スクワットは昔から一般的に行われている筋トレ方法の一つです。
最近ではリハビリという用語がある程度広く認知され、ケガのあとのリハビリで用いられたりダイエットや美容などの世界でもスクワットの有用性は謳われています。
リハビリの業界でも呼吸器疾患や心疾患などの内科疾患に対しては下肢のトレーニングの効果は高いとされ、高齢者に対してもスクワットや起立訓練が常習化してきています。
そんな有名になったスクワットですが、ネットで調べれば多くのスクワットの種類が提示されます。
スクワットの呼び名も同じ要領のスクワットでも違ったりします。
まぁ実際、方法さえ間違っていなければ名前は多少違ってもいいわけです。
少し話が逸れましたが、
今回はそんなスクワットのやり方を記事にしていきたいと思います。
やり方といっても、これは悪くてこれは良いなんて簡単な判断はできないものです。
ここに関してはスクワットに限らず、ストレッチであったり、他の筋力トレーニングでも言えます。
要は、何を目的にスクワットを選択し行っているかです。
つまり、スクワットのやり方の中でも、「状況に合わせたスクワットのやり方」はなんなのかということですね。
それではよろしくお願いします。
1.スクワットのやり方~一般的なイメージのあるスクワット~
皆さんはスクワットと聞くと、多少の誤差はあるものの、こういった状態を思い浮かべるのではないでしょうか?
スクワットは単純な運動の繰り返しであり、
上体を上下に動かすことで下肢の筋力をトレーニングしていくといった方法になります。
最もベーシックな方法が上記の写真のような方法であり、上記の女性のようにスクワットを実行できれば効果的に筋力を鍛えることが出来ます。
また、不用意な膝の痛みや腰痛などを引き起こすリスクも減少します。
方法を細かく記載するよりも、写真を見る方が理解はしやすいと思います。
ちなみに、私自身がスクワットを行う際に最も気をつけるポイントがあり、そこだけはここで記事にしておきたいと思います。
そのポイントですが、”股関節をしっかり使う”です。
よく「スクワットの際につま先よりも膝が前に出ないように注意します」というワードを聞くと思います。
これは股関節をしっかり使えていれば上記のように注意する必要はなくなります。
股関節が上手く使えていない人がよくつま先よりも膝が前出てしまい、膝の痛みを引き起こしたりします。
また、スクワットというと目に見えて動く部分は膝なので、膝を大きく動かせばとにかく鍛えられると誤解されがちです。
当然、そのパターンが功を奏すこともありますが、運動指導をするリハビリの立場としては、特異性の原理のことも含め、局所へ極端に負担のかかる方法はNGとします。
※アスリートなどで運動種目に沿ってかつ局所的に鍛えたい場合なんかは上記の方法から逸脱して指導することもあります。
話が脱線しているので元に戻しますが、
”股関節をしっかり使う”という意識でスクワットを行うと自然と膝・腰への負担は軽くなります。
これを応用して、腰痛・膝痛の方の立ち上がり動作・着座動作の指導も行ったりします。
2.スクワットの効果
次はスクワットの効果です。
なぜにこんなにスクワットの認知度が上がっているのかですが、
美容関係で取り上げられたからではないでしょうか?
スクワットをすることで美容効果があるといったワードが世間に浸透してからスクワットへの理解が進んだように思います。
では、実際にスクワットの効果ですが、如何ほどの物があるのでしょうか?
以下にスクワットを行うことで得られるであろう効果を挙げていきます。
①純粋にやせやすくなる
スクワットを行うことで下肢の筋力がトレーニングされます。
下肢の筋力は人体の筋肉の中でもかなりの比重を占めます。
故に、下肢の筋力がつけばそれだけ代謝も上がるということです。
代謝が上がれば脂肪は燃焼し必然的に痩せやすい身体になっていくということです。
②メインは下肢の筋力トレーニングだが、意外と全身鍛えられている
スクワットは下肢のトレーニングだけと捉えがちですが、意外と全身を使う運動になります。
つまり、全身を総合的に動かすので頭痛や肩こりなどにも効果があるという意見もあります。
逆を返せば、スクワットがきれいに行えていない場合は、どこかに不調がある(腰痛や膝痛など)と判断することもできるわけです。
③美脚効果や下半身痩せの効果が期待できる
ここはコンビニなどでも売っている美容系の雑誌を見たほうがわかりやすく書いているかもしれません・・・。
スクワットは美脚効果が期待できます。
なぜか?
