どうも。
KABOSUです!!
本日は
日々の疑問
についてです。
私が勤務している病院では、膝の人工関節置換術を行う方が多いです。
リハビリでは当然可動域訓練を行い、目標とする可動域まで動かしていかなければなりません。
またリハビリ以外では機械を使って膝の可動域を出していきます。
これを術後早期から実施していきます。
当然痛いですよね、、、中には痛みが少ない人もいますが、傷もまぁまぁ大きいし、なにより簡単に目視できる場所ですからね、、、膝は。
だから視覚的な問題でも痛みを強く感じる方も多いかと思います。
そんな痛みを訴える方に日頃、腫脹や熱感を確認しつつも私は可動域訓練を実施しているわけです。
今回は、そんな痛みがあるけど動かさなければいけない状況の時は
どうしたらいいのかを膝の手術後を例に考えてきます。
1.そもそもなぜ早期から無理して膝の可動域を確保しないといけないのか?
ここに関しては、
単純に組織の癒着が起こってしまうからです。
そもそも膝の曲げ伸ばしや歩行時に痛みが出るから手術に踏み切っているわけです。
なので術後はそういった問題がある程度解消されなければなりません。
膝の関節を入れ替えるわけですから当然、術後はもともとあった膝の痛みは消失しているわけです。(術部の痛みがありますが・・・)
ただ可動域に関しては術部の腫脹などがあり、あまり動きません。
その状態をほったらかしにしていたら当然固まってしまいますよね。
だから術部の炎症症状が落ち着いてくるのと同時に可動域を出していく必要があります。
2.無理をして可動域を出していく際のリスク
上記の話から術後早期から可動域訓練をする必要性は理解できました。
ただ、やみくもに動かしていけばいいのか?ですよね。
相手はロボットではなくて人間ですからね、、、
人間には感情があるわけですから、ネガティブな反応があるだけで身体は緊張します。
そして全然可動域は拡がりません、、、
「痛い思いをしてあまり動きはよくならない」が最も避けたいパターンですよね。
相手のキャラクターや痛みの度合いにもよりますので一概には言えませんが、気を付けていきたい問題が、「感作」になります。
私もこの用語を知るまでは、人によって痛み方に差が出るのは性格の問題か、、、と安易に考えてしまっていたことがあります、、、。
とはいっても痛みと性格の関連性も否定できないので
性格的な面も大きな要因の一つかと思います。
ただ、膝の術後のように
「反復して同じ作業を繰り返すリハビリ」
にはこの「感作」はある程度大きな要因として判断できるのではないでしょうか。
感作とは?
そもそも「感作」とはなんなのでしょうか?
正常な入力に対する侵害受容ニューロンの亢進した反応性、および通常閾値以下の入力に対して反応する状態。
日本疼痛学会HPより引用
この感作は、「中枢」と「末梢」の2つに分けられます。
●末梢神経感作
受容野の刺激に対する末梢侵害受容ニューロンの反応性の亢進と閾値が低下した状態。
●中枢神経感作
正常あるいは閾値以下の求心性入力に対して示す中枢神経系の侵害受容ニューロンの亢進した反応性。
日本疼痛学会HPより引用
と、専門用語が多くて理解に苦しみます、、、。
簡単に言うと、
普通の刺激にも反応(痛みなど)を示す状態
ということでしょうか。
膝に置き換えたら、
膝の曲げ伸ばしで可動域範囲でも過剰に痛みを示す状態
ということになります。
末梢神経感作
末梢神経感作には2つの種類があります。
①アロデニア
非侵害刺激を侵害受容ニューロンが伝えて痛みと知覚する現象。
※触るだけでも強い痛みを感じるような状態(痛みに対し異常な反応を示す)
②痛覚過敏
痛みの閾値を超えた軽微な侵害刺激に対して、刺激以上に強い反応を示し、強い痛みを感じる現象
※痛みに対して過剰い反応してしまう状態(痛みに弱い状態)
この図では、アロデニアと痛覚過敏の痛み感じ方を表しています。
●アロデニアでは、「触れた感覚」でも「(すごく)痛いと感じる」となります。
●痛覚過敏では、元々「痛いと感じている」ものを「ものすごく痛いと感じる」となります。
なので、
アロデニアと痛覚過敏では刺激の量(痛みを出すのか触るだけなのか)が全く違うというわけです。
ここが理解できれば、両者の違いははっきりしてきます。
中枢神経感作
局所組織が治癒した後も、中枢神経の必要以上の警戒によって疼痛が残存している状態
ここが今回の一番の学びです。
中枢神経感作が起こると、
組織の問題は解決したにもかかわらず、しつこい痛みが残存してしまう
ということになります。
この中枢神経感作を引き起こすきっかけは
痛みの原因がはっきりせず、痛みを出し続ける(動作や動きを繰り返す)
ということが挙げられます。
このように、
不快な動作を繰り返すことで、痛みの閾値が下がる
といった問題が生じます。
つまり、
繰り返しの運動や作業は痛みを増強させてしまう
ということになります。
3.どのように感作を起こさずにアプローチが出来るか?
