インナーマッスルとアウターマッスルはどちらが腰痛・肩こりと関連している?~体幹筋の役割ってなに?~

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理学療法
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どうも。

KABOSUです。

 

今回は

体幹筋について

文献を踏まえて、深く検討していきたいと思います。

 

そもそも、体幹筋とはなんなのでしょうか?

「腰痛には体幹(インナーマッスル)を鍛えたらいいよ」

などテレビでなんかで結論だけ伝えられている(実際は深く説明していても見ている人は結果しか覚えていない)ことが多く、体幹筋をトレーニングする意味をわかっていない人が多いように思います。

 

そこで、今回は体幹筋について、

基礎的な部分から、トレーニング方法などを文献を踏まえて説明していきたいと思います。

 

 

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1.体幹とは?

体幹とは、その名の通り、”体の幹”ということです。
つまり胴体の部分を指すわけです。

この体幹ですが、身体の中心部に位置するわけですので、当然強靭なものでなくてはなりません。

 

そこで活躍するのが「体幹筋」です。

 

体幹筋は、”インナーマッスル”や”コアマッスル”などと呼ばれることが多いかと思います。

このインナーマッスルやコアマッスルというのは、名前通りですが”深部筋”のことを指します。

 

深部筋があれば浅部筋があるのが当然で、

体幹筋にも”アウターマッスル”や”グローバルマッスル”などと呼ばれる浅部筋が存在します。

 

つまり体幹筋とは、インナーマッスルとアウターマッスルを併せてたものを言いうわけですね。

図:インナーマッスルとアウターマッスルの対象筋

 

上記の図のようにインナーマッスルとアウターマッスルの対象となる筋肉が分けられます。

筋トレをして目に見えて効果がわかる部分はどちらかというとアウターマッスルであることが多いです。

※アウターマッスルである腹筋を鍛えればシックスパックになります。

つまりアウターマッスルを意識的に鍛えれば”見た目はよくなる”ということがわかります。

 

ただ、”腰痛や肩こりを起こさない身体を作る”という観点からいくと、アウターマッスルばかり鍛えても何も改善しないことがほとんどです。

 

アウターマッスルが優位になると、体幹はグラグラになります。

”中がスカスカの棒が立っている”ような状態です・・・

中身がスカスカの大黒柱よりも少し見た目が悪くても中がしっかり詰まって安定している大黒柱の方がいいですよね。

つまり、しっかり中心部を固定するインナーマッスルの働きが重要になるわけですね。

 

まとめると、

機能的な体幹とは、インナーマッスルが優位に働いている状態のことを言います。

「インナーマッスルがしっかり機能したうえでアウターマッスルが働く」

という形が理想な状態であるといえます。

 

 

2.体幹筋の役割~体幹筋には2種類の作用がある~

体幹筋には、2つの役割があります。

というのも、体幹に存在する筋の役割が大きく2つにわけられるためです。

体幹筋は大きく分けて、”インナーマッスル”と”アウターマッスル”、この2つに大別されます。

この2つの筋肉の機能について以下にまとめていきます。

インナーマッスル

体幹のインナーマッスルは、腹横筋・多裂筋・横隔膜・骨盤底筋群の4つで構成されます。

 

腹横筋:体幹の前面から支持する

多裂筋:体幹の後面から支持する

横隔膜:体幹を上部から支持する

骨盤底筋群:体幹を下部から支持する

 

上記のようにそれぞれ体幹を支持しています。

4つの組織が働くことで腹圧が高まり、体幹の安定化が図られます。

 

この体幹のインナーマッスルが機能することで以下のような働きが見られます。

●末梢の動きに先行して体幹を安定させる(腰痛や肩こりの改善)

●自然と良い姿勢がとれる

●バキバキに鍛えていなくてもスタイルよく見える

 

アウターマッスル

体幹のアウターマッスルは、腹直筋や脊柱起立筋などで構成されます。

 

●腹直筋:腹部前面に位置し、身体を曲げる運動に作用する

●脊柱起立筋:背部に位置し、身体を反る・起こす運動に作用する

 

上記のような働きがあります。

このアウターマッスルが働くことで体幹のダイナミックな動きを出すことが出来ます。

 

このアウターマッスルが機能することで以下のような働きが見られます。

●特定の動きでパワーとスピードを出す(運動に有利な筋)

