トリガーポイントとは?~痛みに特化した治療法~

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トリガーポイント
PublicDomainPictures (CC0), Pixabay
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どうも。

KABOSUです。

 

今回は

治療について

書いていきます。

 

皆さんは”トリガーポイント”という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

最近では、「ためしてガッテン」等のメディアで見かけることが多くなっているように思います。

トリガーポイントは身体の筋肉のどこにでもできるものであり、トリガーポイントが形成されると慢性的な痛みや放散痛を引き起こします。

慢性的な肩こりや腰痛もトリガーポイントが原因であることが多いとされています。

このようにトリガーポイントは、肩こり・腰痛などの現代病を作り出している一つの因子になることがわかります。

 

今回は、このトリガーポイントの概要を説明していきたいと思います。

 

 

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1.トリガーポイントとは?

トリガーポイントとは、簡単に説明すると以下のようになります。

トリガーポイント=引き金点

●トリガー(引き金)

●ポイント(部位)

身体の不調を引き起こしている部位(引き金になっている部位)のことをトリガーポイントといいます。

 

少し具体的に説明していきます。

トリガーポイントの説明については、誰でもできるトリガーポイントの探し方・治し方」から抜粋し引用しています。

 

トリガーポイントは、一般的な痛み、そして原因不明の身体の不調の大半は実はトリガーポイント、つまり筋の硬結が原因で起きていると考えられています。

何百万人もの患者がいると言われている線維筋痛症ですらトリガーポイントに起因する例が多数あると言われています。

原因不明の痛みや不調はトリガーポイントが影響を及ぼしている可能性がある

 

トリガーポイントは、頭痛・首や顎との痛み・腰痛・手根管症候群のほか、関節炎・腱炎・滑液包炎・靱帯損傷などと誤診されます。

また耳の痛み・めまい・吐き気・胸やけ・不整脈・テニス肘・性器の痛みといった問題を引き起こす可能性もあります。

さらにトリガーポイントは、幼児の疝痛・子供の夜尿症・そして側弯症にも関係があるとされています。

 

このようにトリガーポイントは多くの症状の原因とされています。

しかし、トリガーポイントについいては60年以上にもわたって医学誌で論じられているにもかかわらず、メジャーな存在ではありません。

ただ、最近では西洋医学の研究結果からトリガーポイントの事は明らかになってきています

トリガーポイントは実在し、指で実感でき、独特の電気信号を発しているため機器で測定することも可能であるとされています。

トリガーポイントの科学的な根拠が示されるようになってきている

 

TravellとSimonsは、トリガーポイントの事を、筋組織内の細微な硬結部位だと表現しており、「生ゆでのマカロニの破片」、あるいは「豆粒が入っているような感覚」であるとしています。

実際に、身体を押すと響くような痛みが生じる「しこり」があるのがわかります。

簡単に言うとその「しこり」がトリガーポイントになるわけです。

このトリガーポイント(しこり)ができると筋は硬くなり、そして弱くなります。

さらに筋線維内にできた硬結部は消えることがありません。

そして硬くなった筋線維はその筋の付着部を緊張させ、それが近くの関節に症状を起こします。

トリガーポイントがある線維はいつも緊張しており、周辺部の循環を悪くさせます。

それにより代謝作用により副産物の蓄積(乳酸など)や、代謝に必要な酸素や栄養源の欠乏などによってトリガーポイントは数か月から数年の存在し続けます

このようにトリガーポイントは処置しなければ持続して存在し、悪循環を生む問題となります。

 

 

2.トリガーポイントの原因

トリガーポイントの原因として考えられることとして、「過用」が挙げられます。

要するに「筋肉の使い過ぎ(酷使)」です。

この「筋肉の使い過ぎ」に関しては、以下の3つが挙げられます。

①回避できる筋肉の使い過ぎ(過用)

②回避できない筋肉の使い過ぎ(過用)

③認識不足による筋肉の使い過ぎ(誤用)

 

①回避できる筋肉の使い過ぎ

仕事などにより慢性的に筋肉に過剰な負担をかけている状況でトリガーポイントの形成が起こります。

●使い過ぎ(自分の限界を超えて活動する)

●反復して同じ動作や運動を行う(流れ作業で一定の動きしかしない)

●長時間同じ姿勢を取り続ける(立ちっぱなし・中腰での作業など)

 

②回避できない筋肉の使い過ぎ

転倒や交通事故などで直接的に大きな衝撃を受けることでトリガーポイントの形成が起こります。

●交通事故の際に急激に身体をひねり、筋が過剰に伸縮する

●交通事故のむち打ち(トリガーポイントが形成されることで痛みが持続する)

