皆さんはたまにしゃがみ込んだ時に膝裏に違和感や、しゃがみ込めないほどに膝裏が痛んだことはないでしょうか?
実際に、膝の痛みの中でも膝裏の痛みの訴えは比較的多いのが現状です。
では、この膝裏の痛みや違和感は何が原因で起こっているのでしょうか?
原因は様々あるでしょうが、今回は膝周囲の筋の問題にフォーカスして紹介していきたいと思います。
痛みは原因がわからなくなるから余計に痛みが増幅してしまいます。
原因がわかるだけでも精神的負担が軽減されます。
まずは原因となる一部だけでもいいのでそれを理解し安心を得ることも痛みを取るためには重要になってきます。
1.膝窩部(膝裏)の解剖
まずは膝裏の解剖についてです。
膝関節自体は下肢の中では”中間の関節”と言われており、支持組織が筋や靱帯などの軟部組織のみであるといった特徴があります。
※骨盤帯(股関節)や足部は関節の形状など骨性の安定化機構が存在し基本的には安定性に富んだ関節とされている。
故に膝関節は軟部組織の働きが非常に重要となるわけです。
まずはこの軟部組織、その中でも筋について紹介していきます。
図:膝窩部の解剖
プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第3版 を一部改変し引用
膝窩部は様々な筋が入り組んで配置されています。
これらの筋があるにも関わらず、しゃがみ込みなんかでは膝がきれいに曲がるから不思議ですね。
逆にこんなに多くの筋があるので何か問題が起こった場合にしゃがみ込みは簡単に障害されてしまう事も予想できます。
2.膝を曲げるときに膝裏に感じる違和感についての検討
ここからは実際にしゃがみ込み動作などで膝を曲げるときに膝裏に生じる痛みなど違和感について考えていきます。
原因としては様々な要因が挙がってくると思いますが今回は筋にフォーカスしていくつか原因を挙げていきます。
腓腹筋が膝裏の痛みに関わる理由
【腓腹筋の構成】
腓腹筋内側頭⇒『起始』大腿骨内側上顆・『停止』踵骨隆起・『支配神経』脛骨神経(L4~S2)
腓腹筋外側頭⇒『起始』大腿骨外側上顆・『停止』踵骨隆起・『支配神経』脛骨神経(L4~S2)
【ワンポイント】
●腓腹筋の筋腹は外側頭に比べ、内側頭で発達している。
これは立位時に加わる膝外反ストレスや足部の回内ストレスに抗するための変化と考えられています。
図:腓腹筋の解剖
プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第3版 を一部改変し引用
腓腹筋は下腿後面にある筋でヒラメ筋と共に下腿三頭筋を構成します。
この腓腹筋ですが、二関節筋であり膝関節をまたいで大腿骨に付着します。
※ヒラメ筋は膝関節をまたぎません
このように腓腹筋は膝関節をまたいで付着を持つため、膝関節の動きにも関与してきます。
(膝屈曲に関与)
で、この腓腹筋がなぜ膝屈曲時に痛みや違和感を引き起こす原因になるのかですが、、、
先程も説明しましたが、腓腹筋は二関節筋であり膝関節をまたぐ筋になります。
故に膝屈曲時に腓腹筋はインピンジされやすくなるというわけです。
そして腓腹筋の中でも内側頭の方が筋の付着が長くなっているため、内側頭の方がよりインピンジされやすいと言われています。
つまり、腓腹筋が原因で膝裏に痛みが出る場合は、膝の内側よりに痛みが出やすくなることが予想されますね。
膝窩筋の影響
【膝窩筋の構成】
『起始』大腿骨外側上顆の外側面・『停止』ヒラメ筋線より上の脛骨後面上部・『支配神経』脛骨神経(L4~S1)
【ワンポイント】
●膝窩筋の起始の一部は外側半月板に付着している。
●膝窩筋筋腹には半膜様筋の線維が一部合流してくる。
●膝窩筋は膝関節の屈曲ならびに下腿の内旋に作用する。
●膝関節の屈曲と共に外側半月板を後方へ引き、顆部との挟み込みを防ぐ。
●膝関節完全伸展位において生じている外旋固定のロックを外す役割があるとされている。
図:膝窩筋
プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第3版 を一部改変し引用
他動的な膝関節屈曲の際に、膝窩部痛を訴えるケースの多くに膝窩筋の圧痛所見を認めることが多いです。
その中でも、Knee-in,toe-outのアライメントを呈したスポーツ選手に生じる膝窩部痛の原因に、膝窩筋のコンパートメント(内圧上昇)に由来したものが多いとも報告されています。
膝窩筋自体は膝裏に位置しており、ちょうど膝関節の可動ポイントの近位に筋が走行しているためインピンジメントなど引き起こすのではないかと想像できますが、それ以上に膝に痛みに関与する原因があります。
それは半月板との付着を持っているということです。
膝窩筋は外側半月板との付着を持っています。
この関係性が膝裏の痛みや違和感を引き起こす一要因になっています。
膝窩筋自体の機能としては、上記でも述べたように膝関節の屈曲や下腿の内旋作用などが主になります。
しかし、それ以外にも外側半月板に付着をもってることから、膝屈曲時に動きの中で外側半月板を後方に引き、顆部との挟み込みを防ぐ働きも行っています。
このように膝窩筋の機能不全により外側半月板のインピンジメントを引き起こす可能性があることがわかります。
膝窩筋へのアプローチについて知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
リハビリにより改善する可能性のある膝の痛みの原因とその解決方法4選
3.まとめ
今回は膝裏の痛みについてまとめていきました。
膝裏の問題には、腓腹筋や膝窩筋の影響があることを紹介していきました。
実際には、筋以外にも靱帯の問題や関節包などその他諸々の問題などが考えられます。
ただ、それは直接的な問題なのか、間接的に問題となっているのかなどを言い出すと曖昧になってきます。
今回紹介した、膝窩筋と腓腹筋の問題は比較的直接的に影響を及ぼす問題となっています。
今現在、膝裏の違和感や痛みに悩まされている方は試しに筋に対してフォーカスしてみてはどうかと思います。
それでは本日はこの辺で。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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