どうも。
KABOSUです。
今回は
内転筋について
記事をまとめていきたいと思います。
内転筋は、腰痛を診るうえで非常に大事なポイントになります。
内転筋が正常に機能していないと、足の安定性が乏しくなります。
実際に、腰痛があって身体をどうにも動かせない状態の方に内転筋のリリースを行うことで痛みが軽減することを経験します。
”内転筋が大事”ということは知っていても、何がどう大事なのかを知らないことは多々あるかと思います。
そこで、今回はなぜ、内転筋が腰痛と関連しているかをまとめていきたいと思います。
1.内転筋とは?
まずは、内転筋とは何なのか?から説明していきましょう。
内転筋は太ももの内側にある筋肉で、その名の通り足を内転させる筋肉です。
内転筋は大小いくつかの筋があり、総称して内転筋群とも呼びます。
内転筋の種類は以下の通りです。
●恥骨筋
●大内転筋
●短内転筋
●長内転筋
●薄筋
内転筋の機能・特徴
内転筋の主な作用は、「股関節の内転運動」となります。
この内転筋ですが、単に足を内側に動かすだけの機能ではなく、歩行や走行中に股関節を安定させるのを補助する働きがあります。
筋連鎖の中の”内転筋”
アナトミートレインでは主に深前線と関連があります。
図:アナトミートレインの深前線
アナトミートレインより引用
後脛骨筋-膝窩筋-内転筋-大腰筋-横隔膜-頸長筋
※多少の不連続性はありますが機能的に繋がりがあります
といった筋膜レベルでの連結があります。
アナトミートレインの深前線について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
2.内転筋と腰痛の関係性
内転筋が固くなって機能しなくなっている場合、以下のような症状がみられます。
◻︎長く立っていると腰が痛くなる、だるくなる
◻︎前屈みで腰痛が強くなる
◻︎腰を反る動きでも腰が痛くなる
特に、長く立っていると腰が痛くなる場合、大抵内転筋が固くなっています。
アナトミートレイン上の”内転筋”
内転筋はアナトミートレインの深前線のラインにあり、体幹の安定性に関わっているために腰痛と関連しています。
アナトミートレインの深前線は身体の深い部分を走行するラインになり、最近の言葉でいう”インナーマッスル”と同じ働きをするラインになります。
このことから、インナーマッスルの働きをする深前線のラインにある内転筋に異常があると、連鎖する他の筋にも抑制がかかってしまいます。
結果的に、体幹の安定性の欠如を招くことになります。
経絡上の”内転筋”
同じように連結の観点からいくと、東洋医学の経絡でも同じようなことが言えます。
経絡の観点から内転筋を診ていくと、多くの経絡と関連があることがわかります。
関連する経絡は、以下の3つです。
●腎経
●肝経
●脾経
走行するラインは微妙に位置が違いますが、内転筋を走行するのは確実です。
この中で、アナトミートレインの深前線と関連性が深いと言われている経絡があります。
それは「腎経」になります。
腎経も経絡の中ではインナーマッスルと同じような役割に当たります。
図:腎経
このように経絡の観点からも内転筋に異常が生じると腰痛を引き起こすリスクが高まることがわかります。
3.内転筋の治療方法
上述した理由から内転筋と腰痛の関係性がわかってきます。
では、ここからはこの内転筋をどのように治療していくかを説明していきます。
①内転筋を手で直接ほぐす方法
方法
仰向けになってもらい、片足を開排させて内転筋を手の平で押していきます。
膝の内側から恥骨にかけて手の平で押していくとボコッとした塊のような部分がいくつかあります(腰痛がある人は高確率で見られます)。
このボコッとした塊を念入りにほぐしていくようにします。
ただし、強い刺激はNGです。
押し方にOn-Offを付けないように、じっくり押してゆっくり緩めていくといった形でほぐしていきます。
図:内転筋の治療方法 手で行うバージョン
治療イメージ
経絡の観点から行くと、内転筋は、腎経・肝経・脾経と関わりがあります。
この3つの経絡はどれも下肢の経絡の中で「陰」になります。(陰と陽)
下肢の場合は、「陰」は上行性になりますので、末梢から中枢に向かって経絡は流れます。
そのため、内転筋をほぐすときも膝部分から恥骨に向かってほぐしていくことが大事になってきます。
そして、腎経を意識して治療する場合は、内側ハムストリングと内転筋の間をほぐしていくイメージで実施します。
②足を使って内転筋をほぐす方法
方法
横向きに寝てもらい、上になった足は前に曲げさせます。
そして、下になった側の内転筋を治療していきます。
下側にある足に対して、自身の土踏まず辺りを内転筋に当て、ほぐしていきます。
図:内転筋の治療方法
治療イメージ
これも上記同様、経絡をイメージして膝内側あたりから恥骨に向かってほぐしていきます。
足の裏でほぐしていくため、手よりも感覚がわかりにくいので少し「固い・柔い」の判断が付きにくいと思います。
しかし足の場合は、”圧が一極に集中しないため不快な痛みを与えにくいこと”や”足という大きい筋肉で押すので実施する側も疲れにくい”という利点があります。
内転筋の治療方法は以上になります。
上記の方法で内転筋をほぐした後に腰回りを動かしてみてもらうとずいぶん動かしやすくなったりすっきりした感じがしてくると思います。
動きに関しても体幹の前屈・後屈の動きの幅が増えてきます。
動きが増えるということは、それだけ体幹の制御が効いているということにもなりますので、体幹機能が改善したと解釈できます。
4.まとめ
今回は、内転筋に限定して腰痛との関連性をまとめていきました。
腰痛の原因は内転筋に限らず様々ではあります。しかし、内転筋が関わっている腰痛というのは非常に多く、腰痛の原因だと思って介入したけど思ったような反応が見られないときに内転筋を治療すると大きく変化が見られたりとか、そんなこともあります。
上記でも説明しましたが、経絡の観点からは腎・肝・脾など重要な経絡が通っていたりしますのでそういった点からも内転筋への介入は重要になってくるということですね。
それでは、本日はこの辺で。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました!!
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