どうも。
KABOSUです。
今回のテーマは
「症例検討」
です。
今回、腰痛を訴える症例に対し、ランジ動作にて大腰筋のストレッチを指導したところ変化が見られました。
そして、継続的にストレッチを続けた結果、現在腰痛の訴えは聞かれなくなっています。
今回は、その腰痛はなぜストレッチで軽減したのかについて考えていきたいと思います。
図:大腰筋
3D解剖学より引用
1.症例紹介
□20歳代男性
□スポーツ歴あり(サッカー)
□筋肉質(昔鍛えていた)
□現在もスポーツはしている(スポーツ後、腰痛増強あり)
□仕事は立ち仕事
2.腰痛の評価≪身体機能の評価(腰部)≫
※今回のストレッチに関わる内容のみ、記載します。
機能的な評価
□腰を反ると、反り初めに詰まるような症状があり
□痛みの質としては鋭痛(詰まる時に何かが挟まって痛い感じがする)
□腹壁の緊張が強い(腹筋の鍛えすぎとのこと)
姿勢評価
□骨盤はやや後傾位(ASISとPSISがフラット)で猫背傾向
□脊柱のS字カーブ見られず、姿勢はフラットバック傾向
動的評価
□後屈動作時に、骨盤の前方移動がほぼ見られない
□胸椎の可動性も乏しい
3.腰痛に対する治療アプローチ
問題点は股関節の可動性にあると判断し、
体幹の伸展動作に直接的に影響する大腿前面の伸張性の改善を目的に介入しました。
ストレッチは、ランジ動作にて股関節の伸展を出し、股関節の前面及び大腿の前面のストレッチを実施していきました。
ランジ動作
ランジ動作では、主に股・膝関節周囲筋に負荷をかけるトレーニングとして用いられるものです。
具体的には、大腿四頭筋・ハムストリングス・大殿筋などのエクササイズ効果があると言われています。
※今回はこのランジ動作で筋トレを目的にせず、ストレッチを目的に実施しています。
方法
上記の写真のように、
前後にスタンスをとり、身体を落とし込んでいきます。
ストレッチが目的であるため前後のスタンスをなるべく広く取ります。
そして安定した状態で上半身を真下に落とし込んでいくように重心を下げ、股関節の前面をストレッチしていきます。
ポイントは、
”股関節の伸展”と”体幹の伸展(腰椎の前弯)”です。
この2点を意識することで、
大腰筋のストレッチが可能になります。
※大腿四頭筋のストレッチも同時に可能です。
頻度
このランジ動作(前後にスタンスを取り上半身を落とし込んだ状態)を10秒間~30秒間程度キープします。
※ランジトレーニングでは回数をこなしていく形になると思いますが、今回はランジ動作をストレッチとして利用しているため、あくまで持続的伸長を行います。
注意点
□無理に足を開きすぎない
□代償動作に気を付ける
□勢いをつけてストレッチしない、腹式呼吸を意識する
上記の3点に注意します。
特に代償動作に関しては、注意が必要です。
代償が入れば伸ばしたいところが伸びず、ただ痛いだけとなってしまいます。
具体的に注意する点(代償動作)としては、以下の3つになります。
①上半身をしっかり起こす(上半身を前に倒さない)
※大腰筋は腰椎に付着しているため上半身を起こさないとストレッチが行えない
②前に出した足は股関節外旋させる(Knee-in(前足の方)に注意する)
※むしろ前足の方は股関節も外旋して股関節のつまりを取ってあげたほうが、しっかり上半身が真下に落ち込む。
③後ろになった側はしっかり母指側で荷重する(小指側で荷重しない)
※後ろ足が小指側で荷重(外旋)すると股関節も外旋し腰椎の回旋で代償してしまう。つまり腰が引けたような状態になるということ。そうなると股関節前面にかかるストレスが軽減してしまいストレッチ効果が低下する。
4.なぜランジ動作を行うことで腰の痛みが軽減したのか?
今回は、ランジ動作により股関節の前面を伸ばしていくことで症状の改善が図れました。
ここでは、なぜランジ動作を選択したのか?をまとめていきます。
と、その前に、
なんで股関節の問題であるかを判断した理由をまとめていきます。
症例の腰痛は、
腰を反る時の痛み(伸展型の腰痛)でしたよね?