では、感作について少し理解したところで、
今度は「どのように感作を起こさずにアプローチが出来るか?」ですよね。
このことについて説明していきます。
痛みの原因を理解し、痛みを出すギリギリで活動量を向上させるとその閾値は向上する
GL Moseley & DS Butler : Protectometer.2015より引用
このように、
まずは①「痛みの理解」が重要になります。
よくわからない痛み程怖いものはありません。
なぜこのような痛みが出ているのか?をしっかり対象者と共有することが大事になります。
次に、②「痛みが出る手前での活動を行うこと」です。
痛みが出ると負の学習が進んでしまうわけなので、ギリギリで抑えていくということが大事になります。
ただ、それじゃあ全く可動域が出ないのでは?となりますよね。
この痛みの出る手前という、「痛み」をどうような認識で捉えるか?で変わってくるのではと思います。
痛みが出る手前で、というのは負の学習をさせないためです。
なら負の学習はどういうときに起こるか?なんですが、
先ほど述べた「痛みの理解」が出来ていない痛みを感じた時なのではないかと思います。
臨床では、痛みを訴えてても能力が変わる人は変わってきます。
逆に、痛みを理解していない(理解しようとしない)人が組織の問題が解消しても痛みを訴える傾向にあります。
だから治ってんのか治ってないのかわからなくなる、といった悪循環に陥ります、、、。
なので、
「痛みの出る手前」というのは「痛みの理解」が進めば、
「痛みの出る手前」はどんどん拡がってくるものと思われます。
そうしていくことで、痛みの閾値が上がっていき、動作や作業に対して痛みを感じにくい状態になっていくという良い循環になってくるというわけです。
4.まとめ
今回は、「痛み」にフォーカスした内容になりました。
結局、「痛みを我慢する」ことはリハビリ上いいのか?悪いのか?なんですが、
「痛みは我慢しないほうがいい」という結果になりました。
ここに関しては様々な意見があると思いますが、「感作」という問題を考えていくうえで
無理をしすぎるのは、その時はよくても、後々大きな問題として残ってしまうリスクがあるということが考えられます。
なので、
「感作」を起こさないためにも、
まずは信頼関係、
次に痛みの理解(痛みの問題をしっかり説明し理解を促す)、
そして不快感を出さないよう注意する
この3点が大事になるのではないかと思います。
膝の手術後のように
無理をしなければいけない時期に
どれだけ痛みなく目標とする可動域まで動かせるか
そして、それをどれだけ日常生活に落とし込めるか
が理学療法士としてやりがいのあるポイントではないかと思います。
そのために色々な方法を用いていけたらと思います。
ただ曲げるだけなら誰でも出来るわけなのでそういう点を理解してリハビリを進めていきたいですね。
それでは、本日はこの辺で!!
ありがとうございました~。
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