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尿失禁の改善のためには骨盤底筋の機能の回復を図ることが非常に重要

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「尿漏れ=骨盤底筋を鍛える」

このように骨盤底筋をトレーニングすることは尿失禁の改善に有効であることは周知の事実です。

骨盤底筋は骨盤の底部に位置し、骨盤臓器の支持および排泄のコントロールに貢献しています。

また、骨盤底筋は骨盤輪の剛性を高める作用を有し、また姿勢制御にも大きく関わっています。

非常に小さい筋の集まりである骨盤底筋ですが、体幹のインナーマッスルとしての機能もあり、身体の中で比較的重要な組織として挙げられます。

今回は、この骨盤底筋に関して尿失禁の改善と絡めてまとめていきたいと思います。

1.骨盤底筋の解剖

骨盤底筋は、3層構造で構成されており、表層線維・中間層線維・深層線維の3つからなります。

これら3つの筋層は、骨盤臓器の支持に貢献します。

腹圧がかかったときは、骨盤底筋深層によって前後方向へのベクトルが生じ、それが能動的に尿道を閉鎖することになります。

このように骨盤底筋の機能により排泄のコントロールがなされ、逆に機能が低下することにより尿失禁をきたしやすくなることがわかります。

少し専門用語が多くなりますが、ここは骨盤底筋の解剖についてまとめていきます。

表層線維

浅会陰横筋、坐骨海綿体筋、球海綿体筋の3つの組織で表層線維が構成されています。

球海綿体筋は、男性では尿道陰茎部の球部から残尿を押し出し、空にするのを補助する役割を有します。

浅会陰横筋と球海綿体筋は会陰腱中心に付着します。

会陰腱中心は、両側坐骨結節を結ぶライン上のほぼ中間点に位置し、骨盤底組織のアンカーとして、また骨盤臓器の支持体として非常に重要な部位となっております。

中間層線維

尿生殖三角に位置する深会陰横筋、外尿道括約筋が中間層を構成しています。

外尿道括約筋は、女性では尿道圧迫筋と尿道膣筋からなります。

この層の筋は尿道の安定化に貢献する会陰膜の上(深層)に位置します。

深会陰横筋は会陰膜と共に会陰腱中心に付着し、会陰腱中心の位置を安定させています。

外尿道括約筋は60%以上がタイプⅠ線維で持続的な緊張を保つのに適した組成になっています。尿を貯留している段階では平滑筋性の内尿道括約筋とともに収縮し尿道を閉鎖しており、排尿の際には弛緩します。

深層線維

深層線維は恥骨尾骨筋、恥骨直腸筋、腸骨尾骨筋、(坐骨)尾骨筋から構成され、骨盤隔膜とも呼ばれています。

尾骨筋を除いて、肛門挙筋と呼ばれることも多いです。

表層と中間層組織は、平面的な形状を呈していますが、深層線維は正中部分が下方に垂れるハンモック用の形状になっており、抗重力位では骨盤内臓器の重さによって漏斗状になります。

深層線維の正中には、尿生殖裂孔と呼ばれる、尿道と膣(女性のみ)を外部と交通させるための裂孔が存在します。

女性は経膣分娩でこの裂孔内縁部を損傷するリスクが高くなります。

2.尿失禁の病態

尿失禁とは不随意な排尿のことであり、以下の4つのタイプに分類されます。

①腹圧性尿失禁

②切迫性尿失禁

③溢流性尿失禁

④機能性尿失禁

腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁は畜尿に関連する機能の異常で生じます。

溢流性尿失禁も畜尿症状ではありますが、前立腺肥大など、背景に排尿を障害する病態が存在します。

機能性尿失禁とは、トイレへの移動時や、衣類着脱など排泄時に必要となる運動機能の障害あるいは認知症など、尿の排泄に至るまでの過程に問題があって生じるものを意味し、下部尿路機能自体の障害に起因するものではありません。

実際に多くの方が悩む尿失禁は、腹圧性尿失禁切迫性尿失禁になります。

ただし、高齢になればなるほど後者の溢流性尿失禁や機能性尿失禁の割合が増えてきます。

今回は、尿失禁の改善にフォーカスしてまとめていくため、前者の腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁について詳しく書いていきます。

①腹圧性尿失禁

腹圧性尿失禁は構造的に骨盤底が脆弱な女性に圧倒的に多く見られます

尿道を安定させるため必要な支持性や、尿がもれないようにしっかり閉める閉鎖力が低下することが原因となります。

支持性の低下の原因:女性ホルモンの低下による性器萎縮など・・・

閉鎖力の低下の原因:外尿道括約筋や肛門挙筋の機能低下など・・・

上記の機能的な問題に加え、

不良姿勢や異常動作が日常的に起こることで会陰方向にかかる圧が上昇する状態が生じると結果として尿漏れに繋がってくるということです。

この腹圧性尿失禁ですが、骨盤臓器脱と同様に、経膣分娩による骨盤底障害によって発症のリスクが高まるものの、産後に骨盤底筋トレーニングを実施することでそのリスクを半減できるとされ、女性の尿失禁予防および健康維持のために積極的介入が必要となります。