そのため、まず身体の前面の組織が短縮しているのでは?と考えました。
そこで、実際に体幹の伸展動作を行ってもらった際に、
股関節の前方移動がほぼ見られなかったことから、
股関節周囲に問題があると判断しました。
なので治療は、
「股関節の前方移動が出るためにはどうしたらいいか?」
という視点で考えていきました。
話を戻します。
ランジ動作を選択した理由は2つあります。
①大腰筋へのアプローチを行いたかった
今回の問題として、”大腰筋の機能低下”が原因であると考えました。
以下に詳細を書きます。
大腰筋というインナーマッスルが機能低下を起こし体幹の安定化に寄与していないために、
腹直筋や大腿直筋などのアウターマッスルの機能亢進が生じ、結果、体幹伸展時の”腰椎の前弯増強”及び、”股関節の前方移動量の低下”という問題を引き起こし、腰痛に至っていると考えました。
そのため、ランジ動作にて大腰筋のストレッチを実施していきました。
またランジ動作そのものはCKC(Close Kinetic Chain)といって荷重下での運動になります。
CKCではOKCと違い、姿勢のコントロールも行わないといけません。
そのため、どれだけ代償を出さないようにするかがポイントにはなりますが、
インナーマッスルの強化も同時に行えるわけです。
②自主トレも可能なものにしたかった
効果を持続的なものにしたかったため、
自身でも簡単に継続できる内容で効果的に大腰筋に刺激が入るものを、、、と考えた時にランジ動作が候補に挙がりました。
ランジ動作なら代償動作が出ないよう指導し、方法さえしっかり指導できれば
比較的どこでも可能な運動になるためこの運動を選択しました。
そして、皆さんも実際にランジ動作をやってみてもらうと分かると思いますが、
意外と股関節の硬さを実感するのではないでしょうか?
まず前後に開かない・・・なんて人もいるのでは?
開いても上体を落とし込んでいくときに身体がブレて全く安定しない
なんて状態の方は大腰筋の働きは落ちていると思われます。
今回の例も同じで、かなり柔軟性に乏しい股関節を実感してもらいました。
その事実を知ったら少なからず改善したくなりますよね。
実際にこのランジ動作にてストレッチを行った後は体幹伸展の痛みが軽減したので、さらにやる気は出てきますよね。
このように、ランジ動作は
□自主トレーニングに取り入れやすい運動であった
□どこでも可能な運動であった
□効果の良し悪しがわかりやすい
□自分自身で硬さを実感できる(良くなってきているかどうか)
などの利点があったためランジ動作を選択しました。
以上の2点がランジ動作を選択した理由です。
話は少しズレますが、
ランジ以外でも効果があると思われたアプローチとしては、
四股踏み
が挙げられます。
今回は詳細は割愛しますが、
とにかく股関節周りの硬さが取れれば今回の症例の場合は効果が得られたのだと思います。
5.まとめ
今回は、症例検討ということで、実際の臨床について書いていきました。
今回の症例は、体幹の伸展動作(腰を反る動作)を行う際に痛みが出現するという問題を抱えていました。
評価により、
体幹伸展動作時に股関節の前方移動がほとんど見られない
という問題点が挙がりました。
その問題に対して、股関節の前方移動を阻害している因子として
”大腰筋”に治療ポイントを絞りアプローチしていきました。
そのアプローチの一つに”ランジ動作”を選択しました。
ランジ動作は動作指導を行い、自主トレーニングにも取り入れていき継続的に実施してもらいました。
以上の評価からアプローチにより腰痛の軽減が図れ、同時に体幹の伸展可動域の改善も同時に図れました。
このように、今回は問題点の抽象化がしっかり出来たため、
変化をしっかり感じ取ることが出来ました。
症例自身もそれがわかったから自主トレーニングも断念せずに継続できたものと思われます。
自主トレーニングについては、
いかに”簡単”で”無理なく可能である”、そして”しっかり変化を実感できる”などの点が
継続的に実施するためのポイントではないかと思います。
それでは、本日はこの辺で!
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント