パトリックテストについて~股関節性・仙腸関節性の問題を判別する方法も含めて~

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理学療法
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どうも。

前回記事にFABERテストについて少し触れていきました。

鼠径部痛は5つの関連部位に分類されている~鼠径部痛を理解するために有効な知識~
鼠径部痛に関して、リハビリを行っていると割と多く訴えが挙がります。リハビリの世界ではスポーツ場面でこの鼠径部痛の悩みが多く挙がっていますね。高齢者を対象とした入院リハビリでも、例えばTHA術後なんかは思っているよりも鼠径部痛を訴える例は多く、スポーツ現場に携わるセラピスト以外でも鼠径部痛への理解はある程度必要なのだと感じます。今回は、そういった鼠径部痛を5つの原因に分類したドーハ分類について記事にして理解を深めていきたいと思います。

 

今回はこのFABERテストについて少し掘り下げて勉強していきたいと思います。

 

FABERテストは別名、パトリックテスト(Patrick’s test)と呼ばれており、股関節疾患の評価および仙腸関節疾患の評価法として知られています。

今回はこのFABERテストの評価方法から解釈方法についてまとめていきます。

 

 

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1.FABERテスト(パトリックテスト)とは?

FABER(Patrick’s test)は、Flexion(屈曲)・abduction(外転)・external rotation(外旋)の略となります。

 

つまりFABERテストは屈曲、外転、外旋の複合運動を行い疼痛の誘発を行っていくテストになります。

 

※これらの3つの動きを組み合わせると、股関節や仙腸関節の病変の診断を支援するための臨床的疼痛誘発テストが行​​われる

図:FABERテスト(パトリックテスト)の方法について

 

2.FABERテスト (パトリックテスト)を行う意味は?

前述しましたが、FABERテスト(パトリックテスト)は、股関節または仙腸関節の痛みを再現することにより、股関節や仙腸関節の問題を特定するために使用されます。

このテストは、股関節、仙腸関節機能障害、腸腰筋のけいれんなどの筋骨格系の病状に対する受動的なスクリーニングツールとなります。

このテストでは、関節を介して力が伝達されるため、股関節も評価されます。

股関節の屈曲、外転、および外旋の位置は、大腿寛骨臼関節にストレスを与え、股関節前面に痛みを引き起こします。

また、開排系の運動(股関節屈曲・外転・外旋)を行うことで仙腸関節にも影響します。

具体的に説明すると、開排運動により、仙腸関節の前方部分は離開し、後方部分は圧迫されます。

もし仙腸関節に問題がある場合(変位や不安定性など)は、FABERテストで仙腸関節部に痛みを引き起こすことになります。

図:FABERテスト(パトリックテスト)の解釈について

このようにFABERテスト(パトリックテスト)は股関節病変および仙腸関節の問題を評価するために重要な手段の一つになってくる訳ですね。

 

3.FABERテスト(パトリックテスト)の評価方法

【概要】

●検査肢位は背臥位

※患者は仰向けになる

●片脚を4の字にしていく

※膝の近位の反対側の大腿部に外側の足首が載った状態で股関節を曲げて外転させる

●検査側と反対側の上前腸骨棘を抑え骨盤の反対側を安定させながら、検査側の股関節を屈曲・外転・外旋させた状態で同側の膝に軽く加えて、症状の出現を評価する

※症状の出現がなければ、股関節屈曲・外転・外旋の最終域で軽い振幅をいれて、運動の最終域での痛みの誘発をチェックする

図:FABERテスト(パトリックテスト)の方法について

 

【検査肢位】

患者は”背臥位(仰向け)”となる

検査者は、検査する側の側面に位置する

 

【評価方法】

①検査側の股関節を屈曲させ、踵を対側の膝に乗せる

②検査側とは反対側の上前腸骨棘(ASIS)を押さえながら骨盤を固定し、股関節外転・外旋位にする

③その状態で、股関節屈曲・外転・外旋した側の膝を床に向かって押し込んでいく

④膝を押すことによってエンドフィールや鼠径部や仙腸関節部に疼痛が出るか評価する

 

【判断基準】

鼠径部(股関節部)に痛みがある場合や仙腸関節に痛みがある場合は陽性となる

●鼠径部の痛みでは、股関節のへ変形性疾患や炎症の可能性が考えられる

●仙腸関節の痛みは、仙腸関節の機能障害や炎症反応の可能性がある

図:FABERテスト(パトリックテスト)の解釈について

 

【評価ポイント(評価に一工夫入れることで問題点を限局する方法)】

●通常通り、反対側のASISを固定して極端な代償が生じないように評価を行う

⇒股関節・仙腸関節いずれかの問題が考えられる

●評価する側の骨盤をしっかり固定するパターン(仙腸関節を圧迫するイメージで)

⇒股関節の問題が考えられる(仙腸関節部には徒手にてストレスがいかないように調整を行っているため)

 

この2パターンを分けて行うことで、仙腸関節の問題を特定することが出来ます。

※これ以外にも疼痛部位(股関節前面が痛いのか?・仙腸関節部が痛いのか?)で判断することで股関節性か仙腸関節性かを判断することも出来ます。

図:FABERテスト(パトリックテスト)で股関節性なのか、仙腸関節性なのかを判別する方法

 

 

4.FABERテスト(パトリックテスト)陽性の場合に考えられる病態

以下のFABERテスト(パトリックテスト)陽性の所見は、臨床診断の指針となる可能性があります。

●仙腸関節機能障害

●腸腰筋の緊張または 腸腰筋の嚢炎

●股関節前方インピンジメント(大腿寛骨臼インピンジメント(FAI))

●股関節唇の裂傷

●変形性股関節症

●股関節後部のインピンジメント

 

5.FABERテスト(パトリックテスト)の信憑性について

FABERテストの有効性信頼性は賛否あり、一定の見解が得られていないようです。

”物は使いよう”であり、FABERテストだけで問題を断定することなく、あくまで評価の一つとして利用するには重要な評価法として言えるのではないでしょうか。

 

6.まとめ

今回はパトリックテストについて記事にしていきました。

前回記事にて鼠径部痛の原因の特定の中でパトリックテストの評価の必要性について問われていました。

今回はそのパトリックテストの概要についてまとめており、鼠径部痛以外にも仙腸関節性の疼痛にも関与しており、その判別方法も含め紹介していきました。

 

単に教科書的に言われている結果を元に評価を行っても、本当の問題にたどり着かないことも多々あります。

評価一つに一工夫加えることで、より問題点の限局が出来ることが今回の記事を作る中でわかりました。

世間一般的に言われている評価=全てが正しい

というわけではなく、もう少し掘り下げて評価できるようになると臨床の結果が出やすくなってくると思われます!

改めて一つ一つの評価を掘り下げて理解していきたいと思った次第です。

 

それでは本日はこの辺で。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。

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