股関節の後ろが痛む原因とその特徴について~トリガーポイントの影響を考える~

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股関節は身体の中心部に位置し、大きな可動性を有する関節です。

故に、日常生活での股関節の使用頻度は非常に多くなります。

このように股関節に痛みが生じると、動くのが億劫になります。

股関節の痛みに関しては、「関節性の問題」が一番に連想されるかと思います。

「関節に異常が起こって不快な痛みが生じる」

といった状態ですね。

確かに、関節に異常が生じる”変形性股関節症”による痛みも多いのが現状です。

しかし、すべてが関節による問題ではないこともあります。

もっと掘り返せば、そもそも関節の問題が生じる前に必ず筋機能の異常が生じているはずです。

※先天性の問題を除いてです。(先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全の場合は関節の問題が先行しています)

股関節周囲の筋のアンバランスが生じて、結果的に股関節そのものに負担がかかるといった流れですね。

①股関節周囲の筋バランス異常

↓↓

②股関節のアライメント異常(インピンジメントや可動域制限など)

↓↓

③股関節の変形

↓↓

④変形性股関節症

このように、関節の問題を考える前に、一度「筋の問題」も考えていく必要があります。

筋のアンバランスが残ったままだと、手術をしても運動パターンや動作パターンが変わらないため意外と痛みや動きにくさが残存します。

なので股関節の痛みがある場合は、早いうちから筋に対して対策を行い「関節に負担がかからないようにしてあげる」必要があります。

そこで今回は、股関節に痛みをだしてしまうトリガーポイントをご紹介していきます。

まずはトリガーポイントについて知りたい方はまずはこちらをご覧ください。

皆さんは”トリガーポイント”という言葉を聞いたことがあるでしょうか?トリガーポイントは身体の筋肉のどこにでもできるものであり、トリガーポイントが形成されると慢性的な痛みや放散痛を引き起こします。慢性的な肩こりや腰痛もトリガーポイントが原因であることが多いとされています。今回は、このトリガーポイントの概要を説明していきたいと思います。

