椅子から立ち上がれない理由と考えられる原因

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症例検討
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どうも。
KABOSUです!!

 

 

本日は、

「日々の疑問」

シリーズです!

 

 

日々、対象者に対しリハビリを行っていると、

 

「椅子もしくはベッドから立ち上がれない」

 

という問題に多々直面します。

 

 

問題はそれぞれなんでしょうが、

 

「立ち上がり動作」

 

は生活する上でほぼ100%といっていいほど必要な動作になります。

 

立てなかったら

どこにも移動できませんよね?

そのまえに起居動作はどうなんだ?って話になりますが、

そこまでいくと話がまとまりませんので、今回は他の動作の事は省いて、立ち上がり動作のみ書いていきたいと思います。

 

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実際の対象者の状態

●痩せ型の高齢女性

●股関節の手術(大腿骨頸部骨折後THA施行)にてリハビリ開始(自宅で転倒により)

●不安の訴えが強い(転倒しそうなど・・・)

●動作は比較的緩慢

 

※情報は少ないですが個人情報の問題もあるのでなんとなくイメージできる程度で。

※「高齢女性」で「股関節疾患の方」で「不安が強い方」の3点をイメージして下さい。

 

実際の立ち上がり動作

 

●立つ前にとりあえず支持物を探す

●支持物が見つかればそこを把持して手の力で立ち上がろうとする

●お尻が重く、お尻が椅子から持ち上がらない

●そもそも勢いが全くなくゆっくりした動きで立ち上がろうとする

●立ち上がる際に足底に荷重が乗っていない

●立ち上がれそうでも途中でお尻が椅子に戻ってしまう

●なんとか立ち上がれても、ものすごく後方重心となる

●立ち上がれても歩き始めの一歩がなかなか出ない

 

 

 

※高齢者の多くはこのように立ち上がり動作の際、重心が後方に残り不安定な立ち上がり動作になってしまいます。

※原因はどうあれ重心が後方に残ってしまえば転倒のリスクも高まるし、なにより次の動作に移るのに非常に効率が悪くなってしまいます。

※今回は立ち上がり動作の際の問題点を挙げていますが、立ち上がり動作で重心が後方に残ってしまっている場合、その他の動作(歩行や立位での活動)でも高確率で重心は後方偏位しています。

※転倒リスク軽減のためにも立ち上がり時の重心位置はしっかり見ていきたいところです。

 

 

疑問

 

●なんで椅子からの立ち上がりが出来ないのか?その理由は?

 

●どうにか立ち上がれても安定感がないのは?一歩がでにくいのは?

 

今回の記事のメインはここです。

この「疑問」に対する原因を以下に書いていきます。

 

 

考えられる原因

 

①足関節の背屈角度

 

足首が固いと「下腿の前傾」が出にくくなります。

立ち上がり時、重心を前方に移動させるわけですが、その際、足関節は背屈方向に動き下腿を前方に倒していきます。

その動きが出ることで殿部のかかっている荷重が足部に乗りやすくなります。

 

下腿の前傾の有無でどう立ち上がりが変わるのかは、立ち上がる時に普段より両足部を前方でついた状態で立ち上がってみると分かりやすいと思います。

※両足部を前方に位置させることで立ち上がり時に足関節背屈が出なくなり、追従して下腿の前傾も出なくなります。

 

足関節の背屈を改善させる方法が知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

足関節の背屈を改善させるには腓骨の動きが重要。具体的な4つの方法を紹介します。
足関節の背屈制限は日常生活に大きな支障をきたします。今回は、そんな「足関節の背屈制限」に対するアプローチ方法を記事にしました。特に腓骨の動きは重要であり、臨床場面でチェックする必要性の高い部位になると思われます。

 

 

②股関節軸(ポイント)の意識がない

 

本来の可動部位はどこなのかって話です。

例えば、身体を二つに折り曲げるとします。その時どこを折り曲げるポイントにしますか?

可動域の観点から考えると「股関節」になります。

長座体前屈などを想像してもらえれば・・・

 

上手く立てない人は、この「股関節が軸になって重心を移動する」という意識とかイメージがないことが多いです。

 

要するに、

「上半身の重心」

「下半身の重心」

配分にずれが生じているということ

になります。

 

このイラストは通常の上半身・下半身重心の配分になります。

 

 

じゃあ上手く立てない人はどこに軸をもっていっているのか?なんですが、

 

多くは胸椎や腰椎が軸(ポイント)になっています。

 

 

猫背とかスウェーバックの姿勢の人などが当てはまります。

腰痛持ちの人や高齢者の多くは、このような姿勢を取りやすいです。

 

