どうも!
KABOSUです。
今回も東洋医学シリーズです!
経絡アプローチに必要な知識ということで、それぞれの臓腑の詳細をまとめていきたいと思います。
前回は、肺・大腸についてまとめていきました。
経絡アプローチの概要については、
をご覧ください!
今回は”脾・胃”についてまとめていきます。
東洋医学の中では、脾・胃は”消化器系のコントロール”をする部分になります。
西洋医学の”脾臓”とは少しイメージが違ってくるかと思います。
ストレス社会である現代では胃腸の不調など消化器系の問題を抱えている人が非常に多いです。
つまり脾・胃にかなりの負担がかかっているということですね。
「ストレスが胃にくる」とも言いますし、東洋医学でいう脾・胃の感情は「思い悩み」ですから常にストレスと隣り合わせということになります。
1.脾・胃は東洋医学ではどんな立ち位置なのか?
西洋医学では、”脾や胃”というと、脾臓や胃をイメージするかと思います。
東洋医学でも実際の臓器と働きは似てくるのですが、多少違ってきます
脾の役割について
脾は「飲食物を消化・吸収し、全身に栄養を送る」働きがあります。
摂取した食べ物・飲み物を消化分解して、エネルギーと水に変え、身体全体に送る働きがあるため、消化吸収機能、胃腸機能をはじめ、免疫機能なども含まれます。
また、血液が血管から漏れないように調節するのも、脾の働きの一つです。
感情面では「思い悩み」と関係があり、精神面では思慮、思考、判断、執着的、知的などと関係があります。
日頃から悩み事が多い人は、脾や胃に負担がかかっている可能性があります。
胃の役割について
胃は摂取された食物を受け取り、初歩的な消化を行います。
また、裏の脾の機能と連動することがあります。
気血水のさまざまな障害と共に、初歩的な消化に関連する機能に障害が現れます。
2.脾経・胃経の虚証と実証の症状
ここでは、虚証・実証の場合に起こりうる症状の例をいくつか挙げていきます。
経絡アプローチを行う際に、下記のように虚実を判断できると、
「エネルギーを抜く」or「エネルギーを注入する」
がわかるようになり効果的な治療が可能になります。
なぜ、それぞれの臓腑の”虚実”を知る必要があるのかは、経絡アプローチで大切なのは”虚実の判断”が出来るかどうかをご覧ください。
虚の症状
●食欲減退
●消化吸収機能が低下する
●軟便
●水様性の下痢
●血便
●上腹部の膨満感
●下腹部の墜脹感
●疲労・全身倦怠感を感じやすくなる
●内臓下垂が起こる
●めまい
●皮下出血
●月経過多
●腹痛を起こしやすくなる
●味覚異常
●むくみやすくなる
実の症状
●消化吸収機能が低下する
●吐き気
●口渇
●口唇の乾燥
●手足のほてり
●食後の強い腹部膨満感
3.脾の異常
ここでは、気血水の異常をまとめています。
少し専門的な用語が多いためわかりにくいですが、それぞれの異常が起こった際に生じる症状だけでも知っておくと良いと思います。
その部分だけ色付けをしていますんので参考にして下さい。
①脾気虚
狭義の脾気虚、脾気下陥、脾不統血があります。
脾気下陥、脾不統血は脾気虚が悪化して発生します。
≪脾気虚(狭義)≫
飲食の不摂生、肉体疲労、慢性病、精神的ストレスが原因です。
症状は、
①運化作用低下による”食欲減退、軟便”
②昇降作用低下による”上腹部の脹満”
③気血の生成不足や栄養不足による”疲労倦怠、顔色萎黄”
などが挙げられます。
≪脾気下陥≫
脾の昇精作用が弱くなったもので、一般に内臓下垂を呈します。
原因としては、肉体疲労、産後、慢性下痢などによる脾気虚弱が挙げられます。
症状は、
①昇精作用不足により栄養分が頭部まで上昇しないために発生する”めまい”
固摂作用不足による”下腹部の墜脹感”
などが挙げられます。
≪脾不統血≫
肉体疲労、慢性疾患によって脾気虚弱となり、統血作用不足を来すことが原因です。
食欲不振、全身倦怠感などに、皮下出血、下半身の出血、血便、血尿、崩漏、月経過多などを伴います。
②脾陽虚
脾陽虚に虚寒が加わるために、脾気虚の症状に下腹部隠痛の症状を伴います。
脾気虚から進展し、生物や冷たいものの過食、寒涼の薬物の過量服用が原因となることもあります。