1.股関節の後面に痛みを送る筋の一覧

特定の筋にトリガーポイントが形成されると、意外と離れた場所まで痛みを引き起こし、関節症や関節炎などと誤診されてしまいます。

股関節の痛みに関しては割と股関節周囲の筋のトリガーポイントが原因となっているようです。

以下にトリガーポイントと症状をご紹介していきます。

①外側広筋

図:外側広筋

外側広筋は大腿前面に位置し、大腿四頭筋の一部であり、四頭筋の中で最大の大きさになります。

外側広筋は大腿外側全体を覆っており、共同腱により膝蓋骨と脛骨に付着します。

大腿の前後の一部を覆うために、大腿骨に巻き付く形となっています。

外側広筋と股関節の痛みの関係性

外側広筋のトリガーポイントは、股関節と大腿外側に痛みを送り、膝痛に共通する原因となる

誰でもできるトリガーポイントの探し方・治し方より引用

このように外側広筋は、股関節の痛み以外にも膝痛にも影響しているわけですね。

そして、外側広筋の後縁周辺のトリガーポイントが股関節の後部に痛みを引き起こす原因となっています。

場所はこの辺です。

誰でもできるトリガーポイントの探し方・治し方より引用

外側広筋にトリガーポイントが形成され股関節に痛みを送ると、歩行は非常に苦痛になり、患側を下にして横になると不快を感じるようになります。

また、外側広筋のトリガーポイントにより膝蓋骨を外側に牽引するようになり、膝のスムーズな屈伸を阻害し、歩行時の膝のロッキングを誘発します。

≪外側広筋のトリガーポイントが股関節に痛みを送っているかの判断ポイント≫

●歩行時の股関節痛

●患側を下にした側臥位をとったとき(外側広筋を圧迫)に股関節に不快を感じる場合

②小殿筋

図:小殿筋

小殿筋は、寛骨の翼部分の下半分と大転子の頂部へ付着します。

中殿筋と同様に、歩行中は骨盤を支える作用があります。

小殿筋は殿筋の中で最小で、合わせると6倍もある大殿筋と中殿筋の下に埋もれる形で存在しています。

小殿筋のトリガーポイントは股関節の痛み以外にも多くの症状を引き起こします。

小殿筋と股関節の痛みの関連性

小殿筋のトリガーポイントは腰部から殿部、股関節や大腿の後部など広範囲に痛みを引き起こす。

これらをまとめて坐骨神経痛とまとめて判断されている。

この坐骨神経痛が椎間板ヘルニアや脊椎の関節炎、股関節の滑液包炎、仙腸関節機能不全と誤診される。

誰でもできるトリガーポイントの探し方・治し方より引用

このように小殿筋のトリガーポイントは股関節に限局していないものの、股関節の後面にも痛みを送ります。

場所はこの辺です。

誰でもできるトリガーポイントの探し方・治し方より引用

小殿筋にトリガーポイント形成された場合、多くは下肢痛を伴います。

そして痛みは非常に激しく、持続します。

当然歩行にも影響し、患側下肢を引きずるような歩き方になってしまいます。

また足を組む動作に苦痛を感じたり、患側を下にして寝ると痛みで目が覚めてしまうなどの問題が生じます。

≪小殿筋のトリガーポイントが股関節に痛みを送っているかの判断ポイント≫

●足が組めなくなる

●股関節以外にも下肢痛などが生じる

③梨状筋

図:梨状筋

梨状筋は6つの股関節外旋筋の中で最大かつ差重要な筋で、仙骨と大転子の間に位置しています。

仙骨の外側縁に付着し、大転子の頂部に付着します。

片脚立位をしている場合、梨状筋は逆方向に身体を回します。回旋運動を過度に行うと、梨状筋にトリガーポイントを生じやすくなります。

トリガーポイントにより梨状筋の緊張が高まることで近くを通る坐骨神経に異常をきたすこともあります。

これを梨状筋症候群といいます。

梨状筋症候群についての記事はこちらから。

腰痛の場合、下肢に痺れを引き起こすことがあります。この場合、坐骨神経の問題が関わっているわけですが、その坐骨神経に影響を与えるのが梨状筋になります。梨状筋が問題で生じる坐骨神経領域の症状を梨状筋症候群と呼びます。今回はこの梨状筋症候群の発症メカニズムや治療法について説明していきます。

梨状筋と股関節の痛みの関連性

梨状筋のトリガーポイントは女性に多く発生する。(男性の6倍)

この梨状筋の関連痛は、仙骨・殿部・および股関節で感じる

誰でもできるトリガーポイントの探し方・治し方より引用

このように梨状筋のトリガーポイントは股関節の後部に痛みを送ります。

梨状筋のトリガーポイントは黒い点になります。

誰でもできるトリガーポイントの探し方・治し方より引用

トリガーポイントが原因で短縮した梨状筋により、足を組むことが困難になります。

また、足を広げることも苦痛になり(外転制限)、痛みにより歩行障害(足を引きずる)をきたすこともあります。

さらに座ることも困難になり、体重移動を頻繁に行うようになり落ち着きがなく見えてしまいます。

≪梨状筋のトリガーポイントが股関節に痛みを送っているかの判断ポイント≫

●足が組めなくなる

●股関節の外転制限(開脚などが困難になる)