このように股関節よりも上位の胸椎や腰椎が動きのポイントになっていれば

必然的に

上半身重心の割合が減り、下半身重心の割合が増える

ことがわかります。

 

そうなると、立ち上がり時に前方への慣性力を作るための重量が減りますし、なにより可動域の少ない背骨がポイントになっているため、思っているより前方へ重心が移動しません。

 

そのため重心が後方に残り立ち上がりが困難になってしまうというわけです。

 

股関節が悪い人や股関節の手術を行った人なんかは「股関節を動かしたくない状態」であるため余計立ち上がりが困難になります。

そういった場合、動作の指導の前に

「股関節を動かすことに抵抗はあるのか」

は評価する必要があると思います。

 

 

③恐怖心がある(前にコケそうなど)

 

「恐怖=腰が引ける」

この一言につきます。

 

なかなか大変なのは、

「立ち上がって立位をとるのが怖い」

という方です。

 

立つのが怖いという方々は、機能面うんぬん、

まず前方へ重心が移動しません。

長期臥床の方の離床の時など特に多いような気がしますが、

立ち上がりを誘導すると恐怖から逆に後方に身体を倒していくんです。これは極端な話ですが・・・

 

ちなみに今回の対象者は後方に倒すなんてことはなかったんですが(姿勢が安定せず後方に倒れそうになったことはあります・・・)、

「こけそうで怖い」などの発言は目立ちました。

 

このように、恐怖心が強いと、腰が引けてしまいます。

腰が引ければ、前方への重心移動の際に勢いが消されてしまいます。

立ち上がり動作に問題ない人は、立ち上がる際にゆっくり立ち上がらないですよね。

ある程度勢いを使って立ち上がります。

それにしっかり動くべきところが動くからそんなに苦もなく立ち上がれるんです。

 

そして、腰が引けた状態で活動していたら、そのうちかなりの確率で腰痛になりますので注意が必要になります。

 

以上の3点が原因として考えられます。

 

この3点をまとめると、

 

●動作に対して不安があり(恐怖心)、足首の固さや股関節への意識が乏しくなっているため立ち上がり動作が困難になっている。

●立ち上がり動作時は、恐怖心や胸椎や腰椎が可動ポイントになっているため上半身の重心が後方に残ってしまい、安定感に欠ける立位姿勢となる。

●重心が後方に残ってしまうため、次の動作に移りにくくなる(歩きはじめに時間がかかる)。

 

となります。

 

ただ、この3点が原因となり立ち上がりが困難になるわけですが、

誰しも代償機能が上手く働くわけですから、問題があっても動作自体は可能な人もいます。

 

しかし、代償動作も改善すべきものもあります。

まずは具体的な立ち上がり動作時の代償動作を挙げます。

 

1)椅子を手で押しだすようにしてお尻を浮かして立つ

 

2)なにかの把持物に頼るor把持物を持って引っ張るようにして立つ

 

3)過剰に上半身重心を前方にもっていって立ち上がる

(先に身体を曲げてお尻を浮かし、最後に膝を伸ばしていく)

 

4)股関節はうまく使えてないが脊柱を過剰に曲げて(猫背のような姿勢)立ち上がる

 

などが挙げられます。

 

代償動作は動作の自立度を高めるためには有効かと思われますが、何度か言っている「腰痛」や「転倒」など二次的な問題を起こす可能性だってあるわけです。

改善できる代償動作は修正すべきであると思います。

 

追記ですが、

立ち上がりが困難となる原因で、筋力面のことを書き忘れていました・・・

そもそも筋力低下が起こっていれば立ち上がるためのパワーがないわけなので確実に困難になります。

ちなみに、どこの筋力低下が問題になるか?ですが、

個人的には、「下部体幹筋」・「大殿筋」・「大腿四頭筋」を優先してトレーニングしていきます。

そりゃ言い出したら大切な筋肉はたくさんあるでしょうが、特に大腿四頭筋はリハビリの場面でもよく聞かれると思います。ただ立ち上がりは股関節動きが重要になりますので、合わせて大殿筋の働きが大事になってきます。

詳細は、次回の改善方法の時に合わせて書いていきたいと思います。

 

 

次は実際の改善方法をまとめていきたいのですが、長くなってきましたので

「原因に対しての改善方法」は次回の記事でまとめていきたいと思います。

 

 

それでは本日はこの辺で!

ありがとうございました!!

 

「原因に対しての改善方法」についてはこちらから見る事が出来ます。

椅子から楽に立つために必要な”4つの意識”と”4つのテクニック”
立ち上がり動作を楽に行うための動作指導・直接的な身体へのアプローチ法をまとめました。

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