「内転筋」が鍛えられるからです。
内転筋は通常トレーニングしにくい部位であり、また近年のだらけきった生活習慣のせいで、体幹(インナーマッスル)の弱化も引き起こし外側支持優位となっているため、なおさら内転筋は効かなくなっています。
そのため、スクワットを行い、内転筋を鍛えることで顕著に足が細くなるといった効果が期待できます。
私的には内転筋以外にも、「太ももの裏にあるハムストリングス」も美脚には重要な筋であると思っています。
ハムストリングスは大腿四頭筋の対になる筋であり、相反関係にあります。
そして、ハムストリングスはアクセルの筋であり、大腿四頭筋はブレーキの筋であると言われています。
話をまとめると、スクワットで大腿四頭筋ばかり鍛えると筋肥大が起こり逆に太ももは太くなるということです。
ハムストリングスが効果的に鍛えられることで大腿四頭筋の過剰な筋肥大が生じず「いい脚」になっていくわけです。
④腰痛・膝の痛み・肩こり・頭痛の改善が期待できる
先程から何度か言ってますが、
スクワットを習慣化して行っていけば種々の痛みの抑制につながる可能性があります。
膝の痛みや腰の痛みに関しては、
「股関節を上手く使う」ことで、姿勢の問題などのような身体の使い方の不良が原因で起こる痛みには効果が見られます。
ここに関して詳しく知りたい方は、以前書いた記事をこちらをご覧ください。
~正しいスクワットで痛み改善~膝の痛みや腰の痛みにはスクワットが有効
肩こりや頭痛に関しては、
こちらも不良姿勢などの延長戦で生じている肩こりや頭痛であれば改善される可能性があります。
肩こりや頭痛に関しては、上半身の緊張が亢進したために起こることが多いです。
呼吸が浅くなって肩で呼吸する状態とか、、、そんな感じです。
頭痛に関しても偏頭痛と並んで多いのが”緊張性頭痛”ですが、この緊張性頭痛が頸部~肩の筋の過緊張が原因と言われています。
このような肩こりや頭痛に関しては下半身のトレーニングをすることで緊張が落ちていきます。
肩こりや頭痛がある方の多くは下半身ないし、下腹部への意識が極端に落ちているために生じているとも言えます。
つまり少しこぎつけにもなりますが、体幹のインナーマッスルが機能していないから肩こりや頭痛が生じると解釈できます。
このようなパターンの肩こりや頭痛の方にスクワットを行うことで改善を図っていきます。
3.スクワットの種類と状態に合わせたスクワットの選定
スクワットの種類はいくつもあります。
その中でも今回は5種類紹介します。
そして、それぞれの適応についても紹介していきたいと思います。
【スクワットの種類】
①ノーマルスクワット(通常のスクワット)
②ワイドスクワット
③フロントランジスクワット
④シシ―スクワット
⑤ピストルスクワット
①ノーマルスクワット(通常のスクワット)
通常のスクワットに関しては、先ほども述べましたがここでも説明していきます。
【方法】
□足を肩幅に開く
□つま先よりも膝が前に出ないようにスクワットしていく(股関節の曲げを意識)
□上体を落とし込んだ際に、つま先と膝の向きが同方向を向くようにする
※Knee-in/toe-outやKnee-out/toe-inなどにならないように注意
【頻度】
●10回を1セットとして、一日2~3セット実施する
●痛みがある場合は、無理をせずハーフスクワットでも可
※ダイエットや健康のために行うのであれば上記の負荷量でOK
※アスリートや目指すべきものがある場合は、セット数を増加していくor重錘など負荷をかけて行うようにしていく
【POINT】
□太ももの裏のハムストリングスのハリを感じるまで股関節を曲げるとより効果的に鍛えられます。
□楽に行える場合はスクワットした状態で一時静止するのもOKです。
※上記の写真のような姿勢を一定時間キープします
【ノーマルスクワットの適応】
・膝の前面が痛い方
・膝が上手く伸びないと感じている方
・前屈時に腰痛を感じる方
※ノーマルスクワットは身体のバランスを整えるためにも有効です
※筋肥大などを望む場合には、少し負荷が足りないトレーニングになります
などが挙げられます。
②ワイドスクワット
ワイドスクワットは名前の通り、足をワイドに開いてスクワットをする方法です。
方法は、ノーマルスクワットと同じであり、違いはただ足を開いて行うだけになります。
