「普段から常にテンションが高い人」、「寒い日でも汗をかいている人」
などたまに遭遇するかと思います。
こんな人は、一般的には「交感神経がHighになっている状態」とも言えます。
この状態が行き過ぎれば、
「自律神経に異常をきたしている」
とも言えます。
テンションが高くても、静かにしないといけないところでは落ち着けるならよし。
汗かきも運動や緊張に影響するならまだよし。
それ以外での異常は自律神経系に問題があることを示しています。(病的な問題を除いて)
このような状態を東洋医学の経絡理論では、
「心経・小腸経に異常をきたしている」
と判断されます。
※「肝経・胆経」も自律神経系との関わりと言われています
1.心経・小腸経について
まずは心経と小腸経について少し知識を整理していきましょう。
①心経と小腸経の関係性は?
心経と小腸経は「母子関係」にあります。
②心経・小腸経の経絡の走行は?
図:心経と小腸経
この心経と小腸経のラインは、
下半身ではなく、上半身を通ります(上肢を通る経絡)。
具体的には、
「手の小指~上肢の内側面・後面~肩甲帯周囲」
といった形で経絡の流れがあります。
前回の記事で紹介した「肺経・大腸経」の走行と対になる形で走行しますね。
③五行論からみた心経・小腸経
そして「火(心・小腸経)」は逆に、
「金(肺・大腸経)」のエネルギーを抜く機能もあります。
(火は金を溶かす作用があるのと同じで、心は肺のエネルギーを抜いてしまう)
※これは相剋関係のことを言います。
相性・相剋関係について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
④心経・小腸経の機能と異常により起こり得る問題
心経と小腸経の機能として、
非常に簡単に一言でいうと
「交感神経系の働きをしている」や「意識のコントロールを行っている」
と言えます。
五行論での「心」は拍動の調節機能や血液循環の機能を果たしていることから、
はつらつと日々過ごすためには、五行論の臓腑と関連のある経絡(心経・小腸経)が正常でなくてはならないとも取れます。
また、五行論の「心」は”意識のコントロール”にも関わっています。
睡眠や覚醒の状態のコントロールや、高次脳機能にも関わっているとされています。
睡眠や覚醒に異常をきたせば、当然自律神経系にも異常をきたします。
※自律神経系に異常をきたすことで睡眠や覚醒に異常をきたすこともあります。
(卵が先か?ニワトリが先か?的な話)
つまり話をまとめると、
当たり前のように日常生活(ルーティン)を送るためには、この心経・小腸経がしっかり機能しておく必要があります。
この心経・小腸経の経絡に異常をきたすと、
「落ち着きが無くなる・パニック障害」などのエネルギー過多の状態
「無気力・精神不安定」などのエネルギー過少の状態
の2パターンに陥ります。
⑤心経・小腸経の異常による起こる身体的異常
身体的異常としては、
「胸を突き出した姿勢になりやすくなる」・「反り腰になりやすい」
といった問題が生じます。
この場合、
「母性が強くなる」とか、「感情のコントロールが効きにくくなる」
などの問題も生じやすくなります。
※五行論では「心」に関連する感情は「喜びや笑い」である
東洋医学的な観点から、心経・小腸経の異常により生じる症状について詳しく知りたい方はこちらの記事をまずはご覧ください。
⑥心経・小腸経と反り腰の関係性
図:心経・小腸経
心経・小腸経の経絡の走行は先程も説明した通りです。
【心経・小腸経の経絡の走行】
「手の小指~上肢の内側面・後面~肩甲帯周囲」
この経絡に異常をきたすと、伸展性を失い短縮します。
そうなると、姿勢はどうなるでしょうか?
「ぐっと胸を張りだしたような姿勢」をとるようになってきます。
これを身体全体で診ていくと、「反り腰」のような姿勢を取ることがわかると思います。
イメージしやすい所でいくと、
オードリーの春日さんなども同様の姿勢を取っているように思います。
確かに、オードリーの春日さんもテンション高いですよね・・・笑
※心経・小腸経に関連する感情は「喜び・笑い」
ただ、反り腰であれば問題はありませんが、
心経・小腸経の異常で胸椎に可動域制限を作ってしまうと、代償として腰椎の不安定性をきたし、腰痛の発生を誘発してしまいます。
と、このような形で、心経・小腸経の経絡の異常は身体の異常に繋がってくることがわかります。
2.心経・小腸経に対する経絡アプローチ
ここまでで、心経・小腸経の概要は理解できたと思います。
ここからは、実際の経絡アプローチについて紹介していきます。
経絡アプローチの説明に当たって、経絡上にある筋肉をイメージすることが重要になります。
筋肉も筋膜などを通して連鎖があり、経絡の走行と似ている部分があります。
心経と小腸経に関しては、以下のような連鎖があります。
図:心経と小腸経に関連した筋連鎖(アナトミートレインより引用)
アナトミー・トレイン 徒手運動療法のための筋筋膜経線より画像加工し引用
上記のラインを意識してストレッチやトレーニングを行うと、より効果的になります。
では、以下に方法を紹介していきます。
①心経・小腸経の井穴を刺激する方法
まずはいつでもどこでも出来る経絡のセルフコンディショニングです。
経絡とは身体のエネルギーの通り道とされており、必ず「入口・出口」が存在します。
この経絡の入口・出口のことを「井穴」と呼びます。
心経・小腸経の「井穴」は、
「手の小指」になります!
