どうも。
KABOSUです!!
今回は
肩について
書いていきます。
日々の臨床では、
四十肩や五十肩(肩関節周囲炎)の方を診る事が多いです。
四十肩や五十肩は医療の世界では「肩関節周囲炎」と言います。
症状としては、
□手が上がらない
□肩が痛い
□下着を後ろで止めれない
などなど、、、
多くの訴えが聞かれます。
今回は、その肩関節周囲炎の痛みについて、
効果のあるポイントを書いていきたいと思います。
肩関節周囲炎の可動域制限について興味のある方はこちらご覧ください!
肩関節周囲炎の病態について興味のある方はこちらご覧ください!
1.肩関節周囲炎の症状(疼痛ポイント)
まず初めに、肩の痛むポイントを紹介していきます。
肩関節周囲炎の方でほぼ全員と言っていい程、特定の場所を痛がります。
それは、
「肩の外側付近」
になります。
訴えとしては、
局所的ではなく、「この辺り・・・」というように広範囲ではっきりしない訴えとなります。
「どこが痛みますか?」
「この辺(肩の外側)がかなり痛いです。ほっておいたら腕の方まで痛くなります。」
このような訴えが聞かれます。
そして、痛みの場所ははっきりしておらず広範囲に訴えます。
なので、人差し指で痛いポイントを示さず、
反対の掌で肩を押さえるように訴えます。
このような痛みがある場合は、
肩関節周囲炎であることが考えられ、日常生活に支障をきたすレベルまで痛みが出ます。
※肩関節周囲炎はしっかりケアすれば緩解する疾患であるため、根気よく治療することが大切です。
※ただ、病態として病気の時期がありますので、無理をしないほうがいい時期(炎症が強い時期)、ある程度負荷をかけていい時期などがありますので、無理は禁物です。
2.肩関節周囲炎の痛み軽減に効果的な筋肉
痛みの場所がわかったら、次は痛みをとる方法ですね。
痛みをとるには、痛みの原因を特定していかなければなりません。
肩関節周囲炎の方の痛みの場合、はっきりしない痛みであることが多いです。
「痛い部分を揉んでもなんかしっくりこない・・・」
なんてことはよくあることです。
そういった場合、トリガーポイントであることが多いです。
トリガーポイントは、離れた場所に痛みを出すことがあります。
今回の肩関節周囲炎の痛みも、「この辺り・・・」というようにはっきりしない痛みであることが多く、トリガーポイントが原因であることが多々あります。
で、このトリガーポイントが原因になることが多いのですが、
一体どこにトリガーポイントが出来たら肩関節周囲炎のしつこい肩痛を引き起こすのか?ですよね。
それは、
「斜角筋」と「棘下筋」と「棘上筋」
の3つの筋となります。
斜角筋は、上肢のトリガーポイントのキートリガーポイント(責任トリガーポイント)となっており、肩の外側だけでなく上肢の広範囲に痛みを送ります。
斜角筋のトリガーポイントは、胸部、上背部、肩、腕、手の痛みの根本原因であることも珍しいことではない。
棘下筋は、疼痛部位がモロに肩の外側になっており、肩関節周囲炎の方が訴える疼痛部位の
ど真ん中となります。また斜角筋同様、上肢のキートリガーポイントになりますので、肩の外側にも手の方まで痛みを送ります。
棘下筋は肩の後部にあるにもかかわらず、そのトリガーポイントは、肩前部の痛みの原因の第1位である。
棘上筋も肩の外側が疼痛部位になっています。僧帽筋の下にある筋であるためコンタクトしにくい筋肉ではありますが、トリガーポイントが出来て機能不全に陥っていること確率が高い筋肉になります。
棘上筋のトリガーポイントの痛みは、主として、肩外側の深部の痛みである。
時には、上腕の外側から、前腕、手首へと痛みが広がることもある。
以下に詳細をまとめます。
①斜角筋
【解剖】
斜角筋は3つの筋で構成されています。
①前斜角筋
②中斜角筋
③後斜角筋
胸鎖乳突筋の後部にあります。
呼吸補助筋であるため、努力呼吸時に収縮が見られます。
思いっきり息を吸った時に胸鎖乳突筋の後ろに筋張った組織が斜角筋になります。
【トリガーポイントの反応】
①斜角筋のトリガーポイント
②斜角筋のトリガーポイントの範囲(前面)
③斜角筋のトリガーポイントの範囲(後面)
斜角筋のトリガーポイントは、胸部・上背部・肩・腕・手と驚くほど広い範囲に痛みや痺れをはじめとする異常な感覚を引き起こします。
時には、首の後ろに痛みが生じることもあります。
斜角筋の中でも、
中斜角筋や後斜角筋の下部のトリガーポイントは、胸の痛みの原因となる。
中斜角筋と前斜角筋の上部のトリガーポイントは上腕と肩の痛みの原因となることが多い。
斜角筋のトリガーポイントによる症状で誤診されやすいものとして、
□上背部痛-菱形筋の問題と間違われやすい
□首や肩の不具合-神経性痙攣として誤診されることもある
□胸部痛-狭心症と判断されることもある
□肩・腕・手に送られた痛みや痺れ-頸椎疾患と誤診される
このように斜角筋が関わっている可能性があっても違う疾患として捉えられてしまうこともあります。
すべてが斜角筋の問題であることはありませんが、選択肢の一つにあるのとないのでは大きな違いですから、知識として持っておくことは大事です。
【注意点】
斜角筋は触診が困難であり、頸動脈など近くを通っていますので、拍動のある部位やめまい・冷や汗など見られたら触るのを中止するようにしてください。
