どうも。
先日に引き続き今回もトリガーポイントシリーズです。
前回は胸鎖乳突筋のトリガーポイントについて紹介していきました。
今回は、「僧帽筋」のトリガーポイントについて紹介していきます。
僧帽筋は上背部に位置し、主に肩の動きを司っているが、頭痛や首の痛みの主な原因となっています。
また、多くの方が肩こりの際に訴える場所が僧帽筋になります。
そんな僧帽筋のトリガーポイントについてまとめていきます。
1.僧帽筋のトリガーポイントによる起こり得る「症状」について
僧帽筋は、ひし形の筋肉で上背部に位置します。
機能や走行から3つの層に分けられます。
●僧帽筋上部繊維
●僧帽筋中部線維
●僧帽筋下部線維
僧帽筋というと、上部線維をイメージしがちでありますが、下部線維になると背中の真ん中あたりまで位置することになり、思っているよりも広範囲に存在する筋肉であることがわかります。
この僧帽筋ですが、主なトリガーポイントが4つ存在します。
このそれぞれの僧帽筋のトリガーポイントによる症状は、理解されないことが多く、椎間板圧迫、脊髄の狭窄、肩の滑液包炎、神経痛と診断されるケースも存在します。
また、僧帽筋のトリガーポイントによる頭痛に至っては、頚椎症によって起こる頭痛、血管性頭痛、群発性頭痛、片頭痛と診断されることもあります。
第1トリガーポイント(頭痛(こめかみ部分の痛み)と関連)
僧帽筋の第1のトリガーポイントは、肩の最も高い部分の厚い筋である上部線維に生じます。
首の付け根の皮膚の直下の線維をつまむと見つけることが出来ます。
この第一トリガーポイントがこめかみ部の訴えに繋がる主たる問題になります。
【第1トリガーポイント(僧帽筋上部線維)の症状】
●頭痛(こめかみの痛み)
●顎下の角の咬筋の痛み
●耳の後ろの側頸筋の痛み
●目の奥の痛み
●後頭部の痛み
図:僧帽筋の第1トリガーポイント(上部線維)
僧帽筋の第1トリガーポイントは、頭痛との関連があることから、緊張性頭痛と誤診されることがあります。
また、このトリガーポイントは、こめかみと顎の筋にサテライトトリガーポイントを誘発し、顎関節症や歯痛の関節的な原因ともなり得ます。
第2トリガーポイント(首の痛みと関連)
僧帽筋の第2のトリガーポイントは、実際には2つあって、肩上部の筋の深部に2~5㎝離れて存在します。(2点ある場合もあれば1点だけの場合もあります)
第1のトリガーポイントとは深さの違いがあり、第2のトリガーポイントの方がより深部に存在しています。
図:僧帽筋の第2トリガーポイント(上部線維)
【第2トリガーポイント(僧帽筋上部線維)の症状】
●後頭骨底部の痛み
●背中や首の筋にサテライトトリガーポイントを誘発
この僧帽筋の第2トリガーポイントが原因で頸部痛を引き起こしている場合、首のマッサージをするだけでは、根本の解決にならず痛みの再燃が起こることになります。
第3トリガーポイント(背部痛と関連)
僧帽筋の第3のトリガーポイントは、僧帽筋下部線維の輪郭(肩甲骨の内縁と接する部位)に添って何点か存在します。
僧帽筋上部のトリガーポイントと同様、後頭骨底部の痛みを誘発します。
また、僧帽筋上部自体にも痛みを送ります。
そしてこれら2か所で形成されたサテライトトリガーポイントが、頭痛を引き起こします。
図:僧帽筋の第3トリガーポイント(下部線維)
【第3トリガーポイント(僧帽筋下部線維)の症状】
●後頭部痛
●中背部痛
●僧帽筋上部線維の痛み
第4トリガーポイント(背部痛および異常感覚と関連)
僧帽筋の第4トリガーポイントは、肩甲骨の内縁付近、僧帽筋中央の幅広い部位に存在します。
図:僧帽筋の第4トリガーポイント(中部線維)
【第4トリガーポイント(僧帽筋中部線維)の症状】
●脊椎に沿ってあるいはその周辺に、焼けるような痛みを引き起こす(灼熱感)
●上腕後側や時には大腿部に鳥肌の原因となる(異常感覚)
2.僧帽筋のトリガーポイントが形成される原因
僧帽筋のトリガーポイントにより引き起こされる症状について紹介していきましたが、個々からは僧帽筋自体にトリガーポイントが形成される原因について紹介していきます。
まずは、僧帽筋の役割
僧帽筋は背中のほぼ上半分を覆い、上へと伸びて、後頚部の中央を覆っています。
具体的医は、僧帽筋は後頭骨底、脊椎、鎖骨、肩甲骨に付着しており、
作用としては肩の重みを支え、腕を上げる際には毎回、強く短縮して肩甲骨を動かしています。
また、腕や手の動きが円滑になるように肩甲骨をしかるべき位置に支えるという重要な役割も担っています。
僧帽筋上部は頭を下げたり、横を向いたりする際に、頭と首の重荷を支える役割をしています。
僧帽筋のトリガーポイントが形成される原因①「不良姿勢」
座っているときに前かがみになったり下を向く癖があったりして悪い姿勢が続くと僧帽筋に不必要な負担がかかり、トリガーポイントが形成されます。
猫背の姿勢によって頬筋が短縮すると、肩が常に引っ張られ、僧帽筋を酷使することになります。
僧帽筋のトリガーポイントが形成される原因②「精神的緊張」
その他、僧帽筋のトリガーポイントの原因となるのが精神的な緊張が挙げられます。
精神的な緊張が続くと、肩をすくめた状態を常に取ることとなり僧帽筋は持続的な活動を強いられます。
こういった背景から僧帽筋にトリガーポイントが形成された場合、精神的緊張が解消されても僧帽筋の問題は解消されずに残り、慢性的な頭痛や首・肩こりが悩みとなる可能性もあります。
僧帽筋のトリガーポイントが形成される原因③「上肢の使い過ぎ」
肩を上げるあらゆる動作や運動は僧帽筋の使い過ぎに繋がります。
長時間にわたり腕を身体の前面に伸ばしておかなくてはならない仕事も僧帽筋のトリガーポイントの原因となります。
●デスクワーク
●ピアノを弾く
などなど・・・
このように、肘を支えずに何時間もコンピューターやピアノに向かったときに生じる中背部の圧迫感や激しい痛みの原因は僧帽筋のトリガーポイントが形成された結果である可能性もあります。
これは、肘の支えがない状態で座っていると僧帽筋は常に緊張状態に置かれるためであり、常に短縮状態にあると回復する時間が取れないことが最もな原因となります。。
3.まとめ
今回は僧帽筋のトリガーポイントについてまとめていきました。
トリガーポイントについてまとめていくと毎度思いますが、一つのトリガーポイントが本当に多くの部位に痛みを引き起こす可能性があるんだな・・・と。
当然トリガーポイントが原因でないこともありますが、「トリガーポイントの可能性もあると思って評価する」ことは治療の幅を広げる上でも重要になると思います。
いきなりトリガーポイントの治療を始めるわけでなくて、トリガーポイントの影響の有無をチェックするくらいの感覚で評価の一つに取り入れてみると良いのではないでしょうか。
それでは本日はこの辺で。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!
トリガーポイントの治療の基本についてはこちらの記事をご覧ください。
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