前回の記事で内転筋のトリガーポイントと変形性股関節症の関連性について記事にしていきました。
その記事はこちら。
内転筋と変形性股関節症の関係性~トリガーポイントから紐とく~
その記事では内転筋のトリガーポイントの異常について述べています。
トリガーポイントが形成されると放散痛以外にも筋機能異常も引き起こします。
筋機能が異常になると筋出力も低下します。
それが長期間続けば当然のことながら筋力も低下していきます。
今回はそんな内転筋の筋力・筋出力が低下している場合に、純粋に”内転筋を鍛える方法”を提示していきたいと思います。
内転筋を鍛えることは大事なのはなんとなくわかっていても、じゃあどうやったらいいのかわからないという方に必見のトレーニング方法を記事にしていきたいと思います。
1.ワイドスクワット
ワイドスクワットは内転筋を鍛える方法として世間では浸透してきています。
足を閉じる内転の作用を持つ内転筋に対し、逆に開排した状態でスクワットを行うわけなので内転筋への負荷が高まるということで推奨されています。
図:ワイドスクワットの流れ
ワイドスクワットは内転筋の鍛える以外にも、仙腸関節の安定化にも寄与してきます。
というのも、しっかり股関節を使って骨盤を起こした状態でワイドスクワットを行うと両側の腸骨は閉鎖する方向に動き、仙骨は前方に押し出される形になります。
結果、仙腸関節は締まり位置になり安定化が得られるようになります。
しかし、この時に腰が曲がり、腰椎が後弯する場合は仙骨が腰椎の動きに追従し、逆に仙骨の起き上がりが生じてしまい、結果、仙腸関節のアンロック(不安定性)を引き起こします。
図:スクワット時の注意点
このことから、ワイドスクワットを行うことは内転筋にも好影響を及ぼすし、同時に仙腸関節にも好影響を及ぼすことから仙腸関節性の腰痛の改善もしくは予防にも繋がってくるということがいえるわけです。
ただし、何度も言いますが腰が曲がるなどやり方を間違えれば逆効果になるため注意が必要になります。
”ワイドスクワット”とこの後説明する”フロントランジスクワット”に関しては、つい最近更新したスクワット系の記事で説明しているため、やや被るところがあります。
スクワットの種類を知りたい方はこちらの記事からご覧ください。
スクワットはどういうやり方が最も効果的?~腰痛・膝痛の改善のため?より鍛えるため?~
2.フロントランジスクワット
フロントランジスクワットは、本来大腿四頭筋のトレーニングや後方に残した下肢のストレッチ(股関節伸展)として活用されています。
実際に私もよく股関節伸展のストレッチでランジ動作を用います。
伸展型の腰痛に対しても効果的に取り入れることで腰痛の改善が得られてきます。
ストレッチの要素としてのランジ動作に興味がある場合はこちらの記事をご覧ください。
で、このフロントランジスクワットですが、少し操作を加えることで内転筋を鍛えることが出来ます。
具体的な方法を以下に説明していきます。
①前に出す下肢を外旋させ、通常よりも上体を落とし込んでいく
図:内転筋に効かせるフロントランジスクワットの方法
まず初めは、前方に出した下肢を外旋位にするということです。
ランジ動作の際に膝を外側に回旋させていきます。
そうするとことで内転筋は伸長位になり、遠心性収縮を強いられることになります。
これを連続で行うことで内転筋に刺激を入れ鍛えていきます。
②ジャンプの要素を取り入れたジャンピングランジを行うことでより強力に内転筋を鍛える
次は、ジャンプの要素を取り入れて内転筋により負荷をかけていきます。
このジャンピングランジ+先程の前方の下肢を外旋位にしてランジを行うことでより強力に内転筋を鍛えることが出来ます。
ジャンピングランジに関しては、
以下のサイトに動画でやり方が記載されていて、わかりやすいので引用させてもらいました。
やり方がわからない方はご覧ください。
※上記のサイトでは前方の下肢は中間位で行っています。これを外旋位にすることで内転筋にも効いてきます。
このジャンピングランジになると、トレーニングの難易度も高くなります。