●歩行障害が生じる

●安心して座れなくなる

④腰方形筋

図:腰方形筋

腰方形筋は四角形の筋であり、両側の下部肋骨と腸骨稜に付着し、位置関係的には腰椎の側面に存在します。

腰方形筋は上体全体を支えるためテコの作用があり、咳やくしゃみなど強制呼気を補助する湧く割があります。

腰方形筋と股関節の痛みの関連性

腰方形筋のトリガーポイントによる痛みは、股関節・殿部・仙腸関節の周囲で起きることがある。

腰方形筋のトリガーポイントからの痛みは、一般的に脊椎の関節炎・椎間板の症状・股関節の滑液包炎と誤解される。

誰でもできるトリガーポイントの探し方・治し方より引用

腰方形筋のトリガーポイントは股関節後部に痛みを送ります。

腰方形筋のトリガーポイントは黒い点になります。

誰でもできるトリガーポイントの探し方・治し方より引用

また時折、鼠径部と大腿前面の下方にも痛みを送ることがあるようです。

腰方形筋のトリガーポイントが形成されると、患側に寝返りを行なったり、横になることが困難になります。

≪腰方形筋のトリガーポイントが股関節に痛みを送っているかの判断ポイント≫

●寝返りが出来なくなる

●横になって寝れなくなる

●股関節の後部だけでなく、大腿前面や鼠径部にも痛みが出ることがある

⑤大腿筋膜張筋

図:大腿筋膜張筋

大腿筋膜張筋は、大腿の外側を覆っている幅広の筋膜を緊張させています。

大腿筋膜とその厚い腱の中心は腸脛靭帯であり、大腿筋膜張筋と大殿筋からの力を伝達します。

大腿筋膜張の役割は、膝と股関節の屈曲の補助であり、大腿を前方または側方に上げ、足の内旋にも関与します。

また、大腿筋膜張筋は歩行中や走行中に骨盤と膝が安定するように働く作用もあります。

大腿筋膜張筋に関連する記事はこちら。

今回、体幹伸展時に腰痛をきたしている症例に対しアプローチを行いました。 症例は体幹伸展時に腰部に詰まる感じがあると訴え、それ以上は身体を反れない状態でした。 そんな症例に対し身体的評価を行い、問題のある筋へアプローチを行った所、痛み・可動域共に改善が見られたのでそれを紹介します。

大腿筋膜張筋と股関節の痛みの関連性

大腿筋膜張筋のトリガーポイントは、大転子の前面の股関節部に痛みを起こす。また、股関節の後部、坐骨の外側部と大転子の間に深部痛を生じることがある。

大腿筋膜張筋のトリガーポイントの痛みは、股関節の滑液包炎に間違われたり、股関節軟骨の摩耗が原因と診断されることもある。

誰でもできるトリガーポイントの探し方・治し方より引用

このように大腿筋膜張筋にトリガーポイントが形成されると、股関節の後部に痛みを送ります。

大腿筋膜張筋のトリガーポイントは黒い点です。

誰でもできるトリガーポイントの探し方・治し方より引用

大腿筋膜張筋のトリガーポイントにより筋が短縮すると、股関節の伸展が制限されてしまい、結果的にゆっくりしか歩けなくなったり、股関節と膝が上手く伸びなくなってしまいます(立った時に足が屈曲した状態になる)。

また、患側下肢を下にして横になることが困難になります。

≪大腿筋膜張筋のトリガーポイントが股関節に痛みを送っているかの判断ポイント≫

●膝が曲がったままで歩く

●歩幅が狭くなる(股関節を伸展できなくなるため)

●股関節の後面に痛みが出る

⑥大殿筋

図:大殿筋

大殿筋は、9つの殿筋の中で最も大きい。

大殿筋のトリガーポイントは腰部および殿部全体に痛みを引き起こします。

大殿筋と股関節の痛みの関連性

大殿筋のトリガーポイントは、腰部・殿部外側・尾骨・殿溝又は仙腸関節に痛みを感じる。

大殿筋のトリガーポイントにより生じる痛みは、しばしば股関節の滑液包炎、椎間板の圧迫・神経痛・関節炎・坐骨神経痛・仙腸関節の損傷などと間違われることがある。

誰でもできるトリガーポイントの探し方・治し方より引用

大殿筋のトリガーポイントは殿部や股関節の後面に痛みを引き起こし、股関節でいえば滑液包炎などと誤診されてしまうこともあるようです。

大殿筋のトリガーポイントが形成されると、殿部の全般的な疼きが生じ、座位の間は常に位置を変える必要が出てきます。

また椅子からの立ち上がりが困難になったり歩く際に引きずるようになり日常生活に支障をきたすようになります。

≪大殿筋のトリガーポイントが股関節に痛みを送っているかの判断ポイント≫

●楽に座っていられなくなる

●椅子からの立ち上がりが困難になる

2.まとめ

今回は、股関節痛について記事をまとめていきました。

股関節の痛みの原因は様々ですが、トリガーポイントからの痛みは意外と多く見受けられるように思います。

冒頭でも述べましたが、股関節の痛みは関節の問題が生じる前に筋のアンバランスが生じていることが多いものです。

その筋のアンバランスを解消することが出来れば、関節への負担も軽減されるわけです。

まずは股関節の痛みを解消させる場合は、まずは股関節周囲にある筋バランスを整えることから取り組んでいくことが効果的であると思われます。

今回の記事の参考書籍はこちらです。

それでは本日はこの辺で。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。