図:心経・小腸経の井穴
心経の井穴→小指の内側
小腸経の井穴→小指の外側
この井穴を刺激していくことで、経絡全体の刺激に繋がってくるといわれています。
側溝の出口にゴミが溜まっていたら水の流れはどうなりますか?
当然、「流れが止まる」・「少しづつ水は流れるけどゴミは溜まる一方」
このようなことが経絡上にも起こり得ます。
つまり、井穴(出入り口)を刺激することは、「側溝のゴミ掃除」と同じ効果が得られるということです。
【方法】
・小指の両サイドの爪のキワをつまんで、軽くグリグリほぐしていく
※これだけです
【注意点】
●イタ気持ちいいレベルでほぐしていく
②心経・小腸経のセルフストレッチ
まずは、心経・小腸経のセルフストレッチからです。
両経絡の走行は、
「手の小指~上肢の内側面・後面~肩甲帯周囲」
でしたね。
つまり、上記経絡をストレッチするには、
「肩甲帯から小指を引き離していけばいい」
わけです。
具体的な方法は以下の通りです。
【方法】
・四つ這いになる
・ストレッチする方の腕を頭側に伸ばしていく
※この時、掌を天井に向けておく
・腕をより伸ばすために上半身を伸ばした腕と反対方向に回旋させていく
・その状態で、伸ばした側の脇が床につくように、より腕を伸ばしていく
※そうすることでよりストレッチされるようになる
・脇の部分の伸長感を感じる所で、10秒~20秒間止めてリラックスする
・いったん元に戻り、再度ストレッチする(これを数回繰り返す)
【注意点】
●肩が痛む場合は、無理に伸ばすと悪化する可能性あり
※痛い場合は中止し、まずは井穴の刺激から実施(小指内側→心経、小指外側→小腸経)
●呼吸は止めない
※ゆっくり息を吐きながら腕を遠くに伸ばしていくことが大事
●肩甲骨外側(脇の周り)の伸長感を感じながら行う
※上腕三頭筋や広背筋、僧帽筋中部繊維、下部線維の伸長感を感じる
③小腸経のストレッチ
続きまして、小腸経のストレッチです。
先程のストレッチとやり方はほとんど同じですが、腕を伸ばす方向が違いますね。
【方法】
・四つ這いになる
・ストレッチする側の腕を内側に伸ばしていく
※身体の腹側を通って反対側に伸ばしていく
・上半身を捻じって、さらに腕を遠くに伸ばしていく
・肩甲骨の周囲の伸長感を感じる所で、10秒~20秒間止めてリラックスする
・いったん元に戻り、再度ストレッチする(これを数回繰り返す)
【注意点】
●上半身の捻じりが大事
※捻じることでより伸長感を引き出せる
●息を止めない
ゆっくり息を吐きながら腕を伸ばしていく
④心経・小腸経のトレーニング
最後は、トレーニングについてです。
経絡アプローチは一般的に「伸長させていく」ことが目的になります。
しかし、それでも効果を得られないこともあります。
「無理に伸ばしても伸びない場合は、逆に縮めてしまおう」
という概念からトレーニングを提案します。
この原理に関しては、
筋のストレッチに置き換えると、「ホールドリラックス」という手法に似ています。
※筋肉に緊張(収縮)を与え、収縮後の弛緩を利用して筋を緩めていくという手法
経絡もただただ伸長させるだけで変化がない場合は、トレーニングを行ってみることも一つの方法となります。
【方法】
・うつ伏せになる(頸部は回旋させないようにおでこを床につけるように)
・両手を広げる(この時、頭部は捻じらないように)
・広げた腕を挙上させる
・上げ下げの運動を連続10回実施する
【注意点】
●トレーニング中は横を向かないように
※頸部の回旋が入ると、肩甲骨の適切な運動が得られなくなり効果半減となる
●息を止めない
どの運動でも同じで呼吸を止めないように注意
●腕を上げ下げする角度が毎回なるべくブレないように注意
手を真横に広げた位置でのトレーニングが最適
3.まとめ
今回は、心経・小腸経の経絡アプローチについてまとめていきました。
心経・小腸経の異常で反り腰になりやすくなります。
また、精神的な不安定をきたしやすく日常生活に支障をきたすようになってしまいます。
そんな、心や小腸の異常を改善もしくは軽快させるために、経絡アプローチを実践していきます。
今回はそんな心経・小腸経の経絡アプローチについてご紹介していきました。
それでは本日はこの辺で。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
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