②棘下筋
【解剖】
棘下筋は肩甲棘の下にあり、肩甲骨のほぼ全体を覆っています。
(肩甲骨を4等分した内、大体3/4が棘下筋になる。1/4が棘上筋。)
上腕骨大結節先端の後方に付着しており、腕を外旋させる役割があります。
肩の安定化を図る「ローテーターカフ」の内の一つの筋であります。
【トリガーポイントの反応】
①棘下筋のトリガーポイント
②棘下筋のトリガーポイントの範囲
棘下筋のトリガーポイントによる痛みは、肩関節の深部に感じ、上腕二頭筋にまで及ぶこともあります。
また三角筋の前部と上腕骨の結節間溝(上腕二頭筋県が通るところ)に極度の圧痛を感じることもあります。(上腕二頭筋腱炎と誤診されることも・・・)
その他、肩の外側、首の後ろ、肩甲骨の内縁、上腕から前腕にかけて、手の母指側全体に関連通が送られます。
棘下筋のトリガーポイントによって肩や腕が弱くなり、硬くなるため、易疲労性となります。そして肩の内・外旋運動が制限されます。
可動域制限や痛みによって、
□結帯動作が困難になる
□ジャケットなどの服の着脱が困難になる
□肩の痛みのより横向き(側臥位)で寝れない
などの弊害が生じます。
また、棘下筋にトリガーポイントができ、機能不全を起こした場合、他の回旋筋腱板(残りのローテーターカフ)が代償して働くことになり、結果ローテーターカフ全て(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)にトリガーポイントが形成され、腕を動かすことが困難になります。
このように、痛みと可動域制限から、「肩関節周囲炎」と診断されることが多くなります。
そして、ローテーターカフの中でも棘下筋がトリガーポイントができやすく、他の筋への影響が強いようです。
【注意点】
放散痛がない場合、強い刺激をいれないようにします。
トリガーポイントがある場合、軽い刺激でも強い痛みが出ます。初めは軽く触るようにします。
③棘上筋
【解剖】
棘上筋は肩甲棘の上部にあり、肩峰の下を通り上腕骨に付着しています。
(肩甲骨を4等分した内、大体3/4が棘下筋になる。1/4が棘上筋。)
主な機能は肩の外転運動になります。
三角筋と協同して運動を正常に行いますが、棘上筋が効かなくなると上腕骨頭を求心位に保てなくなるため運動制限が生じます。
なので、棘上筋は肩の外転運動と共に、上腕骨を求心位に保つ(肩の安定化)役割があります。
【トリガーポイントの反応】
【棘上筋のトリガーポイントとその範囲】
棘上筋のトリガーポイントの痛みは、主として肩外側の深部の疼痛です。
時には、上腕の外側から、前腕、手首へと痛みが広がることもあります。
腕を上げようとしただけでひどい痛みが走ることもあり、腕を頭上にあげるのはほとんど不可能に近くなります。
そのため、髪を洗ったり、髪をくしでといたりなどが困難になり、女性にとっては特に日常生活への影響が強くなるかと思われます。
また棘上筋のトリガーポイントと肩関節部分の”れき音”は関連があると言われており、棘上筋のトリガーポイントの鎮静化に伴い、”れき音”も消失するとのことです。
その他、棘上筋のトリガーポイントはテニス肘(肘外側の痛み)のような痛みを引き起こすこともあります。
【注意点】
厚い僧帽筋の下にある筋であるため、マッサージなどでは届かない部分です。
棘上筋への介入を行うときは、ポイントで指圧していくことが重要です。
3.まとめ
今回は、肩関節周囲炎のしつこい痛みについてまとめていきました。
このしつこい痛みは、トリガーポイントが原因であることが多く、トリガーポイントへの介入で改善が期待できる症状になります。
直接、肩関節周囲炎の時の疼痛と関連のある筋としては、斜角筋・棘下筋・棘上筋でした。
それらの筋にトリガーポイントが出来ることで痛みを引き起こすわけです。
ただ、すべてがすべてトリガーポイントが原因なわけではありません。当然、関節そのものの問題だってあるわけです。
そうなったとき、
「どのようにトリガーポイントが悪さをしているかどうかを判断するか?」
です。
それは、
直接、トリガーポイントがあるであろう筋肉への刺激で実際の疼痛部位に放散痛が確認されれば、その筋肉にトリガーポイントがあることが証明され、そこが治療対象になるということが言えるわけです。
今回の肩関節周囲炎の場合に置き換えると、
肩の外側の痛みが強く出ている方に対し、
棘下筋のトリガーポイントを刺激します(×印があるところ)。
押した際、押した部分の痛み以外にも肩の外側に痛みが走るか確認します。
実際に肩外側に痛みが走れば棘下筋のトリガーポイントが痛みの原因である可能性が高い
ということになり、棘下筋へのアプローチを行っていく必要性が生まれます。
このように、トリガーポイントは離れた部位に影響(痛みなど)を起こすと言われています。
そのため、放散痛の有無が大切になります。
今後、トリガーポイントを実際に治療してみる際は、放散痛を確認しながら筋肉を触ってみると意外な効果が現れるかもしれませんね。
もしトリガーポイントに興味があれば、こちらを参考にするとわかりやすいかと思います。
それでは、今回はこの辺で。
今回もありがとうございました!!
コメント