転車こぎ:120°

●立ち座り:90~100°

膝の屈曲制限に対するリハビリの考え方について詳しく知りたい方はこちらから。

TKAの術後、スムーズに膝が曲がるようになるために留意すること

【膝の伸展制限をきたすことで生じる問題】

□正常歩行が行えなくなる(ダブルニーアクションの破綻)

□立位・歩行時に膝への負担が常にかかるようになり術後の経過に影響を及ぼす

などが挙げられます。

⑤除痛とQOL向上

先程からTKA術後は、早期から訓練を進めて早く膝の可動域を広げてどんどん歩けるように誘導していく的なニュアンスで進めていきましたが、

「痛み」への配慮は必ず必要になってきます。

可動域獲得と疼痛軽減を天秤にかけたら、

可動域獲得<疼痛軽減

このようになってきます。

痛みは可動域制限の原因の一つであり、というか大半を占めていますので、痛みを無視することは絶対にできません。

また、痛みが長引けば患者のQOL低下にも繋がります。

最近では、「痛みの捉え方」や「感作」の話が頻繁に聞かれるようになってきており、

痛みに対し配慮したリハビリや生活指導が見直されてきています。

感作について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

痛みを我慢してリハビリするのはいい?悪い?~”感作”のことを理解しよう~

ちなみに、TKA術後の痛みについてですが、以下のような流れで対処していきます。

□痛みは手術後から2~3日がピークと言われている

□個人差はあるが、痛みは徐々に寛解する

□手術後早期は手術による炎症の痛み、筋肉の張りによる痛みがほとんどであり、アイシングやリハビリで改善していく

□痛み止めやアイシング、リハビリを行いながら適切に対処することで痛みの管理を行っていくことが勧められる

痛いからといって動かさないのはNG!!術後は過剰な安静は避け、通常通りの生活を送るための方法考えていく必要がある

3.まとめ

今回は、TKA術後に起こる問題と、注意しなければならないポイントについてまとめていきました。

TKAの術後リハビリは近年どんどん早くなっており、入院リハビリを受けられる期間は短くなっています。

それだけ、回復が早いうえに予後もいいからなのでしょうが、中にはスムーズにいかない例もあります。

そういう例を増やさないためにも術後の管理は非常に大事なり、術後早期からないし、術前からしっかり指導と管理を行うことで、順調な経過をたどることができるようになります。

そういった点を踏まえて今回のような記事を作成しました。

TKA術後のリハビリを行う人や家族もしくは本人が少しでも安全にかつスムーズに回復させていけるようになればと思います。

それでは本日はこの辺で。

最後までお読みいただきありがとうございました!!