●瞬間的に大きなパワーを生み出すことが出来る

●代謝が上がる・痩せやすくなる(大きい筋肉が多いことから)

 

 

3.体幹についての文献

これまでの話を踏まえて、それぞれの体幹筋の役割とはなんぞや?と言った部分に迫っていきます。

腰痛・肩こりなど身体の不調に対して大きく影響を及ぼすのは大抵の場合、インナーマッスルであります。

ここでは、インナーマッスル中心にまとめています。

腹横筋について

□上肢、下肢の動きに先行して、腹横筋や多裂筋が収縮し、体幹の安定性を高めている

□腰痛を有する群では、先行した腹横筋の収縮の遅延が観察された

引用文献:Paul W.Hodges et al.1996

 

□腰・骨盤を立てた姿勢と不良姿勢では、腹横筋の厚さに有意な差が生じた

□腰痛患者に対する姿勢管理の重要性が示唆された

引用文献:Reeve A,Dilley 2009

 

□超音波にて視覚的にfeedbackを与えながら、腹横筋の収縮を4週間行い、収縮訓練を6か月間行うと、上肢・下肢の動きに先行した腹横筋の収縮は回復した

引用文献:Ottar Vassejen et al.2010

 

□背臥位で下腹部を凹ますと腹横筋が最も活動する

□骨盤後傾運動では内腹斜筋(中部)が最も活動する

□腹式呼吸では外腹斜筋が最も活動する

引用文献:Urquhart DM,Hodges PW,Allen TJ,Story IH:Mannual Therapy 2005

 

□下腹部を凹ました際、腹横筋の厚さの平均増加率は49.17±26.76であった

□骨盤底筋の収縮状態で下腹部を凹ました際、腹横筋の厚さの平均増加率は65.81±23.53であった

□四つ這い位で骨盤底筋を収縮させ、下腹部を凹ませたトレーニングは有効である

引用文献:Critchley D 2002

 

 

腹横筋のトレーニング方法を知りたい方はこちらをご覧ください。

インナーマッスルの代表格である腹横筋を鍛える意義と実際のトレーニング方法
腹横筋ですが、コルセット筋とも呼ばれており、お腹を覆っている筋肉になります。腹横筋が弱まってコルセットの役割を果たせなくなれば当然お腹が出てきます。さらに腹横筋はインナーマッスルであるため、弱化すれば当然姿勢も悪くなります。このインナーマッスルの代表格である腹横筋を鍛えるメリットと方法をご紹介していきます。

 

多裂筋

□多裂筋は4層の線維に分けられる

□4つの線維のうち、椎弓線維が最も深層にあり、分節ごとの安定化を図っている

引用文献:M.E.Lonnemann et al.2008

 

□多裂筋と腹横筋に焦点をあてた分節安定化運動と表層の線維(アウターマッスル)強化運動の2つのトレーニングは両者とも腰痛の改善に有効であった

□しかし表層の線維強化運動の場合、腹横筋の弱化を招くという結果に至った

□表層線維の強化運動だけでは運動に先立って腹横筋が先行的に働く機会を奪う可能性が示唆された

 

□急性腰痛は通常自然に消散するが、再発率は高い

□腰痛消失後も多裂筋の萎縮は進行する

□腰痛の再発には多裂筋の萎縮が関与している可能性が示唆された

引用文献:Hldes et al 1996

 

多裂筋の萎縮に関して詳細に説明した記事はこちらになります。

多裂筋萎縮と腰痛の関係性~インナーマッスルトレーニングは腰痛を軽減させる~
腰痛を改善するためには何が最も効果的か?この疑問についての検討材料は多々あると思います。セラピストの方は、患者の状態などを見て治療内容を判断しているものを思われますが、今回はそんな腰痛患者には「腰痛にはインナーマッスルトレーニングが必須であり、特に”多裂筋”に対するトレーニングは重要になる」ということを文献を交えて記事にまとめていきたいと思います。

 

 