●骨折・捻挫・脱臼(周囲の筋肉にトリガーポイントが形成される)

 

③認識不足による筋の使い過ぎ

謝った使い方を継続することでトリガーポイントの形成が起こります。

●コルセットなどの締め具

●腕を固定するための三角筋(不動もトリガーポイントの形成を助長する)

●骨折後の固定のためのギプス

●薬の過剰摂取(薬の副作用でトリガーポイントを刺激し悪化させる)

 

 

3.トリガーポイントを持続させる原因

トリガーポイントは骨格の問題から栄養、心理的な問題と様々な影響により中々消失しなくなります。

痛みが取れても、再びトリガーポイントを助長する動きを反復していれば痛みの再発に繋がります。

トリガーポイントを持続させる原因をいくつか紹介します。

①骨格の異常

脚長差(左右の足の長さが違う)

脚長差は両足・殿部・背中・頸部にトリガーポイントを生じさせます。

補高(インソール)などを用いて脚長差を改善させることで頑固な頭痛が無くなることが知られています。

骨盤のアンバランス

骨盤のアンバランスにより骨盤が傾きます。そうなると脊柱が不自然にカーブ(側弯)し、腰方形筋をはじめとする背中の筋にトリガーポイントを生じさせます。

またその影響が頸部(胸鎖乳突筋や斜角筋)にまで波及していきます。

分厚い財布をお尻のポケットに入れる癖も、骨盤をアンバランスにさせ結果、小殿筋のトリガーポイントを形成させると言われています。

短い上腕

短い上腕は、椅子のアームなどの肘の支えが得られないことが多くなります。

その際は腕の重みから、僧帽筋・肩甲挙筋にトリガーポイントを生じさせ、頭痛や頸部痛の原因となります。

 

②姿勢によるストレス

ソファ・イス・車のバケットシートなど、姿勢を適切に保つ機能がないと、無駄に筋を緊張させ、トリガーポイントの誘発および持続の原因となります。

悪い姿勢で座り続けると、慢性の背中の痛み、首の痛みを引き起こします。

筋は動かさずに休止した状態にしておくと、硬く弱くなっていきます。

そのため、座ることが多い生活はトリガーポイントの大きな原因となります

 

③反復動作

反復動作は、たとえそれほどの労力を必要としないものであっても筋に負担をかけます。

負荷の強い反復動作は、筋に疲労感を与えるため休むタイミングを取りやすくなりますが、負荷の弱い反復運動は疲労を感じにくいため気付かないうちにトリガーポイントを形成していることがあります。

つまり、「負荷の強い反復動作ではなく、負荷の弱い反復動作がトリガーポイントを形成しやすい」というわけです。

※事務仕事で多いデスクワークでは、キーボードのタイピングで前腕の筋を絶え間なく動かす。そしてその間、肘や肩・頸などの上半身は固定されている状態となる。そのためデスクワークによる反復動作は上半身のあらゆる部位のトリガーポイントの原因となる。

 

④ビタミンとミネラル

TravellとSimonsは、慢性痛の患者の半数近くに痛みの緩和に必要なある種のビタミン、ミネラルの不足がみられると述べています。

その栄養素は、

【ビタミン】
ビタミンB1、B6、B12、ビタミンC、葉酸

【ミネラル】
カルシウム、鉄分、マグネシウム、カリウム

が挙げられます。

 

そして多くの場合、ビタミンやミネラルを適切に摂取していないわけではなく、それらを阻害する物質を摂取していることに問題があります。

 

●ビタミンC:喫煙によりビタミンCを破壊する

●ビタミンB:水の過剰摂取によりビタミンBを体組織に流し出してしまう

●ビタミンB1:アルコールやお茶(タンニン)はビタミンB1の吸収を阻害してしまう

●ビタミンB6:経口避妊薬やステロイド系抗炎症剤はビタミンB6の不足状態を招く

●カルシウム:カルシウムイオンの交換は筋線維の収縮と伸長に直接関与している

●鉄分:体温を調整する役割をもっており、鉄分が不足すると冷え性になる

●カリウム:カリウム不足は心臓や平滑筋の機能に影響を与える

●マグネシウム:マグネシウムが不足すると「こむら返り(足をつる)」を起こしやすくなる

 

⑤代謝異常

化学的、あるいはホルモンの平衡異常による筋の代謝の阻害もトリガーポイントの除去を難しくする。甲状腺の異常、低血糖、貧血、血中の尿酸値の高さ(尿酸血症)などは注意すべき症状となります。