ジャンプの動作中に足を入れ替えていくわけなので、当然ブレます。
そのブレを最小限にし、かつ着地も出来るだけ静かに行うことで効果的なトレーニングとなります。
しっかり行うと本当に数回できつくなります。
そのため、回数は少なくてもいいので一回一回を正確に行うようにしていきましょう。
その方が効果が高くなります。
ジャンピングランジの注意点とワンポイント
□動作は正確に一回一回丁寧に行う
□身体を出来るだけブラさずに正中を意識して行う
□毎回の着地は静かに行う(音を出さないようにする)
□着地後はしっかり前方の下肢を外旋させ出来るだけ上体を落とし込む
□ジャンピングランジ中は上体をしっかり起こしておく(猫背や腰を曲げないように注意)
3.寝たまま内転筋を鍛える方法
寝たまま内転筋を鍛えるには側臥位になって行う方法が効果的です。
方法は、側臥位になり下側になった下肢を重力に抗して挙上していくといった方法です。
図:側臥位で行う内転筋のトレーニング方法
上記の図のように、内転筋を鍛えていきます。
このトレーニングの負荷としては、重力が負荷の対象になるため大きなものではありません。
しかし下肢全体の重みと重力がかかるため、実際にやってみるとわかりますが意外としんどいです。
回数として10回で区切ってそれを数セットを行うことをおススメします。
無理をしすぎると代償動作が出てきますし、集中力も低下します。
側臥位での内転筋のトレーニングの注意点
□内くるぶしを天井に向かって上げるようにする
※下肢の内外旋が代償で入ると内転筋以外の筋肉で運動を行ってしまいトレーニングにならない
□このトレーニングでは内転筋を収縮させる運動になるため、やりすぎは内転筋の短縮を招きかねません
※内転筋のストレッチも並行して行うように注意する
4.座ったまま内転筋を鍛える方法
次は座位でのトレーニングについてです。
座位ではボールを挟むなどして内転運動を行っていくことで内転筋のトレーニングが行えます。
図:内転筋のトレーニング方法【ボール挟む運動】
座って行うトレーニングでは、ボールを挟むや両膝を締め付ける運動になり、負荷量の調整が困難です。
この場合、筋力向上というよりも、筋出力のコントロールの訓練や協調性の訓練として選択される方が意味合いとしては合っているかと思います。
元々、外側支持の強い方でO脚傾向になっている人なんかは、上記の運動を習慣化させていくことは運動パターンの改善には有効になると思われます。
座位での内転筋のトレーニングの注意点
□息を止めないようにします
※息を吐きながら内転運動を行う方が腹部の筋と強調して効果的に鍛えられる
□単発の運動ではなく持続的な収縮を促す運動を行います
※持続的な筋収縮を入れる方が効果的にトレーニングできます
□姿勢に注意します
骨盤を立てて行うことが重要(腰は丸めないように!)
5.まとめ
今回は、内転筋を鍛える方法をまとめていきました。
内転筋が美容のこと下肢の痛みに有効であることは分かっていても、どうやって内転筋を鍛えたらいいかわからないといった問題が出てくると思います。
内転筋を鍛える方法は上記で説明したようにいくつか種類があります。
今回紹介したもの以外にも方法はいくつもあるわけです。
じゃあそれをどのように選択するのか?が大事になってきます。
今回はそういった点が少しでも整理できるように記事をまとめていったつもりです。
あくまで”つもり”です・・・
人によって適応不適応や、負荷量が合っている合っていないといった課題は必ずあります。
指導する立場、指導してくれる人がいない状況などこの記事を読む人は様々かと思います。
どういった立場の人でもまずは自分で実践してみて、どの運動が効果的かを体験していくことが重要ではないかと思います。
それでは本日はこの辺で。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました!!
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