【膝の痛みと胸郭の関係性】胸郭の可動性低下が膝の痛みを引き起こす

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膝について
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臨床で膝の痛みがある方に対しアプローチを行っても中々改善しないことを経験します。

原因がはっきりしない痛みで、難渋します。

こういうとき、一度遠い部位から評価するようにします。

 

その時は姿勢や歩行などの動きを評価し、膝以外の部位を診ます。

その時、よく見かけるのが”胸郭の可動性が低下した患者”です。

歩行時に見られるはずの上肢の振りがないとか、上半身はカチカチになったまま歩いていたりなどなど・・・

 

そういう場合は、上半身、特に胸郭の動きを改善されると膝の痛みも改善されることを経験します。

 

このように”膝の痛み”と”胸郭の可動性”、、、

この両者には関連性があります。

 

今回はその膝の痛みと胸郭の関係性についてふれていきたいと思います。

それではよろしくお願いします。

 

 

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1.胸郭と膝の関係性

膝の特徴は、

「屈伸の動きには強いが、側屈・回旋には向かない関節である」

です。

どういうことかというと、

膝関節の可動性は、屈伸運動が主であり

側屈や回旋運動は靱帯などで強力に制動されています。

回旋運動は動きの中で多少出ますが、屈伸に比べると圧倒的に可動性は低いです。

このように、膝はほぼ一軸性の関節であると言えます。

 

次に、

胸郭の特徴は、

「多様な機能を要した組織である」

です。

かなり大雑把な表現になりますが、

大きな可動性を要する頸椎と腰椎の間に位置し、それぞれをコントロールしているわけですね。

また、胸郭は胸椎・肋骨・胸骨から構成されており、呼吸運動を行う呼吸器でもあり、また体幹の動きを円滑にする為の運動器でもあります。

この胸郭には136個の関節が存在すると言われており、

個々の関節がわずかな可動域制限を生じる事でも身体に大きな影響を与えると言われています。

このように、胸郭は様々な機能を有していると言えます。

 

で、

今回のように胸郭と膝の痛みの関係性に関してですが、

上記の特徴を当てはめてみましょう。

 

胸郭は多様な機能を持っているが故に機能障害を来しやすい部位でもあります。

機能障害を引き起こすと、当然、胸郭の可動性は低下します。

可動域が低下するとどうなるでしょうか?

 

・・・胸郭が担っていた機能を他部位が代償して役割を果たしますよね。

つまり、

屈伸運動が得意な膝関節も、胸郭の可動域が低下することによって回旋運動を強要される可能性があるってことです。

 

言葉ではわかりにくいですが、例を挙げます。

 

後ろを振り返る動作を想像してください。

後ろを振り返る時、胸郭が動かなかったらどこで代償するでしょうか?

この時は大体膝で代償します。

膝は得意ではない捻じり動作を使って後ろを振り返る動きを誘発させます。

これが続けば当然膝は壊れます。

このようなパターンはよくあることで、実際に膝の痛みと胸郭の関係性は深いと言えます。

 

分かりにくかったと思う人は、

実際に立ち上がって振り返り動作をやってみてください。

始めは、普通に楽に振り返ってみてください(胸郭の捻じりを意識して)。

次に、胸郭の回旋を起こさずに後ろを振り返ってみてください。

この時、どこに負担がきましたか?

膝の内側にきませんでしたか??

 

このように、日常よくある場面でも、膝と胸郭は連動していることがわかりますよね。

”胸郭が固くなることで膝に負担がかかり膝の痛みを誘発する”

ということは十分にありえる問題かと思います。

 

2.どんな膝の痛みが胸郭と関係しているのか

 

では次は実際に、、、

どんな膝の痛みが起こったときに、上記のような胸郭と関係していると言えるのでしょうか?

具体的に挙げていきます。

□身体を捻じったときに生じる膝の痛み(身体の回旋運動)

□Knee-in(膝を内側に入れ込む)の動きを誘発させたときに生じる膝の痛み

□方向転換時に生じる膝の痛み

先程から何度か言ってますから大体わかると思いますが、

答えは

”回旋系の運動を行うとき”

となります。

 

胸郭の可動性が低下した際、

身体の回旋運動を代償する部位は”膝”である可能性が高いです。

つまり、回旋系の運動を行う際に膝の痛みが出現すれば、胸郭の可動性低下が一つの問題である可能性が考えられるわけです。

 

3.胸郭の可動性が膝の痛みと関わっているかを調べる方法

具体的な評価方法を述べていきます。

方法は単純です。

実際に胸郭を動かした際に膝の痛みが出現するかを確認し、

その後胸郭を操作して痛みの増減を評価するという方法です。

【方法】

・立った状態で上半身を捻じる運動を行い、膝の痛みが出現するかを確認する

※痛みがない場合、片足を前方に出したスタンスで回旋運動を行ってみる

≪痛みが再現された場合≫

・身体の回旋運動時に胸郭の動きをアシストする

・このときに痛みの増減もしくは変化なしかを確認する

□膝の痛み増悪

□膝の痛み軽快

□変化なし

≪痛みが再現されない場合≫

・胸郭の動きをセラピストが強制的に止めた状態で身体の回旋運動を行う

・このときの膝の痛みの出現の有無を確認する。

□膝の痛みが出現する

□膝の痛みは感じないまま

このように評価していきます。

この評価の判定方法は以下の通りです。

【判定】

胸郭の動きをアシスト⇒膝の痛み消失もしくは軽減

胸郭の動きを阻害⇒膝の痛み増悪もしくは極端に回旋運動が阻害される

上記の反応が見られた時は、胸郭の可動性が原因で膝の痛みが誘発されている可能性が考えられる。

※胸郭の動きで膝の痛みに変化がない場合は、胸郭の問題は除外し他の部位の問題を探る

 