※ニコチン、アルコール、カフェインは代謝を不規則にし、トリガーポイントを非活性化するのを妨げる

 

6つの心理的要因

緊張、不安、日々のイライラなどがあると、トリガーポイント療法の効果が低下します。

緊張状態が習慣化されると、睡眠時ですら筋は休むことが出来なくなってしまいます。

なにか上手くいかないことがあるときは、呼吸が浅くなり、時折息を止めていることすらあります。

緊張しているときに自分の身体を調整することが出来れば、胸部や腹部の硬さを見つけることが出来ます。

不要な、あるいは過剰な筋の緊張を緩めるだけで精神的苦痛が緩和できることもしばしばあります。

 

 

4.トリガーポイントの種類

【活性度による分類】

活性度からみるトリガーポイントの分類では、以下の2つに分けられます。

①トリガーポイント自体が活動しているのか

②活動を停止し潜在的にトリガーポイントが存在しているのか

それぞれの特徴を挙げていきます。

 

①活動性トリガーポイント

●痛みの原因となっているポイント

●押すと必ず痛む

●関連通も引き起こす

●筋力低下の原因となる

 

②潜在性トリガーポイント

●押すと極度に痛む

●関連通に作用することはない

●現状活性化していないトリガーポイント

●わずかなストレスや緊張によって活性化トリガーポイントになる

 

活動性と潜在性の違いは、関連通があるかないかである

 

【部位によるトリガーポイントの分類】

次は部位による分類です。

①筋の中央部に形成されるトリガーポイント

②腱近く、筋腱移行部に形成されるトリガーポイント

上記の2つに分けられます。

それぞれ特徴を説明します。

 

①セントラルトリガーポイント

●運動神経が入る部位に形成されるトリガーポイントで筋を収縮させる指令を出す

●筋の中央部に形成されるトリガーポイント(トリガーポイントは常に筋線維の中央部から発生する)

●薄筋や半腱様筋など長い筋は複数のトリガーポイントが存在する

●腹直筋のように結合組織の腱画による分割している場合も複数のトリガーポイントが存在する

 

②付着部トリガーポイント

●セントラルトリガーポイントから二次的に誘発されたものと考えられている

●筋の付着部や筋腱移行部に形成されるトリガーポイントで骨の痛みや腫れを生じる

※慢性化したトリガーポイントの場合、筋付着部のストレスが関節の炎症を悪化させる原因になっていると考えられている

治療の優先順位は、セントラルトリガーポイント>付着部トリガーポイント

 

【アプローチの優先順位からみるトリガーポイントの分類】

最後はアプローチの優先順位からみた分類になります。

セントラルトリガーと付着部トリガーを少しかぶるところもあります。

 

①キートリガーポイント

●サテライトトリガーポイントの誘因となる部位にあるトリガーポイントのことを言う

●キートリガーポイントはより近位(身体の中心部)にある

●キートリガーポイントを鎮静化させるとサテライトトリガーポイントも鎮静化することもある(すべてがキートリガーポイントを治療すれば治るわけではない)

②サテライトトリガーポイント

●痛みに関連する部位にできたトリガーポイントのことを言う

●サテライトトリガーポイントはキートリガーポイントの関連痛領域に生じやすい

●内臓疾患からくる痛みが、胸・背中・腹部の筋のサテライトトリガーポイントを活性化することがある

治療の優先順位は、キートリガーポイント>サテライトトリガーポイント

 

 

5.トリガーポイントの症状

トリガーポイントの症状は多岐にわたります。

筋膜のトリガーポイントに起因する感覚症状は多岐にわたり、痛みだけにとどまらない。
なんらかの機能不全を伴い、筋の硬化、筋力低下、浮腫、吐き気、めまい、姿勢の異常など、少し例を挙げてみただけでも、実に多様で、思いもつかないような症状も発現する。

「誰でもできるトリガーポイントの探し方・治し方」より引用

関連痛

関連痛の特徴は、「激しい深部痛」が挙げられます。

また、その激しい深部痛は動くことによって痛みが激化することもあります。

 

痛みのレベル自体は、筋の大きさよりもトリガーポイントの過敏性に影響されます。

※小さなトリガーポイントが起き上がれないほどの痛みを生じさせることもある

 

Travellは、「月経痛の大部分ですら腹筋のトリガーポイントに起因しており、月経時に、定期的に自分でできるマッサージをを行うことでかなり予防できる可能性がある」と提唱しています。

