どうも。
KABOSUです!!
今回も
肩について
書いていきます。
前回は、”肩の痛み”について書いていきました。
今回は、四十肩や五十肩(肩関節周囲炎)の可動域制限についてまとめていきます。
※これから肩関節周囲炎と呼んでいきます。
上記の症状としては、
□手が上がらない
□肩が痛い
□下着を後ろで止めれない
などが挙げられます。
前回の記事でも書いた肩の痛みと同じかそれ以上に肩の可動域制限は訴えの多い症状になります。
今回は、その肩関節周囲炎の可動域制限について、
効果のあるポイントを書いていきたいと思います。
1.肩の可動域制限はなぜ起こる?
可動域制限は様々な影響があると思いますが、今回は4つ挙げていきます。
①筋の問題
イメージすればわかると思いますが、筋が短縮すれば
それだけ関節の可動域を制限します。
筋の問題の詳細はこの後書いていきます。
②関節包の問題
肩関節を包んでいる組織に、関節包があります。
関節包は名前のまんまですが、関節を包み込み安定化させています。
関節を包み安定させているだけに、
関節包の異常があればその中にある関節の動きが制限されることは容易にわかります。
例に挙げると、
腕を上げる際は、後方や下方関節包が関わってきます。
腕を上げる際は上腕骨頭が少し動きながら回転していきます。
この少し動くのが関節包に異常があれば制限されるわけです。
そのため可動域制限をきたすというわけです。
※関節の動きには”転がり”と”滑り”が必ず生じます。その場で転がるだけではないということを意識すると理解しやすいかと思います。
③関節の問題
肩関節というと上腕骨と肩甲骨を結ぶ”肩甲上腕関節”をイメージしますが、
それ以外にも、
□胸鎖関節
□肩鎖関節
□肩甲胸郭関節
□第2肩関節
と全部で5つ挙げられます。
これを”広義の肩関節”と言います。
関節の可動する部分としては、
肩甲上腕関節
が主になりますが、他の関節の間接的に連動して動いています。
よって肩甲上腕関節以外の関節に制限があれば当然、肩は上がらなくなります。
例にとって挙げると、
腕を上げるときには鎖骨の回旋などの動きが出ます。
この鎖骨の動きは胸鎖関節が調整します。
なので、腕が上がらないとき、胸鎖関節の服運動を少し出すだけで変化が出たりします。
このように関節性の問題も可動域制限と関わっています。
④姿勢の問題
姿勢の問題については、
”猫背”が関係します。
つまり胸椎の伸展制限、胸椎の柔軟性低下が関係します。
単純に、
胸椎を極端に丸めた状態で腕を挙げてみてください。
多分というか、確実に腕はある一定の所で制限がかかります。
胸椎を丸めた状態では、150°も腕は挙がらないのではないでしょうか。
このように姿勢が問題となる肩の可動域制限も見られます。
2.肩関節周囲炎の可動域制限に関わる筋とは?
ここからは、肩関節周囲炎の方を診るときに、実際に制限因子として多い組織とその理由を書いていきます。
あくまで個人的な見解ですので参考程度にご覧ください。
①肩甲下筋
3D解剖学より引用
肩甲下筋は、肩甲骨と肋骨の間に存在します(肩甲骨の前面に付着)。
肩甲下筋の役割としては、主にローテーターカフの1つとして肩の安定化に寄与しています。
作用としては、肩の内旋を起こします。
この肩甲下筋が腕を挙げる際の制限因子になる理由は2点あります。
1つ目は肩甲下筋が肩の後方線維であるためです。
腕を挙げる際、後方の線維は引き伸ばされます。そのため肩甲下筋が固くなっていれば当然制限因子になります。
後方線維が原因とだけ言ってしまうと、広背筋などの他の後方線維も当然制限因子になってきます。
では、なぜここで肩甲下筋なのか?ですが、
簡単に言えば、
肩甲下筋は気付きにくい筋肉であり、コンタクトしにくいイメージのある筋肉であるためです。
「肩甲下筋って肩甲骨と肋骨の間にあって肩甲骨の前面についているから触れないんじゃない??」
私の筋肉について習いたてのころの感想です。
このように、肩甲下筋は重要でも後回しにされがちで多くのセラピストがタッチしていない部分かと思います。
2つめは、肩甲下筋は内旋作用があるためです。
肩が内旋方向に動けば、連鎖的に肩甲骨が外転します。
そうなると胸椎も後弯が強くなり、猫背になります。
先程も述べたように、猫背(胸椎の丸まり)は腕の挙上制限をきたします。
正確に言えば、
「挙上自体は問題なくても背中が丸まっているために腕が挙がっていないように見える」
といえます。
このように肩甲下筋の緊張により、肩が内旋位となり肩甲骨のアライメント異常をきたしてしまうということになります。
また肩甲下筋に問題があると、棘上筋が上腕骨から引き上げられて肩峰に衝突してしまいます。そうなると肩関節のインピンジメントなどの問題も出てくる可能性があります。
以上の2点が肩甲下筋が腕の可動域制限に影響を及ぼす理由になります。
【アプローチ方法】
肩甲下筋にアプローチをする際、
私の場合は、トリガーポイントを意識して触っていきます。
と、その前に肩甲下筋自体を触れなければトリガーポイントもクソもありません。
なのでまず肩甲下筋の触り方からです。
下図のように対象者の上肢を内側に動かしていきます。
丁度、絵でいうと手の甲をおでこに乗せるように誘導していきます。
または、反対側の肩に向かって上肢を内転させていきます。
そうすると、肩甲骨そのものは”外転と上方回旋”し、肩甲骨が肋骨から離れていき、肩甲下筋が触りやすくなります。