②切迫性尿失禁

健常な場合、排尿は意識的に行われるものであり、尿意を感じても自身で制御(排泄を我慢)することが出来ます。

しかし、その制御が機能せず、突然の異常に激しい尿意とともに尿漏れが生じるのが”切迫性尿失禁”と呼ばれるものになります。

※尿意が生じるだけで尿漏れを伴わないタイプもある

この切迫性尿失禁は別名”過活動膀胱”と定義されており、最近CMなんかでも見かけます。

過活動膀胱は、例えば「家が見えた途端」・「水に触れた途端」など、尿意切迫感が生じるきっかけは様々であり、認知的側面が強く関わっていることが考えられます。

日本排尿機能学会による大規模調査では、切迫性尿失禁は女性よりも男性で頻度が高いという結果であったとのことです。

過活動膀胱に関しては、原因が2つあり、”神経因性”と”非神経因性”に分けられます。

神経因性の場合は、原疾患の治療が優先されます。

非神経因性の場合は、尿を我慢する膀胱トレーニングが選択されます。

また、骨盤底筋の再教育トレーニングも骨盤臓器の支持性改善と尿意切迫感に対する新たな制御方法として認知面からの学習を狙って用いられます。

3.尿失禁の改善のためのトレーニング

ここまでは、尿失禁のメカニズムなんかについて書いていきました。

では、次はどうすれば尿失禁を制御できるか?についてまとめていきたいと思います。

実際のトレーニングについては以下の2つにわけて説明していきます。

①姿勢や動作パターンを修正する

②骨盤底筋などの局所的トレーニング

①姿勢や動作パターンを修正する

腹圧性尿失禁は、くしゃみや咳、ランニングなどで腹圧が瞬間的に上昇する際に出現します。

腹圧性尿失禁が軽度の場合は、日常生活の中でそれを自覚しやすい動作を特定できることが多く、その動作の運動戦略を変えることで症状の軽減・消失に繋がることがよくあります。

理想の姿勢は、非努力性に体幹のニュートラルポジションが取れていることが理想になります。

つまり、無理に身体を反っている状態でもなく、猫背になっているわけでもなく、スッと立てている状態のことを言います。

姿勢が悪いと、基本的に腹圧がかかりにくくなります。

そして不意な動きで急に腹圧が高まるために尿失禁に繋がってしまうわけです。

常に一定量の腹圧がかかっていれば腹圧が関わる尿失禁は起こりにくくなります。

そのためには、体幹が”良い位置にある”ことが前提になります。

②骨盤底筋などの局所的トレーニング

骨盤底筋の個別的なトレーニングは尿失禁の改善にとって重要な訓練の一つです。

その骨盤底筋のトレーニングを行う際に注意点が2つあります。

一つ目は、「股関節の筋と分離した骨盤底筋の収縮を再学習する」ことになります。

基本的に骨盤底筋をはじめとするインナーマッスルの機能低下が起こっているときは、周囲の組織と同調し分離した関節運動などが出来なくなってしまい、挙句の果てにはアウターマッスルに活動を任してインナーマッスルは機能低下を起こします。

そうなっている状況を変えるためには、股関節の動きと分離した骨盤底筋の収縮を再度身体に覚え込ませていかなければなりません。

二つ目は、「より機能的な骨盤底筋の回復を促すために骨盤底筋の遠心性収縮を可能にする」ことになります。

人は歩行などの動作を行うとき、多くの筋は遠心性に働きます。

重要な組織は意外と遠心性の収縮にて貢献しているわけです。

骨盤底筋トレーニングの実際例に関してはこちらの記事に具体的に載せているため、方法を知りたい方はご覧ください。

腰痛を治すには横隔膜と骨盤底筋群の関係性が重要【Zone of Appositionについて】

4.まとめ

今回は、骨盤底筋と尿失禁の関係性とその改善方法について記事にしていきました。

尿失禁一つとってみても、タイプもいくつかあり病態も違います。

冒頭でも書きましたが、

「尿失禁=骨盤底筋のトレーニング」

これは正解ではありますが、もっと詳しく理解したうえでトレーニングを行っていくべきであると思いました。

インナーマッスルのトレーニングなんかは深層の線維であるため意外と感覚的な部分も多くなってきます。

そんな時はプロセスを理解している方が効果は大きくなります。

つまり何が言いたいのかっていうとトレーニング方法だけを理解するのではなくしっかりプロセスも理解しましょうねってことですね。

それでは今回はこの辺で。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました!!