□多裂筋深層線維が腰椎のスタビリティーに関与する

※表層線維や脊柱起立筋は腰椎の伸展や回旋に関与する

□多裂筋深層線維は表層線維や脊柱起立筋に比べてタイプⅠ線維を多く含む

※タイプⅠ線維:赤筋(遅筋)線維のことを指す

□体幹の働きの際、多裂筋深層線維は持続性(緊張性)に、表層線維や脊柱起立筋は相動的に働く

※多裂筋深層線維は脊柱の安定化に関与する

□多裂筋深層線維は腹横筋と協同して働く

□腰痛に伴った筋の変化は、表層線維や脊柱起立筋よりも深層線維に大きく影響を及ぼす

※腰痛に伴い多裂筋深層線維は萎縮を起こす

引用文献:MacDonald DA,Moseley GL,Hodges PW

 

多裂筋のトレーニング方法を知りたい方はこちらから。

多裂筋トレーニングは腰痛に有効~体幹伸展時の腰痛に対する考え方~
「腰痛によっていつも中腰になって体を起こすことができない」「高いものをとる時に手を伸ばせない」「中腰の姿勢から体を起こすときに腰痛が出現する」などの症状がある場合は、多裂筋に対するトレーニングが効果的なことが多いです。多裂筋を鍛える方法はいくつかありますが、注意する点も多くあるのでまずはポイントを押さえましょう!

 

横隔膜

□Zone of Appositionは腹部の筋と横隔膜の緊張によりコントロールされる

□Zone of Appositionに異常をきたすと腰痛や頭痛など様々な身体の不調をきたすと言われている

図:Zone of Apposition減少に伴う変化

 

引用文献:Kyndall L.Boyle, et al 2010

 

□腹横筋の上方の筋束と横隔膜の肋骨部の筋束は、気管部で共通の白い膜上の構造を介して連結している

□横隔膜が腹横筋の張力を直接的に高めることができると考えられ、体幹の安定性に影響を及ぼす可能性がある

引用文献:河上敬介、磯貝香:骨格筋の形と触察法

 

横隔膜のトレーニング方法を知りたい方はこちらをご覧ください。

腰痛を治すには横隔膜と骨盤底筋群の連動性が重要【Zone of Appositionについて】
今回は横隔膜と骨盤底筋群について書いていきます。横隔膜と骨盤底筋群は、体幹筋の中で上下に位置する組織になります。 「腹横筋と多裂筋で体幹の前後を支持し、横隔膜と骨盤底筋群で体幹の上下を支持する」、このように上下・前後からの支持により体幹を安定させているのがインナーマッスルになります。今回は上下の支持機構の組織の連動性を踏まえてまとめていきたいと思います。

 

骨盤底筋群

□膣壁を通して、刺入したワイヤー電極を用いて、腹筋収縮時の恥骨尾骨筋の筋電活動を調べた

□腹筋群を活動させることにより、恥骨尾骨筋の活動増加がみられた

引用文献:Sapsford R R1997:activation of pubococcygeus during a variety of isometric abdominal exercises

 

□ワイヤー電極を用いて腹筋群の筋電活動をモニターしながら、被験者に骨盤底筋の最大収縮を行うよう指示

□骨盤底筋の収縮をさせることにより、腹横筋の活動が優位に増加した

引用文献:Sapsford R R1997:activation of the abdominal muscle is a nomal response to contraction of the pelvic floor muscles

 

□末梢の動き(腕を振る運動)に際して、骨盤底筋は先立って活動していた

□骨盤底筋は姿勢機能と呼吸機能の両方に寄与していることが示唆された

□骨盤底筋にもフィードフォワード機能があることが示唆された

引用文献:Hodges PW,et al.2007

 

骨盤底筋のトレーニング方法を知りたい方はこちらから。

腰痛を治すには横隔膜と骨盤底筋群の連動性が重要【Zone of Appositionについて】
今回は横隔膜と骨盤底筋群について書いていきます。横隔膜と骨盤底筋群は、体幹筋の中で上下に位置する組織になります。 「腹横筋と多裂筋で体幹の前後を支持し、横隔膜と骨盤底筋群で体幹の上下を支持する」、このように上下・前後からの支持により体幹を安定させているのがインナーマッスルになります。今回は上下の支持機構の組織の連動性を踏まえてまとめていきたいと思います。

 

 

4.まとめ

今回は体幹についてまとめていきました。

文献を取り入れていくと少し内容が濃くなってしまいましたが、

体幹を診ていく際には、インナーマッスルに注目しなければならないことがわかったのではないでしょうか。

 

今回の記事が腰痛や肩こりに悩んでいる人の助けに少しでもなればと思います。

 

それでは本日はこの辺で。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました!

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