肩甲下筋にコンタクトする際は、下図のように「肩甲骨を前面から触るように意識しながら」触れると触知しやすいです。
肩甲下筋は肩甲骨の前面に広くついていますので、マイルドにかつしっかりコンタクトして、
鈍い痛みがあるところや放散痛がある部位を探していきます。
反応する部分があればしっかりリリースしていきます。
持続的に圧迫して緩むまで待つ方法
や
ストロークにて緩めていく方法(ストロークは一方向で行います)
などの方法をとります。
もし自分の肩甲下筋を自身で緩めたい場合は、下図のような姿勢を行っていきます。
椅子に座った状態で、緩めたい肩甲下筋側の上肢を下に下制させます。
腕を下に下ろすと腕の重みで肩甲骨は外転してきます。
そして、その部分に反対の手指もしくは母指でコンタクトしていきます。
この場合、指で持続的に圧をかけるのが意外としんどいです。
なのでこの時は、下垂している腕を上下にゆっくりと揺らします。(コッドマン体操のように)
そうすると持続的に刺激している指に対し肩甲骨がゆっくり動くので、相対的に指で組織をストロークしている状態となります。
この方法の方が、指も楽でいいし、圧をかけている局所に対して不快な刺激が軽減します。
このように肩甲下筋をアプローチしていき、その後に可動域を確認してみてください。
実施前より可動域が上がっているもしくは肩のつまり感などが軽減していれば肩甲下筋へのアプローチは今後も必要であることがわかります。
②大・小胸筋
①小胸筋
②大胸筋
3D解剖学より引用
大胸筋は鎖骨への付着があります。
上記でも述べたように、鎖骨は腕を挙げる際に回旋運動や上方に移動します。
その運動を大胸筋の線維が固くなっていれば制限してしまいます。
この問題は、大胸筋の中でも上部繊維(鎖骨部)げ大きな影響を及ぼします。
小胸筋は烏口突起に筋の付着を持ちます。
小胸筋の機能は、烏口突起を引き下げ、腕の様々な動作のために肩甲骨を定位置に固定することです。
また、二次的な機能として、激しいスポーツなどの際に努力呼吸が必要な場合、肋骨を引き上げ胸郭の拡張を補助します。
この小胸筋の作用を動きだけで説明すると、
小胸筋は肩甲骨の下方回旋、前傾、内旋に作用します。
上肢が挙上する際は、肩甲骨は動きに合わせて上方回旋、後傾、外旋します。
このことから、上肢の挙上運動時の肩甲骨の動きと小胸筋の作用が正反対であることがわかり、上肢の挙上の制限因子になり得ることがわかります。
【アプローチ方法】
大胸筋に関しては、
トリガーポイントを探していきます。
3D解剖学より引用
大胸筋は鎖骨部・胸骨部・肋骨部の3層に分けられます。
それぞれの層で症状も違ってくるので分けて書いていきます。
まずは、鎖骨部です。
鎖骨部のトリガーポイントは、
「肩前面」に痛みを送ります。
トリガーポイントの目安は、
上腕骨と胸鎖関節を結ぶ線上の真ん中あたりを探ります。
肩まで響く痛みなどがあればアプローチの対象になります。
次に、胸骨部になります。
胸骨の部トリガーポイントは、
肘内側の関連通となります。
また、大胸筋自身の中心部に痛みを出します。
最後に肋骨部になります。
肋骨部のトリガーポイントは、
大胸筋の外縁付近に見られます。
ここのトリガーポイントにより、乳頭の敏感さや乳房の痛みを起こします。
また、大胸筋の肋骨部のトリガーポイントは不整脈を引き起こすともいわれています。
実際に大胸筋のトリガーポイントが原因で起こっている不整脈であれば、
大胸筋のトリガーポイント治療により改善がみられるとのことです。
小胸筋に関しては、
大胸筋をよけてコンタクトしていきます。
3D解剖学より引用
上記の大胸筋の裏側には、下記のような小胸筋が存在しています。
3D解剖学より引用
この小胸筋を触るには、大胸筋をよけていく必要があります。
対象者の脇の部分から大胸筋を”つまむように”触っていきます。
そうすると母指が大胸筋と肋骨の間に滑り込む形になります。
その母指を少しづつ奥に押し込んでいきます。
そうすると小胸筋の線維に触れるようになります。
小胸筋にコンタクト出来たら、
①対象者に深呼吸を数回行ってもらう
②腕を上げ下げしてもらう
のどちらかを行ってもらい少しづつ柔軟性を出していきます。
以上が肩関節周囲炎の可動域制限に関わる筋になります。
他にも原因はありますが、今回はアプローチ効果の高い筋ということで紹介させていただきました。
3.まとめ
今回は、前回の”肩関節周囲炎の痛み”に続いて可動域制限について書いていきました。
可動域制限については、様々な影響があります。
なので、書き出したらキリがないでしょうし、私自身もすべてを知っているわけではありません。いや、むしろまだほんの一部しか知らない状態でしょう、、、情けないことに。
ただ効果のある方法もこれまでの臨床や研修会で学習してきました。なので今回は、その一部をシェアさせていただきました。
肩に関しては、いくつもの関節があり組織があって成り立っていますが、見た目は胸郭上に浮いている状態です。
なので、肩に関しての介入は難しいとされています。
そういった点から肩に関しての引き出しは多いに越したことはないでしょう。
今回の肩関節周囲炎のアプローチ方法なども一つの参考になればと思います。
それでは今回はこの辺で失礼致します。
最後まで読んでいただきありがとうございました!!
最後に参考書籍を載せておきます。
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