ただし、足を開いた状態で行うためノーマルスクワットの時よりも股関節をしっかり使えていないと簡単に腰が曲がってしまい”いいトレーニング”にならなくなります。
ワイドスクワットを行う際は、より股関節を意識し腰が曲がらないように意識してスクワットを行っていきます。
ワイドスクワットの適応としては、
・脚を細くしたいと思っている方
・内転筋をより鍛えたい方
・股関節のつまりを解消したい方、股関節の適合性を高めたい方
・仙腸関節の不安定性をきたしている方(はっきりしない腰痛がある方)
などが挙げられます。
③フロントランジスクワット
ランジスクワットは足を前後に開いて行うスクワットです。
方法は上記の写真のように足を前後に開き行っていきます。
詳細はこちらの記事に書いています。
ランジ動作では、主に大腰筋のトレーニングで用いますが、負荷のかけ方によっては内転筋・大殿筋にもかなりの負荷をかけることが出来ます。
方法は、通常のランジ動作にジャンプ動作を取り入れるだけです。
例えば、右足を前方に出してランジスクワットをしたらそのままジャンプして足を入れ替えます。
交互に脚を入れ替えながらランジスクワットを行っていきます。
ジャンプの要素を取り入れることで筋に対してかなりの負荷をかけることができます。
フロントランジスクワットの適応としては、
・バランス能力に問題がない方
※ふらつく場合は支持物にもとに行います
・身体を反る時に生じる腰痛がある方
・大腰筋や内転筋・大殿筋を効かせたいとき(効果的に鍛えたいとき)
などが挙げられます。
④シシ―スクワット
シシ―スクワットはより大腿四頭筋を効かせるために行うスクワットです。
画像がないのですが、
シシ―スクワットは身体を後方に反る形で膝に対してより負荷をかける方法になります。
このスクワットは大腿四頭筋に対して得られる効果は高いですが、機能的に使うために考えたトレーニングなのかは少し謎なところがあります。
先程も述べましたが、トレーニングにはいくつか原則があります。
その中に特異性の原則というものがあり、「目的に応じたトレーニングしなければ効果は低くなりますよ」ということです。
この原則に従えば、シシ―スクワットは少し日常生活とはかけ離れたトレーニングになるかと思います。
また、バイオメカニクス的に考えても単純に大腿四頭筋だけ、特に大腿直筋だけを限局してトレーニングしていることから、トレーニングした内容が機能的に作用するとは考えにくいです。
なので、膝の痛みや腰痛がある方や筋力の弱い方が実践すると決していい効果は得られないものと思われます。
シシ―スクワットを行う場合は、自身の状態をしっかり把握したうえで行うことをおススメします。
⑤ピストルスクワット
このスクワットは膝への負担が大きい方法になります。
また、股関節の柔軟性が低い方が実践すれば、ほとんどの確率できれいにスクワットが出来ず、挙句の果てには膝を痛めます。
ピストルスクワットに関しては、
アスリートなど過負荷をかけたい方におススメになります。
ピストルスクワットの適応としては、
・体幹・下肢の筋力が非常に強い方(アスリートや筋トレ上級者)で、より筋力をつけたい人
・腰痛・膝の痛みがなく、かつバランスに優れた方
※下肢に痛みがある方は、負荷が強すぎるため症状の悪化を招く可能性があります
※高齢者には負荷が強すぎてお勧めできません。
などが挙げられます。
4.まとめ
今回はスクワットのやり方と、それぞれのスクワットの適応について記事を書いていきました。
スクワットに関しては多くの情報があり、それぞれでスクワットに対する固定概念がある程度固まっていると思います。
しかし、どのスクワットにも適応と効果ははっきりしています。
「スクワットをしたらいいよ」という情報だけが広がりすぎて肝心の「何を、どうしたら」なんかが曖昧になってしまっているように思います。
今回の記事で自分自身にはどんなスクワットが効果的なのかを判断できるようになればと思います。
それでは本日はこの辺で。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました!!
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