月経痛とトリガーポイントの関係性についてはこちらをご覧ください。

【婦人科系】生理痛がひどい方は”腹筋”のトリガーポイントをチェックしてみよう

 

【出現する関連痛の例】
●緊張性頭痛

●スライス頭痛

●副鼻腔の痛み

●振り向くことができないほどの首の痛み

●顎の痛み

●咽頭痛

●走りすぎによるわき腹の痛み

●腹痛

●不整脈

●尿失禁

など多岐にわたる

 

②血管と神経の圧迫

トリガーポイントによって短く・太くなった筋は付近の神経を頻繁に圧迫するようになります。

そして、圧迫された神経は筋内を伝わる電気信号を変化させ、それによって神経が働いている場所に痺れ・疼痛・灼熱感・過敏性などの異常な感覚障害を引き起こすと言われています。

また、トリガーポイントが形成されると、筋は動脈を締め付け、血流が妨げられてそこから離れた部位が冷えます。

要するに血流が悪くなるということですね。

例えば、ふくらはぎの筋(ヒラメ筋)のトリガーポイントによって静脈の血流が悪くなることで、足と足首にむくみが生じます。同様に、首の筋(斜角筋)のトリガーポイントは手と手首のむくみの原因になります。

 

③自律神経への影響

自律神経系は、内臓関係と密接なかかわりがあります。

この自律神経系とトリガーポイントの関係性ですが、現時点では解明されていない点もありますが、すでにわかっている作用も散見される。

 

【自律神経系とトリガーポイントの関係性】

●目の充血

●涙の過剰分泌

●持続性の鼻汁

●鳥肌

●不整脈

 

④運動障害

トリガーポイントは筋を短く硬くすることによってその動きに影響を与えるため、その結果、可動域が制限されます。

またトリガーポイントにより筋はリラックスできず、疲れやすくなり、回復力が低下して、動いたときに過剰に収縮するようになります。

筋の均衡状態が崩れ、ひどくなると関節がズレて動くと引っかかったり外れたりします。

さらにトリガーポイントは、「物の重さを推測する感覚を失わせる」「めまいや平衡感覚異常」「協調的な動きが出来なくなり、よく躓く・不意に物を落とす」などの問題も生じさせます。

慢性化した悪い姿勢、特に頭あるいは腰を突き出す癖は、トリガーポイントの治療がなされない限り、修正することは困難です。

脚の長さに極端に左右差がある場合は、短くなった側の脚に長い間トリガーポイントが集まっていることが原因であったということもあります。

 

6.トリガーポイントの治療法

TravellとSimonsは、トリガーポイントを直接処置する最も安全で効果の高い治療法として、

「ディープ・ストローク・マッサージ」

を提唱しています。

虚血性圧迫の方法も一つありますが、効果が高いのはこの「ディープ・ストローク・マッサージ」であるとされています。

期待される効果として、以下のことが挙げられます。

●ストロークを繰り返すことで血液やリンパ液の流れがよくなる

●ストレッチと併用することで明確な効果があり、筋付着部に対するリスクも少ないとされている

●また血管や神経周辺など、注射ではリスクが高い場所に対しても行える

 

トリガーポイントに対するマッサージの9つの原則

トリガーポイントに対してマッサージを行う際、効果をしっかり出すことや自分自身の身体を守るためにも9つの原則があります。

①出来れば器具を使用し、手の負担を減らす

②1点を押すのではなく、ディープ・ストローク・マッサージを行う

③短いストロークで繰り返し行う

④ストロークは一方向にする

⑤ゆっくりとしたストロークで行う

⑥マッサージで感じる痛みのレベルは10段階中7くらいで行う
(痛気持ちいレベル)

⑦1つのトリガーポイントに対するマッサージは6~12ストロークまで

⑧1日に6~12回処置する

⑨効果が出なかったら、治療部位を間違えていないか確認する

 

決してトリガーポイントを強引に消失させないようにすることがポイント
原則に従って毎日行っていればトリガーポイントは自然に消えていく。繰り返しの作業が大切となる

 

トリガーポイントの治療の実際についてはこちらの記事をご覧ください。

肩関節周囲炎の”しつこい痛み”に関連のある筋について

 

 

7.まとめ

今回は、トリガーポイントの概要をまとめていきました。

トリガーポイントの存在も徐々に知られてきており、痛みを取ることに特化した内容で腰痛や肩こりに効果的であることから今後、大きな治療手技になるのではないかと思います。

 

 

 

 

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