どうも。
KABOSUです。
今回は
理学療法について
記事を書いていきます。
スポーツをされている方や股関節の手術後の方で足の付け根の痛みを訴える方を経験したことはないでしょうか?
また整形に限らずリハビリをしていると鼠径部(足の付け根)の痛みを訴える例も多々見ます。
このように鼠径部の痛みは比較的多い訴えである印象があります(私だけ?)。
そこで、今回は鼠径部の痛みについて、どこに問題があるのかを判別する方法をまとめていきたいと思います。
1.鼠径部(足の付け根)の痛みとは?
鼠径部の痛みは、理学療法の世界では”鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)”といわれています。
グロインペイン症候群の方が聞き馴れているでしょうか?
これからはグロインペインといい方を変えて説明していきます。
このグロインペインは疼痛発生部位がさまざまであるため、疼痛部位の鑑別、疼痛動作の確認が必要になります。
グロインペインの定義
グロインペインは、多くの病態を含んでおり、明確な定義がなされていないのが現状です。
また、鼠径部の疼痛の原因については、筋骨格系の病変、腹壁病変、神経病変など複数の報告があり、発生メカニズムの推察は簡単ではありません。
グロインペインとスポーツの関わり
鼠径部痛が好発するスポーツ種目としては、以下の通りです。
●サッカー
●ラグビー
●長距離走
●ホッケー
上記が”
鼠径部痛を引き起こすきっかけ”となりやすいスポーツになります。
キック動作や方向転換動作、ランニング動作などの反復によって発生する可能性が示唆されています。
特にキック動作との関連が指摘されていますね。
2.グロインペインに関する知見
鼠径部の痛みについての知見を紹介します。
以下の知見を考えていくと、鼠径部の問題だけでないことがわかります。
鼠径部の痛みは、片側性の症状であっても反対側にも波及する可能性がある
Meyersらは、片側性89例、両側性68例のうち、両側性の91%(62例)は片側性から移行したと報告している。
3.鼠径部痛(グロインペイン)の評価方法
グロインペインの評価で大切なことは、「どこに問題が生じているかを鑑別する」ことになります。
それには、「疼痛誘発動作」を見ていくことが大事になります。
今回は、この「疼痛誘発動作」に関してメインに書いていきます。
グロインペインの理学療法では主に、4つの疼痛誘発動作を行い問題の特定を行っていきます。
①内転筋(長短内転筋)の評価
まずは内転筋です。
内転筋は恥骨に付着部を持ち鼠径部痛の発生に大きく関わっている筋になります。
股関節のつまり感などもこの内転筋が影響していることは多いです。
内転筋に関しては後でも説明しますが、単関節筋と二関節筋とでわかれます。
まずは単関節筋の評価になります。
単関節筋の場合は膝関節への影響を出さないため、膝屈曲位(膝を立てて)にて評価します。
膝を立てた状態で内転方向(膝を閉じる)に力を入れてもらい、外転方向に抵抗を加えていきます。
この時に、鼠径部に痛みが再現されれば内転筋(単関節筋)の問題が鼠径部痛に影響していると判断します。
図:内転筋の疼痛誘発動作
②内転筋(薄筋)の評価
同じ内転筋でも、単関節筋と二関節筋の違いがあります。
薄筋は骨盤と膝に筋の付着があり、股関節と膝関節の2つをまたいでいます。
そのため、同じ内転筋でも収縮様式にも違いが出てきます。
なので、内転筋の中でも薄筋のみ評価を分けて見ていきます。
薄筋の場合は、膝伸展位で評価します。
股関節の内転運動に対し、外転方向に抵抗を加えることで鼠径部に痛みが再現されれば、薄筋が鼠径部痛に影響を与えていると判断します。
図:薄筋の疼痛誘発動作
③股関節屈筋群(腸腰筋や大腿直筋)の評価
股関節屈筋群は、主に大腿直筋と腸腰筋になります。
※他にも大腿筋膜張筋や縫工筋もあります。
これらの筋の問題を評価するためにSLRをした状態で抵抗をかけます。
その時に鼠径部に痛みが再現されれば、股関節屈筋群の問題が鼠径部痛に影響を及ぼしていることが考えられます。
股関節屈筋群で鼠径部痛が再現されれば、それから屈筋群(腸腰筋・大腿直筋・縫工筋・大腿筋膜張筋)のどの筋なのかを触診や少し抵抗の方向を変えて筋の特定を図っていきます。
図:股関節屈筋群の疼痛誘発動作
④腹筋の評価
腹筋の中の腹直筋は恥骨に付着しています。
腹直筋の収縮により恥骨が牽引され、それがきっかけで鼠径部に痛みが再現されれば、腹直筋が鼠径部痛を増悪させている可能性があると判断します。
図:腹直筋の疼痛誘発動作
以上が、鼠径部痛に対する疼痛誘発動作になります。
この評価で、ある程度どこに問題があって鼠径部に痛みを出しているかがわかってきます。
4.まとめ
今回は、鼠径部痛について記事を書いていきました。
鼠径部痛は臨床の場でもスポーツの場でも意外と多い症状です。
問題の捉え方の一つとして今回のような疼痛誘発動作を使っていくと問題の特定がしやすくなってきます。
それでは本日はこの辺で。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました!!
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