4.胸郭が原因で生じた膝の痛みの改善方法

胸郭の評価を行い、膝の痛みとの関連性が考えられたら、

今度は実際にアプローチを行っていきます。

具体的な方法は以下にまとめていきます。

 

ちなみにアプローチの目的は、

”胸郭の可動性を改善させること”

で、

胸郭の可動性をどうやって出していくかをまとめていきます。

 

①胸郭を構成している肋骨(リング)の可動性改善させる方法

胸郭は、胸骨と肋骨と胸椎で構成されています。

この3つが合わさって胸郭はリング状の形を成します。

このリングの中に肺や心臓が収納され、呼吸運動を起こしたり身体の運動を引き起こしています。

で、
可動性が低下する際は”きれいな形で固まる”のではなくて、

”胸郭のリングにズレを起こして固まっている”ということです。

 

つまり胸郭のリングのズレを評価して改善されるということは、

胸郭の可動域改善に寄与し、結果的に膝の負担軽減にも繋がってくるということになります。

 

それでは具体的な方法を書いていきます。

【方法】

・椅子に腰かけてもらい、セラピストは後方に位置する

・後方から胸郭を触診する(始めは下部肋骨から)

・手を開いて左右4本の指を使って肋間および肋骨にコンタクトする

・上位の肋骨から下位の肋骨かけて触っていきリングのズレを確認していく

・ズレがあればその部位が治療対象になる

※ズレはいくつか存在する

※どこが治療の対象になるかの判断は、徒手的にズレを修正した状態で再度可動域テストをした時に変化がある部位となる

 

【アプローチ方法】

【例】左に偏位している肋骨がある(左側にリングのズレあり)

・同じレベルの右側の肋骨にコンタクトする

・対象となる右側の肋骨を引き出すように運動を起こす

※具体的な方法は何でも可である

≪私が実際に行っている方法≫

【例】左に偏位している肋骨がある(左側にリングのズレあり)

□端座位の状態で”体幹の右側への並進運動”を行ってもらう

□この並進運動時に対象となる肋骨に抵抗運動を加えておく

□このとき、患者には「ここ(対象となる肋骨)を押し返すように運動してください」と伝え運動を繰り返してもらう

このようにしてリングの修正を行っていきます。

 

ここで少し、胸郭の動きの整理を行っておきます。

 

胸郭は側屈運動と回旋運動が連動して生じます。

例えば、

リングのズレが左(左に偏位している)にあるとします。

その時は、”そのレベルの肋骨は右回旋している”ということです。

 

つまり逆を返せば、

身体の回旋運動で左回旋時に膝の痛みが生じている場合、

もしかしたら上記の右回旋している肋骨が胸郭全体の動きを阻害している可能性がある

と考えることができます。

この時は、このレベルの肋骨の左シフトを右側に誘導していけばリングのバランスは整うということになります。

 

このように側屈と回旋の関係性を理解し、問題の解釈とアプローチに反映させていきます。

 

 

②体幹の姿勢反射を利用する方法

体幹の姿勢反射には”立ち直り反応”という反応があります。

立ち直り反応は以下のような反応です。

このように、

頭部が垂直を保っているか

肩甲骨が水平を保っているか

が立ち直りがしっかり行えているかを診るポイントです。

 

で、この立ち直りを使って胸郭の動きを出していきます。

【方法】

・患者を端座位にし、セラピストは後方に位置する

・後方から胸郭を把持し、そのまま左右に立ち直りをアシストしていく

・左右どちらか立ち直りが出ないかを評価する

・立ち直りが出にくい方を重点的に訓練していく

 

※端座位で出来る様になったら立位になって行う。姿勢を変えることで刺激を変えていく

 

【期待される効果】

□左側の胸郭の開きが出る(左側の胸郭の可動性改善)

□左側の上肢の操作性が改善される

□体幹機能の改善

このように膝への影響以外にもいい効果が期待できます。

 

5.まとめ

今回は、膝の痛みと胸郭の関係性についてまとめていきました。

「膝は屈伸には強いが、側屈・回旋には向かない関節である」

という解剖学的な解釈から胸郭との関係性を示していきました。

 

膝が痛いからと言っても意外と、胸郭まで広げて評価をしていくことは少ないのではないでしょうか?

歩行や姿勢などから捉えていくと、胸郭が治療対象になるということも

ごく普通な考え方であると思います。

 

身体は連動していますから局所だけでなく他部位も診れると治療の幅も広がると思います。

 

それでは本日はこの辺で!

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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