どうも!
KABOSUです。
今回は経絡アプローチに必要な知識ということで
それぞれの臓腑の詳細をまとめていきたいと思います。
経絡アプローチの概要については、「経絡アプローチを行う上で覚えておくべき各経絡の異常」をご覧ください!
今回は”肝・胆”についてまとめていきます。
肝はアルコールの処理など解毒のイメージが強いかと思います。
身体を正常に保つために食事をとることが大事です。しかし現代の食事は人工物が多く、安全とは言い切れません。そのため毎回、肝臓が働く必要があるわけでフル稼働させられている臓器の一つになります。
そんな肝ですが、東洋医学の中では自律神経系にも関わりがあり、精神的な問題にも深く関わってきます。
以上の点を踏まえて肝・胆の知識はしっかりとつけておきましょう!
それではよろしくお願いします。
1.肝・胆は東洋医学ではどんな立ち位置なのか?
西洋医学では、”肝や胆”というと、肝臓や胆のうをイメージするかと思います。
東洋医学でも実際の臓器と働きは似てくるのですが、多少違ってきます。
肝の役割
肝は「血液と自律神経を調節する」役割があります。
具体的にいうと、”血液の貯蔵”、”血液循環”、”自律神経の調整”の3点になります。
その他に、精神活動の安定化、栄養素の代謝と解毒、骨格筋の調節、運動や平衡の制御など身体全体に関わる機能を持ちます。
感情面では「怒り」と関係があります。
精神面では積極性や攻撃性、緊張などと関係があります。
故に肝・胆が実に傾くと「怒りっぽくなる」ことがあります。
胆の役割
胆は胆汁を貯蔵・排泄する機能があります。
また、裏の肝の機能と連動することがあります。
気血水のさまざまな障害とともに、胆汁に関連する機能に障害が現れます。
2.肝経・胆経の虚証と実証の症状
ここでは、虚証・実証の場合に起こりうる症状の例をいくつか挙げていきます。
経絡アプローチを行う際に、下記のように虚実を判断できると、
「エネルギーを抜く」or「エネルギーを注入する」
がわかるようになり効果的な治療が可能になります。
なぜ、それぞれの臓腑の”虚実”を知る必要があるのかは、経絡アプローチで大切なのは”虚実の判断”が出来るかどうかをご覧ください。
虚の症状
●食欲不振・腹部膨満感
●自律神経系の活動低下
●冷え性
●手足のしびれ
●筋肉の引きつり
●顔・爪色の悪化
●眼球乾燥、目のかすみ
●筋力低下、筋委縮
●運動麻痺
●視力低下
実の症状
●怒りっぽくなる
●抑うつ
●胸脇、乳房、下腹部痛
●月経不順、月経痛
●咽が詰まる
●悪心
●頭痛、めまい、耳鳴り、顔面紅潮、目の充血
●口が苦くなる
●不眠、悪夢
3.肝の異常
ここでは、気血水の異常をまとめています。
少し専門的な用語が多いためわかりにくいですが、それぞれの異常が起こった際に生じる症状だけでも知っておくと良いと思います。その部分だけ色付けをしているので参考にして下さい。
肝気虚
肝が気虚になると、情緒活動や自律神経系の活動が低下します。
二次的に脾胃の運化作用も低下するため、食欲不振、腹部膨満感なども現れます。
肝陽虚
肝が陽虚になると、情緒活動や自律神経系の活動が低下します。
肝陽虚では、肝気虚の状態に加えて温煦作用が極めて低下するため、冷えなどの症状が強く現れます。
肝気滞
ストレスや精神的刺激によって肝の疏泄作用が失調した状態です。
症状としては、
①精神情緒活動の失調が原因で起こる”抑うつ、怒りっぽくなる”
②肝経の流れが悪化することによる”胸脇、乳房、下腹部痛”
③血行の滞りから起こる”月経不順、月経痛”
④気鬱から痰を生じることによる”咽頭部の梅核気”
⑤脾胃の機能が低下することによる”悪心”
などが挙げられます。
肝気逆
肝気逆は、肝気帯が長期化した状態です。
状態としては、「頭に血が昇っているような状態」ですね。
症状としては、
①精神情緒活動の失調が原因で起こる”煩躁、怒りっぽいこと”
