TKAが近年増加している理由は予後がいいからだけではない~手術を受けることで得られる効果を考える~

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膝について
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近年、膝の痛みを主訴に変形性膝関節症(膝OA)の診断を受ける方が増加しています。

その背景には、高齢化社会や生活習慣などの問題が関わっています。

 

膝OAは基本的に加齢とともに出現する退行変性の一つです。

 

この膝OAですが、進行性あるが故に、初めはリハビリなどによる保存療法が適応されますが、最終的には膝関節そのものを入れ替える”人工膝関節置換術(TKA・UKA)”を行うことになります。

 

今回は、その人工膝関節置換術に関して調べていきたいと思います。

私自身、普段から人工膝関節置換術の患者さんのリハビリにあたることは多く、そういった臨床的な部分の含めながらまとめていきたいと思います。

 

 

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1.人工膝関節置換術の概要について

人工膝関節置換術は、大きく分けて以下の2種類に分類されます。

 

□全人工膝関節置換術(Total Knee Arthroplasty: TKA)

□単顆人工膝関節置換術(Unicompartmental Knee Arthroplasty: UKA)

一般的に、それぞれのことをTKA・UKAと呼びます。

 

一言でTKAとUKAを見分ける方法としては、

「膝関節を全部入れ替えているか、膝関節の中の片側だけ(基本的に内側)を入れ替えているか」

ここをみてTKAかUKAか判断していきます。

 

TKA・UKAの見分け方

①レントゲンでの判断

先程も述べましたが、TKAは関節前部を入れ替える、UKAは関節の一部を入れ替える、とこの違いがありますから、レントゲンを診ればすぐにわかります。

②術創部からの判断

一般的にUKAの方が術創部が小さいです。

最近は低侵襲での手術が増えているため差は減ってきていますがそれでもTKAの方がUKAよりは術創部の幅が長くなります。

 

③重症度からの判断

こちらも一般的に膝OA軽症例ではUKAが選択されます。

また、外側半月板など膝関節の外側を構成する組織に問題がなければ内側だけを入れ替えるUKAが選択されます。

変形度合いなどひどい場合はTKAが選択されるなどDrの判断によるところも大きいですが・・・

 

 

2.TKA・UKAの手術件数について

日本人工膝関節学会・日本人工関節登録制度事務局が作成したTKA/UKAレジストリー統計によると、以下のことがわかります。

 

●2016年時点で68640件のTKA・UKAを施行している

●翌2017年には88038件と一年間で10000件以上増加している

●10年以上前の2006年時点では、10000件を大きく下回る数の手術してしていなかったことから、TKAないしUKAを行う例は年々かなりの勢いで増加していることがわかる

 

2025年問題などのことを考えると今後も膝OA患者は増加することが予想されます。

故にTKA・UKAを施行する例も今後さらに増加していくわけです。

 

 

2.なにが理由でTKA・UKAの手術件数が増えているのか?

 

①膝OA患者の増加

ここは以前の記事にも挙げましたが、

日本の変形性膝関節症(膝OA)患者数(40 歳以上)を推定すると、X線像により診断される患者数は 2530 万人(男性860万人、女性1670万人)となり、膝OAの有症状患者数は約800万人

と推定されているそうです。

 

以前の記事はこちら。

変形性膝関節症ってなに?治療の方法は?予防はできるのか?

 

②TKA・UKA術後の予後がいいこと

骨折後の手術なんかと違い、現状の状態から良くするための手術になるため、術後の満足度は高くなりやすいです。

 

□人工関節系(TKA・UKAやTHA(股関節の手術))の手術目的は、ADL・歩行状態の改善のために行う

 

□骨折の手術目的は、骨折の転移がないように・骨癒合を促すために行う

 

□脊椎系(ヘルニア・狭窄症)の手術は、神経症状を増悪させないために行う(神経の圧迫を取る)

 

このように疾患によって手術の目的は違ってきます。

その中で人工関節、TKAやUKAは、もともと悪い状態から劇的に状態が良くなるため手術の受け入れも良くなってきます。

 

 

3.実際のTKA・UKAを受けることで得られる効果

いくら高齢化となり関節疾患が増加しているからとはいえ、TKA・UKAともに治療成績が悪ければTKA・UKAの実施例は伸びてきません。

TKA・UKAは費用対効果も高いことが言われています。つまり得られる効果が高いということです。

ここではその効果を挙げていきます。

 

①痛みがなくなる

術前は関節の破壊が進んでいるわけですから動くたびに痛みを生じます。

その関節自体を入れ替えるわけですから、術前にあった痛みはそっくりそのまま無くなるわけです。

当然、術後の痛み(炎症や術部の痛みなど)は出てきますが、これは時間と共に軽快していきます。

 

ただし、手術自体は関節を入れ替えるためのもので軟部組織(筋や靱帯など)に変化はありません。手術により変形(アライメント)も改善されるため、軟部組織の緊張バランスなども変化せざるを得ない状況になります。

ここをしっかりケアしていかないと変形が強かった例の場合などは軟部組織性の痛みを生じる場合があります。

 

それ以外は基本的に痛みが消失するため、多くの人が痛みなく動けることに喜びを感じます。

 

②移動能力が改善

関節疾患の一番の問題は”痛みがある”ということです。

膝OAも同様に、「痛くて動けない」が最も大きな主訴になります。

 

そのためTKA・UKAの手術を受けると術後一時的に移動能力は落ちますが(手術をしたから)、その後は比較的早いスピードで改善し、術前の移動状態よりも良くなっていきます。

 

③活動範囲の拡大⇒QOLの改善

術前は痛くて動けない状態ですから、「やりたいこともできない」といった生活の質の低下をきたします。

手術を行うことで痛みがなくなって歩けるようになるため、必然的にQOLは高まります。

 

そのため、術後の目標に「旅行に行けるようになる」など術前よりもプラスの活動意欲が生まれてきます。

 

④見た目がよくなる

膝OAではO脚(内反変形)やX脚(外反変形)などの変形を伴います。

手術によりこの変形は改善されていきます。

つまり見た目が大きく変化していくわけです。

 

 

4.まとめ

今回はTKA・UKAについてまとめていきました。

今後,団塊世代の高齢化により急速に関節疾患も増加することが予想されます。

つまり、TKA・UKAの手術も同時に増えてくるわけですね。

 

人工関節に関しても機種の改善などどんどん改良され、術後の獲得可動域なども年々良くなってきています。

人工関節の機種やタイプについては後日記事にしていきたいと思います。

 

それでは本日はこの辺で。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました!!

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