症状は、
①陽虚により寒凝気滞が生じることによる”強い腹脹、腹痛”
②脾は口と舌に関係が深いことによる”味覚異常”
③運化作用失調のためによる”水様性下痢、排尿困難、浮腫”
④寒湿が下焦を注ぐことによる”帯下(おりもの)過多”
などが挙げられます。
③脾気滞
気が滞ることにより消化吸収に影響を及ぼします。
表裏の関係で胃に影響を及ぼし、腹満感などが現れます。
④脾気逆
脾気が逆向きに流れることにより、消化吸収に影響を及ぼします。
また、表裏の関係で胃にも影響を及ぼし、吐き気などの症状が現れます。
⑤脾血虚
血が不足することにより、脾の滋潤不足が発生します。
そのため消化吸収能が低下します。
⑦脾瘀血
脾の血行障害により、二次的に気虚、血虚の症状が現れます。
⑧脾津液不足
脾の津液不足により、口渇、口唇の乾燥、筋力低下などが現れます。
⑨脾陰虚
脾陰虚は、脾の陰液が不足した状態で、陰液の援助が十分ないために陽気が十分に機能できず、運化作用が低下します。
症状は口渇、口唇の乾燥、手足のほてり、食後の強い腹満などです。
⑩脾水滞
≪脾胃湿熱≫
甘いものや脂濃いものの過食、飲酒過多などによって湿熱の邪が脾胃に停滞します。
症状は、
①上焦の湿熱阻滞により”口が苦い、粘る”
②脾の運化障害による”食欲減退、悪心、嘔吐”
③脾胃の上昇下降の変調による”腹痛”
④湿熱が肝胆を燻蒸することで”皮膚が鮮黄色(陽気)になる”
などが挙げられます。
≪寒湿困脾≫
生物や冷たいものの過食、気候の影響、痰湿体質によって寒湿の邪が脾陽を束縛し運化作用が失調して発生します。
湿が上焦に滞ると、陽気が通じにくくなり、頭重などの症状が見られます。
湿が中焦に滞ると、気機の昇降が障害を受け、下腹部の脹満感、食欲減退、悪心、嘔吐、泥状の便などの症状が現れます。
4.五行色体表から”脾と胃”の異常を理解する
東洋医学には”五行色体表”というものもあります。
五行色体表とは「季節から人体まで自然界のあらゆるものを五行に当てはめ、まとめたもの」とされています。
※赤枠で囲った部分が、肝と胆の関連する部分
この中で、脾・胃の異常をご紹介していきます。
まず”五行色体表”について詳しく知りたい方は五行色体表の使い方についてをご覧ください!
脾・胃の異常があると起こりうる症状
①脾の問題は「口(口唇)」に現れます。(口内炎など)
②脾は「肌肉(脂肪など)」と関連があります。(肌に弾力が無くなる)
③脾に異常がある時は、「唇」に異常が出ます。(唇の端が裂けるなど)
④脾の異常は、「思い悩み」と関連します。(いちいち悩み、決断ができない)
⑤脾は「久坐」といい、「座ること」と関連します。(長時間座りすぎで脾に負担がかかる)
⑥脾の異常で「かんばしくなる(香ばしい臭い)」がするようになります。(香ばしい臭いが身体からするようになる)
⑦脾が最も活動する時期は「土用」になります。(脾に異常があると”季節の変わり目”に問題が出やすくなる)
※“土用”というのは四季にそれぞれある。四立という立春、立夏、立秋、立冬の前の約18日間がそれぞれの季節の土用と言われている。
⑧脾は「甘」と関係があります。(脾が弱っているときは”甘い食べ物”が良い)
⑨脾が関連する色は「黄」です。(消化器系の不調があると、顔色や手足が黄色っぽくなる)
5.まとめ
今回は、脾・胃についてまとめていきました。
東洋医学の表現が難しい所がありますが、症状の理解自体は進みやすくなります。
今回の脾・胃の問題に関しても状態の理解が進めば、どうすれば胃腸の問題が解決するのかが少しわかってきます。
細かく、分類されていますがまずは
”弱っているのか・頑張りすぎているのか”
を理解していくことが大切になります。
・頑張っているのなら少し休めばいい
・弱っているなら少しトレーニングすればいい
このように判断する基準を作っていくようにします。
それでは今回はこの辺で!
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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