②気火が血脈に沿って上炎することによる”頭痛、めまい、耳鳴り、顔面紅潮、目の充血”
③肝胆の熱により”口が苦くなる”
④火熱が心神を乱すことによる”不眠、悪夢”
⑤血熱による”吐血、衄血”
などが挙げられます。
肝血虚
”先天的な不足”あるいは”脾胃の機能低下による血の産生不足”、”各種出血や慢性病”によって血が消耗された場合に、肝血不足となります。
症状としては、
①肝血不足により生じる”めまい、多夢、眼球乾燥、目のかすみ、夜盲症”
②滋養不足による”顔・爪色の悪化”
③筋脈が滋養出来ないことによる”手足のしびれ、筋肉の引きつり”
④衝脈、任脈の2脈の失調による”月経過小、無月経、耳鳴り”
などが挙げられます。
肝瘀血
気虚、陽虚を基本にした陽気不足あるいは疏泄機能の失調による血行遅滞が関与します。
胸脇部の疼痛、痞塊のほか、肝気虚、肝陽虚の症状が現れます。
肝津液不足
肝の津液不足により、筋力低下、筋委縮、運動麻痺、視力低下などが認められます。
肝陰虚
肝陽上亢の状態で、肝陰が陽を抑制できなくなった状態です。
症状としては、
①陽の機能が亢進したために生じる”頭痛、めまい、耳鳴り、顔面紅潮、目の充血”
②疏泄作用の失調による”いらいら、怒りやすさ”
③陰虚により起こる”不眠、多夢、心悸、健忘”
④肝腎陰虚による”足腰のだるさ”
などが挙げられます。
肝水滞
肝気虚、肝陽虚の悪化、肝気滞をもとに出現します。
全身の病態とも関連して、さまざまな水滞症状が認められます。
特殊な病態として肝胆湿熱があります。
肝胆湿熱は、温熱の邪を感受したり、甘いものや酒を過食したり、脾胃の運化作用が失調した場合、簡単に温熱が鬱結し、肝経湿熱証となったものです。
症状としては、
①肝胆の疏泄作用の失調による”脇周辺の痛み”
②胆汁が上部にあふれることで生じる”黄疸”
③脾胃の運化作用失調による”食欲減退、悪心嘔吐、腹部膨満感”
④湿・熱のバランス異常による”便秘など”
⑤膀胱の気化作用の失調による”尿量減少”
⑥湿熱が会陰部を侵すことによる”陰嚢湿疹、睾丸腫脹、排尿痛、帯下、外陰部のかゆみ”
などが挙げられます。
4.五行色体表から”肝と胆”の異常を理解する
東洋医学には”五行色体表”というものもあります。
五行色体表とは「季節から人体まで自然界のあらゆるものを五行に当てはめ、まとめたもの」とされています。
※赤枠で囲った部分が、肝と胆の関連する部分
この中で、肝・胆の異常をご紹介していきます。
まず”五行色体表”について詳しく知りたい方は五行色体表の使い方についてをご覧ください!
肝胆の異常があると起こりうる症状
①肝の問題は「目」に現れます。(視力の低下など)
②肝は「筋肉」と関連があります。(”こむら返り”などが起こりやすくなる)
③肝に異常がある時は「爪」に異常が出ます。(”爪が割れる”など)
④肝の異常は、「怒り」と関連します。(怒りっぽくなるなど)
⑤肝は「久行」といい、「歩行」と関連します。(歩きすぎなどで肝に負担がかかる)
⑥肝の異常で「あぶら臭く」なります。(あぶら臭くなる)
⑦肝が最も活動する時期は「春」になります。(肝に異常があると春に問題が出やすくなる)
⑧肝は「酸」、酸味と関係があります。(肝が弱っているときは酸味のある食べ物が良い)
⑨肝が関連する色は「青」です。(神経質・怒りやすい人は、目の周りに青すじができやすい)
5.まとめ
今回は、肝・胆についてまとめていきました。
経絡アプローチを行う上で必要な知識として、虚実の判断とアプローチする臓腑を決めるための判断基準を知らなければなりません。
そのために今回は、
●各臓腑の虚実の症状
●各臓腑に異常が起こった際に生じる症状
の2点を説明していきました。
それでは今回はこの辺で!
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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